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2018.10.09

収益資産の形成⑩・土地の地形

路地状敷地を生かす

土地の形状は色々あります。

間口(道路に面している面)が広いもの、狭くて奥行きが長いものなど様々ですが、一般的には「成形地」と言われる間口と奥行きのバランスが良い土地が最も坪単価が高くなり、資産価値も大きくなります。

しかし、所謂「旗竿地」、「敷地延長土地」などと言われる「路地状敷地」は、成形地と言われる土地に比べて坪単価が30%~40%くらい安い物件もあります。

このような路地状敷地でも、アパートを建築することは可能で、賃貸ユーザーにとっては敷地の形状はさしたる問題ではありませんので、土地の価格が安い分だけ利回りは期待できるわけです。

勿論、路地状敷地は成形地に比較すると土地自体の資産価値は劣りますが、こと収益資産に関しては、アクセスの悪い成形地よりアクセスのよい路地状敷地を選択することが得策と言えます。

特に、自己資金の割合が少ない方は、何よりも利回りを重視しなければなりませんので、路地状敷地の物件を検討しても良いと思います。

路地状敷地にアパート等を建築する場合は、都市計画法、建築基準法など通常の建築物を建てる場合に遵守しなければならない法律の他に、東京都住宅安全条例や各市町村、区なのが定める条例を遵守する必要があります。

特に、近年ワンルームマンション、アパートなど単身者向けの賃貸住宅を建築する場合は各行政単位による条令、指導要綱による制限が厳しくなっていますので、その点を良く調べる必要があります。

勿論、信頼できる建築業者ならその点についても熟知しているでしょうが、最終的に最も大切な「利回り」を確保できるプランを作成するためには、建築に関する知識のみならず、様々な知識を生かすことが大事なことは言うまでもありません。

 

 

 

 

2018.10.05

収益資産の形成⑨

「駅近」を第一条件とした「買える物件」の選び方

人気エリア、特に駅に近いエリアの土地は相続税評価額と比較して時価が割高になる傾向であることは、前回述べた通りです。

このようなエリアの収益用不動産を購入することは相続税対策効果を考えると大変有効な手段になり得ますが、収益用不動産を購入(あるいは建築する)ことは、1つのプロジェクトですから、プロジェクトとして成り立つ必要があることは言うまでも有りません。

つまり、収支計算が最も大事なわけで、相続税あるいは所得税などの節税対策になるからと言って、収支の計算をおろそかにすることは絶対に避けなければなりません。

しかし、上記のようなエリアの土地(不動産)は当然総体的な価格が高いわけですから、収支(利回り)も低くなることが予想されます。

実際の不動産市場における居住系の収益用不動産(アパート、マンション)に関しては、23区内や三多摩地区の人気エリアなどの物件は年間利回り5%前後の価格で流通しているものが大半です。

この「5%」という利回りは、これまでにも何度か述べた通り、仲介手数料や登記費用、ファイナンス費用などの取得経費を含まない表示になっている場合が大半ですから、実際の利回りは殆どの場合4%以下になります。

以前にローンの支払いに関する簡単なシュミレーションを掲載しましたが、借入1億円、借り入れ利息年率2%、返済期間30年(元利均等払い)の場合の毎月の返済額は約37万円になります。

年間の支払額は37万円×12月=444万円です。

これに固定資産税、都市計画税の支払いを加えると、必ず支払わなければならない費用の総額は借入額の5%はみておかなくてはなりません。

この他に建物のメンテナンス費用が必ず必要となるわけですから、実際に物件を維持していくためには利回り6%以上、できれば7%は確保したいものです。

しかし前述のとおり、それだけの高利回りを約束できる物件は現実の市場ではそう易々とは探せません。

勿論、豊富な自己資金があって、購入価格の一部または全部を自己資金で払える方は市場にある利回り5%前後の優良物件を購入されても何の問題もありません。(「何の問題もない」とは言っても、自己資金を投入する場合は税金面での注意点が多々あるのですが、その点については別の機会に述べることにします。)

しかし、大半のユーザーの方は購入資金の大部分を金融機関からの借り入れによって賄うことを前提にされているでしょうから、その前提で、一定の収入がある方なら多額の自己資金が無くても無理なく「買える物件」を探せる方法について述べます。

物件選びの条件の第一は場所(特に駅からのアクセス)、2番目は環境ですが、この点について極力妥協することなく探すとすれば、何か別の観点で問題を解決する必要があります。

この点については、いくつかの考え方があるのですが、ここでは実際に私達が手掛けている例を元にお話ししていきたいと思います。

次回からは場所、環境について重視した上で、高利回りの物件を探すノウハウについて述べます。

 

 

2018.10.02

収益資産の形成⑧・真の相続税対策

「駅近」を第一条件とした場合の物件の選びかた

相続税など税金対策を主たる目的とするケース

駅からのアクセスが良い土地は当然価値が高いわけですから、価格も高いのは当然です。。

しかし、単に土地の絶対価格(坪単価)のみならず、別の観点を考慮しなければなりません。

それは、相続税評価額の問題です。

特に、既に自宅やその他の土地を多く所有している方は先ずこの点を第一に考えるべきです。

近年の傾向として、郊外の住宅地に比較して駅に近いエリアは、不動産の相続税評価額よりも時価(実際に市場で取引される価格)の方が割高になっている例が多く見受けられます。(人気があるエリアなどは、時価が相続税評価額の2倍以上になっている場合もあります。)

