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2016.11.22 不動産コンサルブログ

不動産の再生について③

既存不適格の建物

前回は本件建物が老朽化に加え適切なメンテナンスが殆どなされていなかったことにより、非常に危険な状態(住んでいる住民にとっても周辺を通行する方にとっても危険)であったことを述べましたが、本件建物には別の問題がありました。

それは、本件建物の容積率が許容範囲をかなり超えていたという問題です。

本件建物は昭和40年代の竣工で、当時は「容積率」という概念がなく、法的規制としては建蔽率さえ守って建てればよかったのですが、その後の行政による指定によって当該地域が容積率100%とされたため容積率オーバーとなってしまったのです。

このような建物、つまり建築当時は適法に建てているがその後の法改正によって違法となった建物を「既存不適格建物」と称しています。

(既存不適格建物は金融機関の融資を受ける場合審査が通りにくいといったデメリットがあります。)

いずれにしても、本件建物を建て替えるということになると現在の床面積を確保することは不可能ということになります。

違法な増築

また、本件建物の一部は各オーナーによって増築された部分があり、この部分に関しては「既存不適格」ではなく「違法建築物」ということになります。

「既存不適格建物」は新築の時点では適法に建てた建物ですが、「違法建築物」は違法であることを認識したうえで建築されたものでありより違法性が高いということが言えます。

下の写真は全て違法に増築された部分です。

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店舗部分が道側に約1・5メートル増築されています。

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建物共用部分である廊下に部屋が増築されています。

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店舗の倉庫として増築されています。

耐震補強工事

本件建物は何度も述べたとおり、建物自体の劣化が甚だしい状態でしたがこれは建物の耐震強度が著しく不足しているという結果が予測されるところでもありました。

本件建物は昭和40年代の竣工ですが、昭和56年の建築基準法の大改正以前の設計であることは当然で、元々建物そのものの耐震強度が不足している可能性が高いのですが、その点に加えて必要なメンテナンスが殆どなされていなかったことにより益々耐震強度に不安がある状態であったと推測されます。

本件建物については各オーナーの依頼により現地調査を何度か行いましたが、KMCグループの顧問である専門家の先生(一級建築士)に同行してもらって建物の内部、外部を目視調査したところ耐震強度不足であることは明らかであるという御意見でした。

通常はそのような場合はまずは建物の耐震診断を行うのですが、その際行政による補助金を受けることができます。

しかし、本件建物は既存不適格であるばかりか違法建築の部分がかなりあるため補助金を受けるためには、まずは違法建築の部分を是正する必要がありました。

しかし、違法増築の部分を是正するためには現在使用中の部屋を解体撤去しなければならないオーナーがいたり、解体撤去の費用が掛かるため各オーナーの意見が纏まりませんでした。

しかし、そもそも耐震診断を受けるまでもなく耐震強度の不足は目視のみによっても明らかな状態であるという専門家の意見でしたので正式な耐震診断は行いませんでした。

 

 

2016.04.27 不動産コンサルブログ

建物の耐震補強工事について①

KMCグループでは、古い建物の建て替えに関するご相談や耐震補強工事の施工も行っています。

現在板橋区高島平で老朽化したビルの入居者・テナントさんの転居のお世話をやっていますが、これまでにも多くの建物の耐震診断や耐震補強工事を専門家の先生方によるご協力の元に手掛けてきました。

皆さんも既にご存知かと思いますが、建物を建てる際に建物の大きさ・高さや床面積、構造等に関して遵守しなければならない基準を定めた「建築基準法」という法律があり、建物の新築、一定規模以上の増改築を行う場合は必ず建築基準法の規定に従わなければなりません。

この建築基準法が1981年(昭和56年)に大幅に改正され、それまでの建物と改正以後の建物とでは耐震強度に雲泥の差があるということを知っておく必要があります。

阪神淡路大震災の際、決定的なダメージを受けた建物の90%以上はこの建築基準法が改正される前に設計・施工された建物であることが分かっています。

これは建物の構造(鉄骨鉄筋コンクリート造り、鉄筋コンクリート造り、鉄骨造り、木造)を問わず言えることです。

一例を挙げると旧神戸市役所の6階部分が完全に崩落し床と天井がくっついてしまった写真を見ると鳥肌が立つ思いがします。地震が起きた時間が早朝だったので市役所には人がいなかったのでしょうが、そうでなければこの階にいた人は殆ど全員即死(圧死)していたことは間違いありません。