市場価格が高いということは、金融機関の担保評価も高いということですが、この傾向は年々強まっていると考えて間違いないと思います。

このことがどのような効果を生み出すかというと、例えば郊外の住宅地(多くは第1種低層地域)などに比較的広い土地を所有されている方などは、土地の時価(市場価格)と相続税評価額があまり変わらない(場所や条件によっては、相続税評価額の方が時価より高い場合もあります。)ことが大半です。

このような方が、例えば郊外に時価10億円の土地(相続税評価額も同じ10億円と仮定します。)を所有している場合、時価が相続税評価額の2倍の不動産(購入価格を10億円と仮定します。)を全額金融機関からの借り入れによって購入した場合、総資産は元々所有している土地と併せて20億円になります。

また、その際の借入金は10億円になります。(元々借り入れがなかった場合)

新規に購入した土地の相続税評価額は時価の2分の1ですから、相続税評価額の合計は15億円です。

しかし、この場合、金融機関から10億円の借入を起こしているわけですから、相続税の対象となる資産の総額は15億円̠マイナス10億円で5億円になり、新規購入する前の半分になります。

この手法は、おそらく前述の傾向(エリアによっては時価が相続税評価額より相当高い状況)が今後も続く限り非常に有効な相続税対策になります。

 

 

 

2018.09.28

収益資産の形成⑦

収益資産を保有していくための条件

収益資産を無理なく保有していくためには、第一番目に利回りが6%以上は確保しなければならないと述べました。

ここでいう「利回り」とは、取得費用や初期メンテナンス費用を全て含んだものです。

自分が所有している土地に建物だけ建てる場合も全く同様で、その場合は「敷地」を現物出資するのだということを肝に銘じていなければ必ず失敗すると考えてください。(後ほど述べますが、所謂「サブリース」などによる「賃料保証」や「一括借り上げ」などがある場合も全く同様です。)

それでは、利回りが6%以上の収益物件は市場に現実的に存在するのでしょうか?

答えは「例外的なケースを除いてはNO」です。

利回りの基準となる「分母」は先に述べた通り、取得価格、取得費用、初期メンテナンス費用の合計でなければなりません。

ということは、新築、または新築に近い位リノベーションが施行されている物件の場合でも販売価格だけで考えると利回りが7%以上の物件でなければ上記の条件を満たさないことになります。

この数字は中々厳しいもので、我々プロの不動産業者でもそのような事例には中々巡り合うことができません。

それでは、現実の市場で探せる「優良物件」とはどのようなものになるでしょうか?

実際の不動産市場で物件を探す場合の条件

物件選びの基準は1に場所、2に環境、3に建物、の順番

まず重要視しなければならない点はアクセスです。

よく「ドアツードア」と言われますが、自宅を出てから職場(学校)までの時間が実質1時間以内が絶対条件で、できれば40分以内を目指したいものです。(この数字は、駅までの踏切や幹線道路、上り坂などの障害、乗り換えに要する時間など全て含んだ時間です。)

また、最寄り駅からの距離は人気の駅で徒歩15分以内(できれば13分以内)、普通の駅なら10分以内(できれば8分以内)を上限に考えるべきで、これをカバーできるだけのよほどの好条件がない限りは妥協しない方がよいでしょう。

歩行距離の問題は皆さんが考えている以上に重要で、徒歩10分(不動産業界の基準では1キロメートルにつき13分、つまり1分につき歩く距離は80メートルです。)の物件と15分の物件では5分しか変わらないと思われるでしょうが、実際は800メートル(10分で歩くとされる距離)の半径の面積と1200メートル(15分であることされる距離)では面積の差は2・25倍になります。

駅を基点に考える場合、歩行距離は円の半径に近くなりますので、遠くなればなるほど競合物件が多くなり(上記の例の場合、単純計算では物件数が2倍以上になるということです。)賃料の競合も激しくなるわけです。

賃貸物件を探すユーザーが空き物件を検索する場合、必ず最寄り駅から徒歩00分以内という項目を選択するわけですが、その際当然より近い範囲から検索を始めるはずです。

一例を挙げると、JR中央線「吉祥寺」駅周辺の賃貸物件で、部屋の専有面積が20㎡~25㎡、築年は平成10年以降、賃料が8万円以内という条件で空き室を検索すると、駅から徒歩15分以内では39件の空き室がありますが、10分以内では16件です。

徒歩5分以内になると空き室は6件のみです。(上記のデータは東日本不動産流通機構・レインズの平成30年9月27日時点の情報です。)

所謂「駅近」の物件が希少価値が高いことは不動産投資家なら誰しもが承知していることで、これから少子高齢化による人口の減少に歯止めがかからないとしたら、賃貸ユーザーは益々選択肢が広がり、駅から離れた物件の空室率は高くなる一方であると予想されますので、「駅近」の物件の価値は益々上がるものと思われます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2018.09.25

収益資産の形成⑥

元々所有している土地にアパート、マンションを建設するケースの問題点

これまでに述べた収益用不動産の取得に関する話は、基本的に土地、建物の双方を新規に取得することが前提になっています。(あるいは、土地を購入してその土地に建物を新築する。)

上記のケースとは異なり、元々先祖から代々受け継いだ土地などを所有している方で、その土地上に収益用不動産を建設するようなケースにおいても当然様々な注意点があるわけですが、このような方達の場合が最も思い違いしやすいことは、「利回り」を計算する場合の分母を建物の建築費のみとして計算し、土地の価格(時価)を考慮しないことです。

多くの方は、アパート、マンションを建築する動機が相続税や所得税などの「税金対策」にあるようですが、節税効果を期待できるとしても、収益用不動産を建築して資産価値を高めることができる土地は非常に限られたものであることを知るべきです。

「建ててはいけない土地」とは?

多くの場合は、自己所有の土地はそのままにして(駐車場やトランクルーム、資材置き場など初期投資が少なくてすむものにすることは考慮すべきですが)、収益用不動産として価値の高いエリアに土地付建物を購入するか、あるいは土地を購入して建物を建築することを考えるべきです。

自分の土地にアパート、マンションなどを建築しても、相当な利回りが期待できなければ(想定賃料が土地の時価+建物の建築費用を分母として計算して、なおかつプロジェクトとして十分に成立する場合。)建築する意味はありません。

何故なら、建物を20年~30年という長期間にわたって減価償却してローンを払い終わったとしても、残るのは元々所有していた土地であり、あらたに資産が増えるわけではないからです。(もちろん、利回りが良くてローンを返済しても余剰金が多く残るような場合は別ですが。そのような場合は建物の建築費を分母とした場合十数パーセント~20%近い利回りにならなけらばなりませんが。)

何度も述べている通り、そのような条件の土地は段々少なくなっています。

しかし収益用不動産を建築するには向いてなくても、戸建て住宅などの需要はまだまだ根強いものがありますので、駅から少々距離がある土地でも、住宅地としての価値はそれなりにあることが一般的です。

せっかく住宅地としてそこそこ価値がある土地を、不向きな収益用不動産の敷地として投資(現物出資)することは得策ではないことは誰でも理解できると思います。

「建ててはいけない土地」にアパート、マンションを建築することは、野球選手としては一流の選手にサッカーで勝負させるような愚行です。

そのままにしておけば、坪100万円の価値がある土地に、利回りが回らない(ここで言う「利回り」の分母には土地も含みます。なぜなら当然の話ですがアパート、マンションなどを売却する場合は土地も一緒に売らなければならないからです。)建物を建築してしまった場合、その物件(収益用不動産)の価格は基本的には利回りで決まるからです。

絶対に覚えておかなければならないことは、例えば住宅地として坪100万円で売れる土地を100坪所有しているとします。

そこに、建築坪単価100万円で100坪のアパートを建築します。

土地、建物を合計した価格(時価)は2億円となり、投資金額も2億円です。(土地を収益用不動産の敷地として利用したわけですから、土地も当該プロジェクトに現物出資として投資したことになります。)

100坪の建物(建築面積が100坪の建物は専有面積はもっと小さくなりますが、ここでは話を分かりやすくするため、貸せる面積も100坪と計算します。)を平均坪単価6000円で賃貸した場合、収入は月額60万円、年額720万円になり、その場合の年間利回りは3・6%ですから、収益用不動産としては合格点の物件と言えるでしょうか?

もし、この物件を市場で売却することなった場合、価格は原価の2億円を大きく下回ることになります。

現在の収益用不動産の価格相場は新築又は築浅の物件の場合ですが、23区の人気エリアで利回り4%~5%前後、三多摩地区の人気エリアで5%~6%、23区の主要駅徒歩圏の物件で6%~6・5%前後、三多摩地区の主要駅徒歩圏の物件で6・5%~7%前後が目安になります。

利回り7%でしか売れなければ、3・6%の物件は原価(投資総額)の半分で売却することになります。

いかに建物建築のリスクが大きいか分かると思います。

賃料が取れるエリアの例

それでは、上記の例で賃料坪単価が10000円の場合はどうでしょうか?

賃料坪単価10000円の場合は、月額賃料は100万円、年額賃料は1200万円になり、分母を2億円とすれば年間利回りは6%になります。

その場合、この物件は優良な収益用不動産と言えるでしょうか?

答えは「それだけでは十分条件は満たさない」ということになります。

なぜなら利回りで大事なことは、入居率です。

入居率は当該エリアの地域的人気に左右されます。

50㎡(15坪)の賃貸住宅(間取りは1LDK、2DKなどになりますが)が賃料坪単価1万円となると、月額賃料は15万円になります。

また、66㎡(約20坪)の賃貸住宅の場合は、月額賃料が20万円です。

最初の例に戻りますが、現在、1坪100万円が相場価格の住宅地は三多摩地区を例にとれば、中央線の場合、武蔵小金井駅から徒歩20分くらい、日野駅の場合は徒歩10分くらいのアクセスが目安になります。

西武新宿線では、田無駅から徒歩15分くらい、小平駅なら徒歩7~8分くらいです。

これらの土地に収益用不動産を建築した場合、上記の賃料を設定することは無理と言って差し支えありません。

理由は、これらの駅から同じアクセスで同じ間取りの分譲マンションを購入した場合、月々の支払額は上記の賃料よりはるかに安くなるからです。

勿論全ての賃貸ユーザーが持ち家志向とは限らず、企業の借り上げ住宅に住むといった例もあるでしょうが、賃料に対する割高感が否めないことは当然ですし、そもそも競合物件がはるかに低い賃料設定になっているわけですから、入居率が著しく低くなることは当然の話になります。

イーミライ・グループの本拠地は武蔵野市吉祥寺ですが、JR「吉祥寺」駅は三多摩地区においては比較的人気が高いエリアで、「住みたいまちNO1」にも度々選ばれています。

賃料相場は、吉祥寺駅から徒歩15分の立地で、50㎡(約15坪)の1LDKのマンションで、賃料坪単価は丁度1万円前後です。(比較的築年数が新しい物件の場合)

しかし、現在の市場においては、そのエリアの土地価格は、坪単価200万円以上になります。

従って、利回りは土地価格が100坪×200万円=2億円

建物が100坪×建築単価100万円=1億円

土地価格(2億円)+建物建築費(1億円)=3億円(分母)となり、利回りは

1200万円(年間賃料)÷3億円(総事業費)=4%になります。(実際は取得経費が掛かりますので、利回りはもう少し低い数字になりますが)

それでは、当該土地の建蔽率・容積率が良くて、建物が100坪ではなく200坪建築できる場合はどうでしょうか?