この階が崩落した原因はこの建物が5階部分までは鉄骨鉄筋コンクリート造りで6階以上には鉄骨が入っておらず、そこを境目として強度が異なることが原因だったそうです。

また、1階部分が駐車場になっており壁がない構造になっていて柱がポッキリと折れてしまい建物が傾いた状態になった事例(これを「ピロティー崩壊」と言うそうです。)や建物の一方向が極端に弱くて捻じれるように倒れてそのままま潰れたように崩壊したビル(これを「偏芯崩壊」と言うそうです。)の写真を見ても同様の畏怖を禁じ得ません。

これらの資料は国土交通省図書館に多数所蔵してあります。

以上のような建物の崩壊については専門家の間ではある程度予測はされていたのだと思いますが、実際に大規模地震が起きた結果、建物崩壊の因果関係について徐々に解明されてきたわけで、犠牲になった方が失われた貴重な生命を無駄にしないためにも今後の教訓としなければなりません。

今回の熊本の地震でも多くの全壊家屋が出ているようですが、報道されている映像を見る限り施工が古い建物はやはりダメージが大きいように思われます。

また、耐震強度に優れた建物が最初の揺れには殆どダメージを受けなかったとしても、その後繰り返された強烈な揺れにより全壊してしまったというようなことを被害にあった方がテレビのインタビューで言われていました。

専門家の意見を聞いていてもある人は「どのように耐震強度に優れた建物でも強烈な揺れが繰り返されると決定的ダメージから逃れることはできない。」と述べられていました。

それでは、耐震補強工事を行ったとしても熊本の地震のように繰り返し強烈な揺れに襲われることが現実にあるとすれば耐震補強工事を行う意味がないのでしょうか?

この問題については次回お話します。

 

2016.03.25 不動産コンサルブログ

樋口、福本の不動産閑話⑦

福本 「最近、例の『マイナス金利』とかで金融機関も貸付に力を入れざるを得ないようで、うちの会社にも色々な金融機関から融資話が来ますけど、こと不動産(特に個人住宅)の話になるとかならずしもエンドユーザーが付いてきていない感じがしますね。」

樋口 「動きが良い物件とそうでない物件の差が段々明白になっている気がしますね。」

福本 「本当の意味で不動産市況が良くなるには賃貸市場が先ず良くならなければならないのですが、現在の状況を見る限り決して良くはなっていないですね。」

樋口 「賃料の値下がりと空室率の増加の悪循環に歯止めがかかるような状況を期待したいのですが、とにかく深刻な少子化が続く限り我々の力では何ともしがたいですからね。」

福本 「以前にもこのブログで話したことがありますが、現在の少子化傾向に歯止めをかける即効性がある方策が期待できない限り賃貸市場は良くならないし不動産市況全体の底上げもできないと思いますが、建設・土木や医療・介護、飲食などの業界などでは労働人口が極端に不足しているわけですから、外国人の若い労働力に門戸を開放することも前向きに検討するべきだと思います。」

樋口 「治安や言語などのコミュニケーション、生活習慣の違いなど不安要素は多いかもしれないけど、このままではジリ貧になってしまいますね。」

福本 「うちで所有・管理している賃貸物件にも何人か外国人の方がいますが、特にトラブルはないですね。担当者の努力もあると思いますが。」

樋口 「若い営業マンは夜中に『排水が詰まった』みたいなトラブル処理で現場に行ったりしたことがあるみたいですね。」

福本 「入居時に懇切丁寧に住宅設備や電気製品の使い方、他の入居者に対する付き合いの仕方などについての説明をしているのですが、やはり理解不足からトラブルは起きるようでその都度対応してきたのですが、最近はこちらも慣れてきたのか殆ど問題は生じなくなってきました。」

樋口 「地味な積み重ねが大事ですね。」

福本 「それと当たり前の話ですが、相手を尊重することだと思います。」

樋口 「建設・土木関係については、現場で外国人をよく見かけるけど、彼らは実習生として来ているらしいですね。」

福本 「ある人に聞いた話ですが、最近日本で実習できる期間が3年から5年になったらしいのですが、ということは単純に考えるとその分日本にいる外国人が増えるということになりますよね。」

樋口 「労働条件等についてはどうなのかな?」

福本 「その話なんですが、一部では劣悪な環境に住まわされて極端に安い賃金で働かされている例もあるらしいですね。」

樋口 「行政の監視や指導はどうなっているんでしょうか?」

福本 「せっかく夢や理想を抱いて日本に来てくれた若い人達が、現実に失望してドロップアウトするような事態だけは絶対に避けたいですね。ある機関の調査によれば、実習生(*技能実習制度を利用)として来日した外国人で実習先から失踪した人数は毎年増加しているそうで、平成15年は5,000人ほどいるらしいです。」

樋口 「失踪しても日本国内にはいるわけですよね?」

福本 「条件の良い仕事先に移転する人が大多数らしいです。」

樋口 「それならまだ良いのですが、犯罪などに結びつくことにより外国人に対する偏見がより一層強くなったりすることが怖いですね。劣悪な環境に陥った人たちがそういうことになるとすれば原因は殆どこちら(日本側)にあるわけですから。」

 

 

 

 

2016.03.01 不動産コンサルブログ

成功事例ー必要なだけ売却②

この前は、相続税の支払いや身内の方への遺産の分割のために相続財産の一部をうまく売却されたユーザー様のお手伝いをさせていただいたお話でしたが、その際広い一連の土地を細かく分割できるようにした経緯を簡単に記載しました。

それによって、不動産市況が悪い時に最低限の資産を売却することで目的を達成することができたということですが、この話には更にユーザー様の利益に結びつく要因がありました。

土地の商品化を行ったメリット

ユーザー様が5,000㎡もの土地(ここでは最適用途が住宅用地である土地という想定でお話します。)を売却する場合、売却の相手はハウスメーカーやマンション業者となることが普通です。

上記のような業者を「ディべロッパー」と呼びます。

ディべロッパーは土地を購入(仕入)するにあたり、当然その土地に関して定められた法律や条令による規制について調査します。

一例を挙げると、用途地域(どのような種類の建物が、どれくらの規模で建築できるかということに関する制限等を定めています。)、建蔽率(土地に建物を建築する場合の土地の面積に対し可能な建築面積の割合を定めています。)、容積率(土地に建物を建築する場合の土地の面積に対し可能な床面積の割合を定めています。)、建物の高さの制限、日影に関する制限(隣地の日照を確保するための制限)など数多くの決まりがその地域毎に決められています。

また、電気、ガス、上下水道などの「ライフライン」と呼ばれるものについても、物件ごとに条件が異なりますので調査やプランの作成には多くの手間と日数を要します。

それらの調査・検討の上、購入価格を始めとする売買の条件について売主様との交渉を行い、話が纏まってようやく物件の購入ができるわけです。

さらに、購入後、所定のプランを具現化するための手続きである「開発行為」を行政に申請し、要件が整ってから定められた内容の工事(土木工事)に着工するわけです。

また、建物を土地上に建築するためには行政に「建築確認申請」を行って「建築確認」を受けなければなりません。

建築確認を申請するためには、「開発行為」が完了している必要があります。

このように、多くの手間と時間をかけて土地の商品化を行うわけですが、本件のようにユーザー様が既に土地の商品化に要する手続きを概ね完了している案件については買主側が取引条件を取りまとめる時間が極端に短くて済むわけです。

前述のとおりこの土地の売買が行われた時期はリーマンショック後の不動産市況が大変悪い時期でした。

不動産市況が悪いということはどういうことかと言うと、全ての不動産の動きが悪く極端な値下がりを起こしている状況を想像されると思いますが、必ずしもそうではありませんでした。

都心部の地上げ案件やビル用地、高級マンション用地、高級住宅地、等は結構な打撃を受けて当初目論んでいた出口の半分以下というものも多くあり、上場企業が破綻したりしましたが、郊外の比較的総額が低い住宅地については、極端に値下がりしたり、全く案件が動かなくなるということは有りませんでした。

なぜこのような現象になったかと言いますと、リーマンショック前の「ミニバブル」と言われていた時期には金融機関から多額の資金が不動産投資に流入しており、私も後で調べて分かったのですが、不動産に対する金融機関の融資の総額はバブル期を上回っていたということで、不動産業者間で物件のすさまじい争奪戦を行い自ら価格を吊り上げてしまった結果、エンドユーザーという出口を一気に失った物件が雪崩を打ったように値崩れしたということなのです。

しかし、バブル崩壊後のように実需が極端に崩れたわけではなく、中間所得層の個人住宅に対する需要は極端に悪化していたわけではありませんでした。

リーマンショックによって本当に打撃を受けたのは、不動産業界に限っていえば過激な投資を行った不動産業者と一部の投資家だったと言っても過言ではないと思います。

以上のような状況下において、買い手側であるディべロッパーがどのような傾向になるかというと、まず不動産市況の低迷がいつまで続くかという警戒感を抱きながらの仕入になるということです。