その場合は建物建築費は2倍の2億円(構造の変更による建築単価の増減はここでは考慮しませんが)となり、土地の価格(2億円)と合計すると分母は4億円になります。

年間収入は200坪×賃料坪単価(1000円)=2400万円

2400万円÷4億円=6%(年間想定利回り)になります。

実際の市場では、100坪の土地に200坪の建物を建築できる土地は相当割高になりますので、上記のように簡単にはいきませんが、やり方によっては理想的なスキームに近いケースもありえなくはないでしょう。

従って、自分が所有している土地がよほど良い条件(特にアクセス面)に恵まれている以外は、そこに収益資産を建築することを考えるよりは、より条件の良い土地を購入して、そこにアパート、マンション、ビルなどを建築するべきです。

そこで、所有する収益不動産を健全に無理なく保有し続ける為の第1番目の条件しては、何といっても利回りになりますが、土地、建物の価格(元々所有している土地であっても土地の価格=時価を分母に算入しなければならないことは前述のとおりです。)の合計+取得に際する諸経費を分母としての利回りが6%は必要となることを覚えておいてください。

 

 

 

 

 

 

 

2018.09.21

収益資産の形成⑤

的確な資金計画

最初の段階で述べたことと重複しますが、収益資産を無理なく取得し、維持していくためには的確な資金計画が必要であることは当然ですが、もう少し具体的に説明します。

先ず、大前提として、物件の購入資金の100%を金融機関の借入で賄うとして、購入物件の「アガリ」でこれを返済していく計画だとすると、金融機関からの利息が1%、返済期間が30年の仮定で検討してみます。

上記の前提で物件価格1億円の物件を購入すると、毎月のローンの支払いは約33万円になります。

利息2%の場合は毎月の支払が約37万円です。

(購入に際して必ず必要となる費用である登記費用、不動産取得税、ファイナンス費用、仲介手数料などは全て手持ち資金で賄うものと仮定します。)

1億円の物件で諸経費を自己資金で賄った場合、1億円に対する利回りが5%の物件の場合、1月の収入は42万円ほどです。

「月額42万円の収入があれば、ローンは十分に払っていけるじゃないか」と思われるかもしれません。

しかし上記の例の賃料収入は、満室であることを前提としており、例えば、10室ある部屋を1室42,000円で貸しているわけですから、1室空部屋があると収入は378,000円ほどになり、利息2%の借入金の返済にはギリギリの数字になります。

また、ローンの支払いの他、固定資産税・都市計画税を支払わなければなりません。

従って、上記の例の場合、1部屋でも空き室が出てしまうと、ローンの支払いは容易ではなくなります。

このような事態を十分に予測しておかなければなりません。

1、 将来のメンテナンス費用の予測

ここまでの支払いのシュミレーションは比較的容易に計算できるはずです。

しかし、それだけでは「的確な資金計画」とは言えません。

それでは、「的確な資金計画」を行うためにはどのようなことを知っておく必要があるのでしょうか?

前回も述べましたが、販売資料などに記載されている「利回り」は単に賃料と付随する収入(管理費、共益費など)を合計したものを当該不動産の販売価格で割ったものですが、必ず必要となる購入時の経費については、考慮されていない数字ですから、まずはそれらの費用を積算する必要があります。(後段でも述べますが、基本的にはこれらの費用は購入時に手持ち資金として用意しておくべきです。)

また、「管理費」、「共益費」と言われるものは実際のところは、単に「これくらいなら賃借人に請求してもあまり抵抗なく払ってくれるだろう。」というような意味合いで設定されている場合が多いことが現実です。

募集賃料を設定する場合も、賃料を50000円と表示するよりは、48000円(管理費2000円)と表示する方が賃料が割安な感じを与える効果があるからです。

従って、「管理費」という名目であっても実際にその金額で「管理」が出来るかというとそうではない場合が大半です。

ここで言う「管理」とは、賃貸物件の共用部分の清掃や電灯などの取り換えなど最低限の建物維持の費用を指します。

共用部分の清掃は、物件によって異なりますが、例えば25㎡の1L貸室×10戸(木造2階建て、敷地が150㎡前後とします。)の場合、共用廊下、階段、敷地内が対象とすると、月1回行うとして20000円~30000円ほど掛かりますので、1戸あたり、2000円~3000円は掛かることになります。

定期清掃費用の他にも建物維持の費用は諸々掛かりますが、これらを一括して賃貸管理専門業者に委託する場合は、賃料の5%程度で請け負う場合が多いようです。

オーナー自ら定期清掃その他を行えば、維持管理費用は限りなく0に近づけることが可能ですが、そうでなければ5%程度の費用を予め利回りからの引き算として計算しておくべきです。

2、 長短期メンテナンス計画

最も短期のメンテナンス費用と言えるのは、賃借人が入れ替わる際に殆ど必須となる貸室のハウスクリーニング代です。

単身者用の1Lマンションなどは比較的短期(1~2年)で賃借人が入れ替わることが珍しくありませんが、そのような場合でも、ルームクリーニングは殆どの場合施工する必要があります。