現在の状況が底をついた状態なのか、あるいは更に深い底に陥っていくのかということは仕入の判断に大きく影響することは当然の話です。

本件不動産の売却を行った頃は丁度そのような時期で、不動産業界に携わる者全てがことあるごとにそのような話をしていました。

仕入には大きなリスクが伴う(これ以上不動産が値崩れした場合)状況ではあるが、周りが様子見をしている状況なので反面仕入のチャンスでもあるわけです。

このような場合、仕入において最も大事なポイントは多少仕入価格が割高でも手間と時間がかからない案件(言い換えれば事業に着手してから最終的に販売を完了できるまでの期間が短くて済む案件)を仕入れるということです。(土地の加工を要せずすぐに建物の建築に着手できるような土地がベスト。)

本件のユーザー様の場合、前回のお話に出てきた図面をご覧いただけばお分かりになる思いますが、5,000㎡の土地を分割してすぐに建物の建築ができるような状態に加工されました。

従ってディべロッパーとしては何ら時間と費用を要せず購入後すぐにプロジェクトに着手できるという大きなメリットがあるわけです。

このように買い手側の事情と一致したことも大きな利益をもたらした要因であったと思います。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2016.02.25 不動産コンサルブログ

成功事例ー必要なだけ売却ー①

数年前の話です。

世の中はリーマンショック後で不動産市況は最悪の状態でした。

そんな時、ある資産家のユーザー様から相談を受けました。

その内容は次のようなものでした。

1、親が亡くなり、相続した土地が約5,000㎡ある。

2、相続税の支払いと兄弟に幾分か遺産を分けることになっているが、手持ちの現金だけでは不足なので上記の土地を売却してこれに充てたい。

3、JAに相談したら、入札によって全部を売却することを勧められた。

そこで、私達はまず、JAが指定する宅建業者に入札の予想価格を問い合わせました。

冒頭に記載したとおり、世の中はリーマンショック後で不動産市況は最悪と言ってよい状態です。

予想価格は驚くほど低いものでした。

当然このような状況下において売却することは得策ではありません。

どうしても売る必要があるとしても必要最低限にしたいところです。

そこで、私達はその方の確定申告等を行っている会計事務所の担当の先生に相続税がいくら必要か、またその他の税金等の支払分としてどれくらい用意する必要があるかという問い合わせを行いました。

また、御兄弟に遺産を分ける場合、不動産を分割するのかあるいは現金で渡すのか御兄弟の希望を確認していただきました。

その結果、御兄弟にはそれぞれ現金で分けるということで話が纏まりました。

本件土地は最適用途としては住宅用地で、住宅用地としての付加価値を最大限にするためには、開発工事を経て当該行政機関が定める最小の区画に分割することが必要であると判断しました。

また、そのような加工(プロジェクト)を行うことにより、ユーザー様が今回必要とする現金を捻出するには相続財産(土地)の三分の一ほどを売却すれば十分足りると判断しました。

そこで、私達はこの土地を分割する計画をご提案しました。

上記のプロジェクトを行うためには土地家屋調査士による調査並びに助言が必須となります。

私達はこの点十分な経験と知識を有する土地家屋調査士の先生と協議しました。

協議の結果、本件土地を下記の図面のように分割することにしました。

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次に開発行為に基づいて施工ができる優秀な土木工事業者を手配しなければなりません。

以上このプロジェクトを成功させるために、我々宅建業者、会計事務所(税理士)、土地家屋調査士、土木工事業者の4社でチームを組みました。

開発行為を行うには時間と費用がかかります。

相続税の支払いには期限がありますので、時間との闘いという壁もありましたが、このユーザー様は大変倹約家で、相続財産である本件土地以外にも預金等の資産をお持ちでしたので、プロジェクトを円滑に推進することができました。

このように、本件については皆さんの努力のおかげで物事がスムーズに進み、本件土地を最も効率よく分割できる形態にすることができたため(最大限29区画に分割できるようになりました。)、このユーザー様は予定より少ない上記図面の1~8の区画部分の土地を売却することで必要な資金を全て調達することができました。

本件については不動産市況が悪い時期に必要最小限の土地を売却することで必要な資金を調達することが可能となったため、開発行為に要した費用等を差し引いても、少なくとも億単位の経済効果が生じたことは間違いありません。

売却しなかった土地はその後、このユーザー様が別の収益資産を購入する際の頭金に充当したり、担保にしたり様々な利用を行い、更なる経済効果を挙げながら現在に至っています。

 

 

2016.02.17 不動産コンサルブログ

土地の有効利用?Ⅲ

土地の上に建物を建築するだけでは必ずしも資産価値の増大には結びつかない場合が多いというお話をさせていただいていますが、もう少しこの手のお話を続けてみたいと思います。

なぜなら、実際に私が知っている例で余りにもお気の毒な結果を招いた方が多数いらっしゃるからです。

皆さん、ご自分の所有される土地に建物を建てる場合、転売する可能性を考慮されることは殆どないのではと思います。

我々宅建業者は逆に買い取った不動産を加工(更地に建物を建てたり、元から建っている建物をリノベーションしたり)して第三者に転売して利益を上げるということが業になっているわけですから、転売を前提とするスキームを基本とすることは当然の話です。

そうなると物件の原価計算が重要となるわけですが、言うまでもなく原価の基本となるのは土地の価格と建物の価格の合計となります。

前に「ご自分の所有される土地上に収益用不動産を建築する場合は、建物の建築費用のみを分母として利回り計算をするのではなく、土地の実勢価格を加えたものを分母とすべきである。」と書きましたが、これはその物件を売却する場合の目安にもなります。

勿論、「売却する予定は全くないから、そんな計算は不要だ。」と言う方もいらっしゃると思います。(というよりは大抵の方は売却を前提とされていないと思います。)

しかし、現実に私達がユーザー様に依頼されて売却した物件(弊社がユーザー様から買い取ったものを含めて)の大半(おそらく90%以上)は当初は元々売却されることを前提にされたものではありませんでした。

例を挙げればキリがないのですが、思いつくだけでもまだ原価償却が半分も終わっていない建物を解体取り壊した経験は数多くあります。

中には建物のローンが多く残っており、物件の売却代金の中からローンの返済を行うと手取り金額が僅かしか残らないという前回お話したような例も多くありました。

このような結果を招いてしまう根本原因をいくつかの実例に基づいて分析してみましょう。

1、 普遍性の低い建物を建築した例

立地も悪くない、また建蔽率・容積率なども良い土地で建物もまだ新しいのに一般的には売却することが難しい建物

が建っている物件。

実際にあった案件では、自宅と事務所(自己使用)、賃貸用の共同住宅の複合建物(築年数は10年を少し経過した

程度でまだまだ新しい建物)が建築されていた物件の売却を行ったことがあります。

これらの建物を敷地を分割して別々(自宅、事務所、共同住宅)に建築していれば建築費用はそれほど変わらないう

えに、売却価格はおそらく1・5倍近くなったと思われます。

また、全てを売却する必要がなかったのではないかと思われます。

2、 収益用に向いていない立地に収益用建物を建築した例

住宅地としてはそこそこ人気があり、エンドユーザー価格としては1坪60万円~70万円ほどで売却可能な立地。

但し、最寄り駅から距離があり(バス利用)賃貸用物件としてはアクセスが悪いので賃料は低めに想定せざるを得ない

立地。(特に単身者用賃貸物件としての需要は殆ど見込めないので、ファミリー向けの間取りにせざるを得ないため、

坪単価は益々低くなる。)

このような土地に収益用アパートを建築(築年数は十数年、ローンの返済は元金ベースで半分ほど)したのですが、

建築費の坪単価は土地の実勢価格(坪単価)を上回る約90万円でした。(外構工事等を含む。)

当初は収益用資産としての売却を試みたのですが、収益用資産としては人気がある地域ではないため中々買い手

がつかず、最終的には戸建て用地として売却されました。

建物は当然解体撤去されました。

3、 建築した建物の配置が悪かった例

自宅部分を含め広い敷地を所有されていた方ですが、土地の一部を売却して納税資金を捻出する必要が生じたの

で、私どもに売却を依頼されました。

その時になって初めてご自分の所有されている土地の全体の測量を行ったのですが、10年足らず以前に建築され

たアパートが土地を分割するうえで支障をきたす位置に建てられていることが判明しました。

その結果、売却する土地の地形が悪くなり売却の坪単価が低くなるか、このアパートを解体撤去するか、あるいは自

宅建物を解体撤去するかという選択肢(私は自宅建物を解体撤去して一部を売却することをお勧めしました。)になっ

たのですが、最終的にはアパートを解体撤去しました。

この他にも様々な例に遭遇してきましたので、またお話させていただきます。

 

 

 

 