ルームクリーニングの費用は1Lで20000円~30000円ほどですが、最近は敷金ではなく、「ルームクリーニング代」として入居際に賃借人から預かる場合が多くあります。

これは大変合理的なやりかたで、設定したルームクリーング費用以上に掛かる場合は賃借人が喫煙者であるとか、故意または過失により想定外に賃借物件を汚したりした場合が大半になりますので、入居時に貸主、借主双方が納得できる「標準のルームクリーニング代」を取り決めておけば、お互いに想定外の出費となることを避けることが出来ます。

賃借期間が短期(5年以内)であり、賃借人が比較的綺麗に貸室を使用していれば、入れ替わりの際はルームクリーニングのみで済みますので、オーナーのメンテナンス費用の負担は実質的に0に近くなりますが、5年以上居住した場合、または賃借人が喫煙者であったり、使い方が良くない場合などはルームクリーニング以外にクロスや床、天井の張り替えなどが必要になる場合があります。

その場合、賃借人に一部または全部の費用を請求できる場合がありますが、原則としてこれらは10年毎には交換する必要があると考えるべきですので、その費用を修繕積立金として考えて、毎月の賃料から備蓄しておく必要があります。

専有部分について言うと、トイレ、洗面、キッチン、バスなどの水回り品の交換時期の目安は15年前後ですが、これらについても毎月の賃料から計画的に備蓄しておく必要があります。

その他、屋根や屋上、外壁の塗装、防水工事は12年~15年毎、共用廊下、階段などについては、やはり12年~15年毎に塗装などの工事を行う必要があります。

以上、多岐にわたる改修工事について、購入時から綿密な資金計画をたてておく必要があります。

この点において肝心なことは、何か問題が起こった時に場当たり的に管理会社に任せてしまうと、無用な出費が多くなるばかりか、工事の単価も相場より高い金額を請求されていたりすることです。

特に、サブリースの物件などは注意を要します。

工事については、施工方法や部材そのものが技術の進歩などにより変わったりします。

いずれにしても、日頃、工事の内容や単価について、オーナー自身が常に勉強を怠らないことが大事です。

3、 入居率

いくら綿密な資金計画を立てても、肝心の入居率が悪ければ全て机上の空論となり、資金計画は破綻することになります。

年間平均の空室率が80%以下になるような物件は、元々設定賃料が間違っているのか、そもそも収益用不動産を建てるのに向いていないところに建ててしまったということになるのですが、いつも繰り返し述べているとおり、近年の賃貸市場においては、収益資産として成り立たないエリアが増えているのが現状ですので注意を要します。

どのような優良な物件でも、特に高い賃料坪単価が見込める単身者用の物件は、毎年2月~4月の入れ替わりの時期になると一度に多くの部屋が空いたりしますが、年間平均の稼働率としては90%以上を確保したいものです。

 

 

 

 

 

2018.09.18

収益資産の形成④

不動産業者との上手な付き合い方

収益用不動産にかかわらず、不動産を購入する際には売主が不動産業者であるか、仲介に不動産業者が入るか、あるいは、その両方であることが大半です。

いずれにしても、物件に関する説明や購入条件等については不動産業者から説明を受けることになりますので、物件の購入に関しては不動産業者と上手く付き合うことが大切になります。

信用できる不動産業者と長期間にわたり、継続的に付き合って上手に資産形成をした方も現実に多くいます。

しかし、それは例外的であると言わざるを得ず、多くの場合は物件を売るために買主に不都合な面に関しては十分な説明がなされておらず、購入後になって色々な問題点が発覚することも少なくありません。

このような事態を避けるためには、当然購入者自身が必要な知識を身に着けることが一番ですが、誰しもが十分な知識を身に着けることは不可能でしょう。

そこで、ここには収益用不動産を購入する場合、購入者として不動産業者にこれだけは聞いておかなければならない事項を列記しておきます。

1、最寄駅からのアクセス

通常、売り物件の「物件概要書」や「販売図面」と言われるものには、最寄り駅からの単純な距離のみを根拠に、「00駅徒歩00分」と表示してあります。

しかし、駅から当該物件までは上り坂だったり、途中に踏切や車の通りが頻繁な幹線道路があったりすると現実に掛かる時間はその2倍以上になることがあります。

従って、どのような場合でも先ずはご自分で最寄駅から物件まで歩いてみることです。

その上で、不動産業者に「00駅から徒歩00分と表示してあるが、間違いありませんか?」と聞いてみてください。

良心的な業者なら、前述のような障害がある場合は、その点を説明してくれるはずです。(この点は、普通の戸建て住宅やマンションなどを購入する場合も同様ですが、私はイーミライグループの営業マンにはこの点を十分にこちらから率先して説明するように指導しています。もし、担当者がその点について説明を怠るようでしたら「?」が1と考えてください。