 

 

 

2016.02.16 不動産コンサルブログ

弊社の相談役をご紹介します。

弊社の相談役の樋口利行です。

この道30年以上のベテランで私は勿論、若い営業マン達にとって良き相談役であり、指南役でもあります。

私と共同で取り組んだ案件も数多くあり、このブログを書くにあたっても「樋口さんそう言えばこんなこともあったよね。」という具合で過去に取り扱った案件のことを話題にしながら書くことが多いです。

まだまだ皆さまにお伝えしたいことが山ほどあって、どれから書いていくか迷いますが、面白くて尚且つ皆さまの参考になるようなものを書いていけたらと思います。

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2016.02.14 不動産コンサルブログ

土地の有効利用?Ⅱ

前回は、自分が所有する土地に収益用資産を建てる際の目安についてお話しました。

土地を所有される方にとっては、見知らぬ場所の収益用不動産を購入するより自分の土地にアパート、マンション等を建てる方がリスクが少ないと思われることは当然でしょう。

金融機関や建設業者などが「土地の有効利用」といった話をユーザー様に持ち込む場合、その方の所有する土地に収益用不動産を建てるということが前提になります。

私が直接面識がある方だけでもそのような話を金融機関や建設業者に持ち掛けられ、アパート、マンションを建てた例は数えきれないほどあります。

しかし、信じられない話ですが以下のような例も実際にありました。

リーマンショックの直後ですからわずか6~7年前の話です。

都内S区、新宿駅まで電車で10分ほどのアクセス抜群の立地で、現況は1戸80㎡ほどの賃貸用マンション(間取りは3LDK,総戸数30戸ほどでした。)が1棟建っている物件でした。

知り合いの大手不動産業者の担当者から話を持ち込まれ、私の知り合いのある資産家の方に購入を勧め、現地にも度々調査にいきました。

私が現地を見に行った時は既に全室空部屋になっており、残置物は一切ありませんでしたが、リフオームは行われていない状態だったので使用感が生々しい状況でした。

このマンションはそれまではある大手企業の社員寮として建設されその企業に10年間一括借り上げされていました。

オーナー様は都内在住ではなくY県に住まわれているということでした。

賃貸契約の期間は10年契約だったようですが、更新が前提となっているのでそのオーナー様は10年で解約されるという事態は想定していなかったようです。

とにかく、10年目にして賃貸借契約は解除され賃料収入が途切れてしまったので、賃貸物件として賃借人の募集を行わなければならないのですが、元々社宅として設計されているので当該地区としては内装・外装とも質素すぎることと、1部屋の専有面積が広いため、室内外を大規模改装しないかぎり賃貸の坪単価が上がらないのではないかという予測でした。

例えば、間取りがワンルーム、1DK等単身者用になっていれば、一般の収益用建物として十分に利回りが見込めるのですが、当初から一括貸し用に設計されたためその借主の企業の要求を全面的に受け入れた建物になっており、個別に賃貸するには向かない仕様になっていたのです。

言い遅れましたが、この物件には金融機関に抵当権が約8億円設定されていました。

オーナー様が建物を建築する際の建築費用として借入たものです。

10年間で支払った総額はともかく、元金ベースでは2億数千万円ほど返済されたのみでローン残高がその時点で6億円近くありました。

この物件の売却予定価格(オーナー様の売り希望価格)が6億5,000万円ほどでしたから、仲介手数料を差し引くと数千万円しか手取りが残らないことになります。

この物件の土地(更地)の市場価格は当時の評価で少なくとも6億5,000万以上ありましたので、もしこのオーナー様がこのような建物を建築しなければ売却の際にはそれだけのものが手に入ったことになります。

当時はリーマンショックの後で、金融機関が不動産投資に対する融資話に全く耳を貸さない状況で不動産市場が冷え切っており高額物件を購入できるユーザーが極端に限られていたという事情があり、現在の情勢とは全く異なる条件下であってことは間違いないのですが、それにしても嘘のような話です。

結果論と言われるかもしれませんが、一括貸しの相手が大手企業であるという安心感から普遍性の低い建物を建築した結果、建物に対する投資の大半が無駄になってしまったという話で、時期的なめぐりあわせの悪さもあり重ね重ね酷い結果を招いた例だと言わざるを得ません。

このような極端な例は珍しいのですが、建物に対する投資効率が思うようにいかなかった例は枚挙に暇がないほどありますのでまたの機会にお話ししようと思います。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2016.01.29 不動産コンサルブログ

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