2、賃料のバラつきに関する問題点

現実の売り物で、同じ間取り(あるいは反転間取り)、同じような専有面積の部屋が10室のアパートで、各部屋の賃料が極端に差がある場合が多々あります。

勿論、間取り、専有面積が同じでも1階と2階、角部屋とそうでない部屋では賃料は若干異なります。

しかし、ある部屋は40000円である部屋は60000円ということは明らかに不自然です、

あるいは、本来賃料が高いはずの上層階の角部屋より1階の部屋が賃料が高いというような場合は明らかに不自然です。

このような現象は、古くから居住している賃借人が当初の高い賃料のまま契約を更新し続けているような場合によくあることです。

10年以上居住しているような賃借人の場合、このような現象が多々生じます。

このような物件の場合、最近の入居者の賃料をよく検討すべきであり、現時点のレントロールを鵜呑みにしてはいけません。(古くから住んでいる賃借人が退室した場合、前述したように部屋の改修工事の費用も多額になることが一般的です。改修工事の費用は、煙草の跡など明らかに賃借人の責によるもの以外はオーナー自身が費用を負担しなければなりません。)

このような物件について、表面のみならず現実的な利回りがどの程度になるであろうかについて、注意点を説明してくれる不動産業者は信頼できると言えるでしょうが、何らそのことには触れず、表面の利回りだけを強調する不動産業者には「?」が1と考えてください。

3、 メンテナンス費用の予測(中古物件の場合)

前項と重なりますが、一般的に空き室があるような収益用不動産は当該空き室については既に改修工事が施行してあり、賃借人がすぐに入居できるように綺麗な状態になっているのが普通です。

業者が物件を案内する際、例えば10室あるアパートで半分空いているような物件はなにか特別な事情がある場合(数部屋一括貸ししていて一度に空いたようなケースで全体的な稼働には問題がないような場合)を除いては、市場に出ても中々成約できませんので、ある程度賃借人を埋めてから市場に出すのが普通ですから、購入に際して実際に物件を見る場合、せいぜい全体の部屋数の1割~2割程度しか確認することは出来ないと思います。

稼働している部屋については、状況が分からないまま購入することになりますが、前項に述べた通り長期にわたって同じ賃借人が住んでいた場合は改修工事費用が嵩む可能性が高いと考えなければなりません。

また、耐久部材、例えば給湯器、エアコン、洗面ユニット、バスユニット、キッチンユニットなどは使い方によって寿命が異なってきますが、早ければ10年程度で交換しなければならない場合があります。

従って、全オーナーからそれらの修繕履歴、交換履歴を貰うことが出来れば今後のメンテナンス費用の目安になります。

修繕履歴は、建物の外部(屋根や外壁、共用廊下、階段など)についても有れば良いのですが、これらの部分は業者に見てもらえば様子が分かりますので(すぐに施工すべきか、何年後に施工すべきか、また費用がどれくらいか)対処できますが、賃借人の専有部分については履歴に頼らざるを得ません。

履歴の有無について、あるいは全オーナーからの聞き取りの情報などについて積極的に説明してくれる不動産業者は信頼できると考えて良いでしょう。

この点について説明しない不動産業者は「?」が1と考えてください。

また、外観だけ綺麗になっていても、最も費用を要する耐久部材については修理あるいは交換がなされていないことが良くあります。

この点については瑕疵担保責任の対象外になりますので、尚更注意が必要です。

4、 想定賃料が妥当か?

新築物件の場合、「青田買い」と言って、まだ建物が完成していない状態で契約する場合があります。

このような場合は当然入居者はいないことが原則(企業などの一括貸しが決まっていたりする場合もありますが)ですが、建物が完成している場合でも入居者が埋まっていない場合は多々あります。

中古物件の場合も空室があることは珍しいことではありませんが、いずれの場合も空室については「予定賃料」あるいは「想定賃料」といったものが販売資料に記載してあることが一般的です。

それらの空き室については、普通は賃貸の募集資料があるはずから、その内容を見て募集条件をチェックすることは当然必要です。

また、稼働している部屋の賃貸条件についても賃貸借契約書の写し(更新している場合は過去の契約内容についても調べることがベターです。)などを貰い、賃貸条件の推移について調べてみると色々なことが分かってきます。

例えば、新築物件の場合、募集を始めた時期がいつなのかや当初の募集条件と現在の募集条件に変更がないかなどという点もチェックすると良いと思います。

例えば、建物が完成して6カ月後に10部屋の内5部屋しか埋まらず、賃料を下げたり、敷金の預かり額を下げたりといったことを行っている場合もあります。

業者向けの資料に多額のAD(100%以上)の支払いが記載されている場合などは、賃貸の客付けに苦労している証拠と思って間違いありません。

ADとは宣伝広告費のことですが、通常賃貸の客付け業者は報酬として、当該賃貸借物件の月額賃料の1か月分を限度(貸主、借主双方から支払われる金額の合計)として、報酬を取って良いとされています。

つまり、報酬額の限度は賃料の1月分ということですが、それ以外に貸主(客付けを依頼する方)の依頼に従い、報酬と別途にAD(宣伝広告費)を取って良いとされています。

人気があるエリアで、比較的賃料がこなれているような物件はAD無しでも十分に埋まるものですが、現在の賃貸市場においては、少しでもマイナス要因(最寄り駅から遠い、物件が古い、日当たりが悪い、線路が近い、幹線道路が近いなど)があると、当然空室率が高くなります。

そのような場合、オーナーは賃貸客付け業者に、自分の物件をより積極的に勧めてもらわなければ中々空室が埋まりませんので、客付け業者に多額のADを支払うことになります。

また、「フリーレント」と言って、入居者に入居後ある一定期間賃料を無料にするサービスを行って空室を埋めようとすることがあります。

これも、普通に募集していては中々空室が埋まらない物件の場合良く見られる現象です。

多額のADやフリーレントによって空室が埋まっているような物件は仮に満室やそれに近い状態であっても利回りを割り引いて考えなければならないでしょう。

これらの点について何ら説明がなされずに物件の購入を勧めるような不動産業者に対しては「?」です。

不動産業者のと付き合い方のまとめ

ここに述べたことは、収益用不動産を購入する場合、売り主または仲介する不動産業者に対して聞いてみなければならないことの一例ですが、これらの質問に対し、明確に答えることができない業者、あるいは答えようとしない業者、誤魔化そうとする業者などは論外です。

つまり、自分が的確な知識を持てば持つほど、的確な質問をすることが出来ますので、対応する不動産業者もより慎重かつ的確な回答をせざるを得なくなることは間違いありません。

どのような物件でも全てが100%満足できるものは現実的には有り得ないはずです。

ということは、どこがその物件のネックになるか(利回りが低め、建物が古い、土地の地形が悪い、アクセスが悪い、入居率が悪い、など)を包み隠さず説明してくれる担当者でなければ信頼関係を築くことはできないでしょう。

ネックになる部分をどのように解決して、コストパフォーマンスを上げていくかという積極的な対応を話し合えるような担当者こそこれから資産を形成していく上で信頼すべきパートナーと言えます。(例えば、建物が古ければ必要な改修工事を施工することによって今後長期間にわたって物件を稼働させることができます。)

ここでは不動産業者との付き合い方に基本をいくつか述べましたが、この点についてはここに述べた以外にも折に触れて述べていきたいと思います。

 

 

 

 

 

 

 

2018.09.11

収益資産の形成③

購入に際して用意すべき資金と購入後に要する費用

収益用不動産に関しては、十分な流動資金が必要であり、余裕を持った資金計画をたてる必要があることは前回述べたとおりですが、では、購入するにあたりどれくらいの資金を用意すれば万全と言えるのでしょうか?

先ず、第一に考慮しなければならないことは、購入時に要する経費です。

経費とは下記のものを言います。

購入する際に必要な経費(購入時1回限り)

1、 登記費用

2、 仲介手数料

3、 ファイナンス費用

4、 不動産取得税

5、 印紙代

購入時の主な経費は上記のとおりですが、これらの費用を合計すると、当該不動産の購入価格の7%~10%程度の経費がかかります。

一般的に不動産の販売資料には、上記のの費用は無視して、単に分母を当該不動産の価格のみとして、計算してある場合が大半ですが、上記の費用は購入の際必ず掛かるものですから、その総額を分母に算入して、本来の利回りを把握しておく必要があることは言うまでも有りません。

また、注意しなければならない点は、これらの経費はどのような物件を購入しても必ずかかる経費ですが、物件によっては(特に中古物件)これらの経費以外に購入後時間を置かずに建物のメンテナンス費用が掛かる場合があるということです。

例えば、購入時は入居者がいた部屋が購入後に退室となり、次の賃借人に貸すために予期せぬ額の改修費用が掛かるというような場合があります。(特に長期間にわたって居住していた賃借人が退出した場合などこの問題がおきます。)

私が不動産の業界に入った平成始めの頃は、このような場合、回収費用は殆ど賃借人に請求出来たのですが、(多くの場合、入居時に3カ月分前後の敷金を預かることが通例でしたので、別途に請求することなく、改修費用を敷金から棒引きすれば済んだわけです。)近年、賃借人の保護の観点から、経年劣化による床、壁、水回り品などの改修費用については賃借人に請求することは難しくなっているばかりか、そもそも多額の敷金を預かること自体が難しくなっています。

10年以上にわたりメンテナンスを行わずに貸し続けていた物件の場合、床、クロス、天井、キッチン、浴室、洗面、エアコン、給湯器など全面的な改修工事を行うと、1室あたり、単身者用の物件で100万円~150万円、ファミリー向けの物件で150万円~250万円くらいの改修工事費用がかかることが珍しくありません。

また、屋根、外壁、共用廊下など建物躯体についても、いつ何時補修の必要性が生じるか分かりませんので備えが必要です。(購入先に対し、「瑕疵担保責任」を理由に費用を請求できる場合もあります。また、保険でカバーできる場合もあります。)

これらの不意の出費は別として、固定資産税、管理費などは収益用不動産を所有している限り必ず継続的に支払わなければならないものです。

信用できる不動産業者を通して物件を購入することができれば、購入時の費用は勿論、購入後に掛かるであろうと予測される費用まである程度シュミレーションしてくれて、不意の出費にならないように備えることができるでしょうが、多くの場合はその点について必要十分な説明やアドバイスはなされていないのが現状だと思います。

それどころか、いわゆる「利回り」については、物件の広告などには目いっぱいの数字が記載されている場合が大半です。

「目いっぱい」という意味は、まず「想定賃料」(実際に稼働している賃料ではなく、これから募集する予定、あるいは募集中の賃料)が高すぎると思われることが多々あります。

実際に賃借人が入居する場合、「想定賃料」より高い賃料で入居することは有り得ないのですが、「想定賃料」より低い賃料で入居する(思い通りに賃借人が埋まらないので、止む無く募集賃料を引き下げて入居させることが多々あります。)ことは珍しくありません。

また、実際に稼働している賃料についても、基本的に賃料相場は右肩下がりの傾向にあることに加え、物件が老朽化するに従い賃料は下げざるを得ないのですが、古くから入居している賃借人は比較的高い賃料を払い続けているが、最近入居した賃借人は安い賃料で契約しているという現象が多くの物件で見られるのが現実です。

この点については、各部屋の賃借人の入居時期や契約の系譜(最初に入居した年月日から何回契約更新をしているか、またその間の賃料の変遷の経緯)などを詳細に検討する必要があります。

また、近隣の環境の変化、例えば近くに大きな企業や学校があり、それらの需要が多かったエリアで企業や大学が移転してしまい需要が急激に衰えたなどという事例もあります。

とにかく、収益用不動産の生命線である賃料=「アガリ」の良し悪しを左右する因果関係については調べるだけ調べても「これで十分」ということはないのですが、不動産業者だけに頼らず、ご自分で知識を集積することが重要です。

購入に際して、売主や仲介を行う不動産業者に対し、的確な質問をするだけでも対応が違ってくるはずです。

次回は売主や仲介を行う不動産業者との適切な付き合い方について述べます。

 

 

 

 

2018.09.11

収益資産の形成②

最初に購入する物件選びと購入方法が最も大事

前回述べた収益用不動産の購入による資産の形成についての話ですが、実際にそのように事が上手く運ぶものであるかという不安、疑問をお持ちの方は多くいらっしゃると思います。

他人が支払ってくれる賃料(アガリ)で労せずして不動産を手に入れることができれば誰しもそれを望むはずです。

しかし、そのような方法で資産を形成していけるのは実際はほんの一握りの方で、多くは目的を達成できない事の方が多いわけです。

その違いはどこにあるのでしょう?

無理のない資金計画

最も大事なことは20年~30年の長期にわたる借入金を主たる原資として不動産を購入するわけですから、完済までの遠い道筋を見通せる長期の資金計画を建てることです。

例えば,購入する建物(あるいは、土地を購入してそこに建物を新築する場合もあると思います。)の構造(RC造、S造、木造)、築年数等の条件により、将来掛かる補修などのメンテナンス費用が異なってきます。

また、部屋の間取りや広さにより、貸す対象者(単身者向き、ファミリー向きなど)が異なってくることは勿論、平均居住期間のサイクルなども考えておきべきでしょう。

いずれにしても、どのような物件でも状況の変化に伴い、稼働が悪くなったりメンテナンス費用が一気にかさんだりすることがありますので、それに対処するだけの流動資金が確保できなければ難局を乗り切れない事態を招く恐れがあります。

私が知っているマンションのオーナーさんで、単身者用の1Rマンションをある企業に一括貸ししていたのですが、その会社が契約解除することになり全室空室になったところ、各専有部分や建物共有部分をメンテナンスする費用を確保していなかったため、新規募集が円滑に進まず、止む無く物件を売却することになったということがありました。

流動資金が確保できていれば、例えば借入金利が上昇した時など元金を減らして月々の返済額を増やさないようにするなどの対応策が可能になります。

前回述べたオーナーさん達に共通していることは収益用不動産を購入するに際して、皆さん十分な流動資金を確保した上で購入しているということです。

次回はそのへんについて詳しく述べたいと思います。

 

2018.09.10

収益資産の形成①

やっぱり「資産」と言えば不動産?

今から15年ほど前の話です。

ある、一般ユーザーの方に約2億円のアパートを買っていただいたことがあります。

その頃私はある不動産買取業者に勤務していた(実質的にはその会社の経営全体を任されていましたが)のですが、その会社で買い取ったアパートをそのお客様に買っていただいたわけです。

そのお客様(60歳くらいの女性)と契約の際に色々お話をしたのですが、その方は若い頃事情があって今でいうシングルマザーになり、子供さん二人をご自分一人で育て上げられたそうです。

昼間はある会社に勤め、夜はビル清掃のアルバイトなどをして大変なご苦労をされたそうですが、苦しい中でも少しずつ貯金を欠かさず、貯まった資金で手始めに小さなアパートを購入したということです。

その後、もう一軒アパートを購入されて、私が売った物件は3件目だということでした。

その方の話ですがとにかく、購入したアパート(当然金融機関から借り入れをして購入しているのですが)の収入には1円も手を付けず、全て貯蓄に回すということを貫いたということです。

つまり、賃料収入からアパートのローンを支払い、固都税などを支払ったとしても若干余剰金があるわけですが、それには絶対に手を付けず、次の物件を購入する資金にしたということです。(もちろん、その間ローンの支払いを重ねるごとに元金も減っていくわけですから、減った分が原資になるわけですが。)

もしその方がその方法を現在まで続けているとすれば、私が知っている限り、私が買っていただいたアパートのローンは既に元金の大半、あるいは全部を返済し終わっているはずです。

そのアパートは大変良い立地にありますので、資産価値は購入された時よりも相当上がっています。

ということはその方は少なくとも2億円以上の資産をこの15年で形成されたということです。

私はこの方のような方法で資産形成した方を少なくても10人以上知っていますが、これらの方に共通して言えることは、皆さん不動産投資に失敗していない(確実に資産を増やしている)ということです。

また、これらの方に共通していることは皆さん「お金の重み」を良く知っているということです。

どの方も物件選びで共通していることは、表面の利回りより立地、アクセス、環境などの面に関していずれも上位の物件(私はこのような物件を「ピンの物件」あるいは「テンの物件」と称しています。)

どのような方法で収益用物件を購入するとしても、土地、建物両方を購入して賃料(つまり「アガリ」)のみで返済することができれば、どんどん資産を増やしていくことは現実に不可能ではありません。

しかし、「アガリ」のみで購入資産を維持していくことはそう簡単ではなく、様々な条件が整わなければ維持どころか自らの人生自体が破綻してしまうことも有り得ます。

次回はその点について述べたいと思います。

 

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