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2018.10.19

外国人労働者の受け入れ

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外国人労働者に対する門戸開放は受け入れなければならない状況

このブログでも再々取り上げた問題ですが、我々が係る建設業を始め、介護、飲食、農業、運送などの各分野における深刻な人手不足を解消するためには、外国人の労働力を積極的に受け入れる他ないという話がいよいよ現実味を帯びてきました。

10月12日のニュースによれば、法務省が外国人労働力受け入れのための法整備に乗り出したということで、受け入れる外国人につき、従来の「技能実習生」(最長5年滞在可)に加え「特定技能1号」、「特定技能2号」というカテゴリーを新設し、長期間にわたり日本に滞在できる内容で秋の臨時国会に法案が提出され、早ければ2019年4月に新制度が始まる見込みということです。

既に首都圏にお住まいの方は飲食店やコンビニなどで外国人労働者が多く働いていることを認識されていると思いますが、彼らの多くは「留学生」として来日し、「週28時間以内」という「法的に認められた範囲」でアルバイトなどをしているケースではないかと考えられます。(日本学生支援機構の調査によれば、2017年5月時点で日本で学ぶ外国人留学生の数は26万7000人です。)

勿論彼らの多くは真剣に日本で様々な勉強をするために頑張っているものと思いますが、中には「留学」は隠れ蓑で日本で就労することが目的というケースも多いと聞きます。(ある地方の学校が留学生を募集したところ、応募した中に過去に「実習生」として来日した履歴の者が多数混じっており、入国手続きが出来なかったということがあったそうです。)

また、彼らが就労できる「週28時間以内」という制限に関してもどこまで遵守されているかは定かではありません。

しかし、私はこの点については、むしろ受け入れ側の日本に問題があると思います。

以前から、少子高齢化による深刻な人手不足は誰しもが予測していたことであり、今まで頑なに拒絶していた「単純労働者」の受け入れに関して、法整備を怠り、違法あるいは脱法的な労働力が蔓延るようになってしまったことは、政治家の勇気の無さが一番の原因だと思います。

なぜ、外国人労働力に対する門戸開放について、政治もマスコミも大きく取り上げることなく、また公けの場で議論されることなくここまで来てしまったのでしょうか?(私の勉強不足かもしれませんが、テレビや新聞などでも本件に関する大々的な特集や有識者の意見など殆ど目にしたことがありません。その内に、繁華街の飲食店やコンビニなどの店員など多くの外国人が働いている現場に出くわすことになった訳ですが)

いずれにしても、日本は今後外国人の労働力に頼らざるを得ないという現実を直視した上でいかに彼らと調和して良い関係を築いていくか我々も真剣に考えていく必要があります。

来日する外国人労働者の生活の下支えが必要

今後近い将来に来日する外国人労働者の数は、少なくとも数十万人と言われていますが、日本の少子高齢化社会の現状を鑑みると、現在検討されている介護、農業、建設、宿泊、造船の5業種に加え、外食、運送、コンビニなどの流通、など十数種の業種に関してもなし崩し的に門戸開放をせざるを得ないでしょうから、最終的に必要となる外国人労働者の数はその数倍になると考えなくてはならないと思います。

現在のところ、一部の例外を除き来日する外国人労働者の妻子については日本国内に居住することは認めない方針のようですが、この規定は明らかにおかしい話で、彼らの生活をより安定させるためにも妻子の日本国内居住を認めるべきです。(外国人を受け入れる上で日本人の大半が感じる不安要素の第一番目は「治安が悪くならないか?」という点ですが、家族も受け入れることはこの点については大いにプラス要素になるはずです。)

また、多くの企業は外国人労働者を日本人より安い賃金で雇用することを期待していると思いますが、少なくとも彼らが真面目に働きさえすれば日本で快適な生活を送ることが出来るだけの所得を得られるような基準を設けるべきだと思います。

また、「住」の問題についても官民一体となって一定レベルの住居を確保できる体制を考えるべきです。

言葉の壁などの克服

外国人労働者に日本に根付いてもらい、相互に良い関係を構築していくためにはどのようなことが必要なのでしょうか?

一番肝心なことは、言うまでもなく相互の信頼感の構築ですが、そのような理想的な関係を築くためには色々な壁が存在すると思います。

先ず思い浮かぶことは「言葉の壁」です。

以前、私達が運営していたシェアハウスにはベトナムからの留学生の方が入居されていましたが、その方は私の知り合いでベトナムから来日する留学生・実習生などの世話をするNPO法人の代表をされている方の紹介で入居されました。

入居当初は、生活習慣の違いから些細なトラブルがありましたが、何度かそのNPO法人を通じて意思の疎通を図るうちに相互理解を進めることができて、その後はその方が最も模範的な入居者となりました。

また、僅かの間に日本語が上達して、1年足らずでNPO法人の手を煩わせることなくコミュニケーションを図ることができるようになりました。

外国人を受け入れる側の考え方

このように、「言葉の壁」は相互の努力により克服できるものではないかと思うのですが、それよりも肝心、かつ根本的な問題は、外国人労働者を受け入れる私達の心構えではないかと思います。

例えば介護の業界では、ベッドは空いていてもヘルパーや看護師などの人材の不足により入居者を受け入れることができないという現象が起きておりこの先は更に深刻になると予想されています。

特に、首都圏においては将来子供の世話にならず、介護付きの老人ホームなどに入居しようと考えている方は非常に多い筈です。

飲食業界においては、24時間営業が人手不足によりできなくなった店舗が多く出現しており、営業形態そのものの変更を余儀なくされている例もあります。(コンビニも同様の問題に対してかろうじて耐えている状況です。)

宅配便のドライバー不足とそれに伴う長時間労働の問題、建設現場における人工不足の問題などどの業界においても人手不足は深刻です。

このような事態を招いたことは、私達日本国民全体の認識不足と将来の予見能力不足が原因であると大いに反省しなければならないと思います。

つまり、私達は外国からの労働力に頼らなければならない立場であり、極論すると自らが自分の親の老後の面倒さえ満足に見ることが出来ないような社会にしてしまったと認識しなけれてばなりません。(極端な例かもしれませんが、夫婦二人とも一人っ子だとすると、二人で4人を世話になければならなくなるわけです。勿論子供の数が少ない、または子供をつくらないこと自体に善悪や自己責任は一切ありませんが、少子化に対する対策を社会全体が真剣に考え対処しようとする努力を怠っていたとすればその点は大いに反省するべきです。)

このように、日本の労働人口の減少という事態を招いた原因は当然私達日本人自身にあるわけで、就労年齢の引上げ等の対策も焼け石に水である現実を直視する限り、この問題を早急に解決するためには、もはや外国人の労働力に頼る他ないわけです。

そのような観点に立って考えれば、外国人労働者を受け入れる場合、彼らに「来て働いてもらう」,ひいては「気持ちよく仕事をしてもらい日本に根付いていただく」という立場を認識することは当然の話です。

外国人労働者に関して最近耳にする問題点

最近、イーミライ・グループの取引先の施工業者(解体業者)の社長(K社長と記載します。)と外国人労働者の現状について話をする機会がありました。

私が「知り合いにベトナム人実習生を受け入れる補助業務をしているNPO法人をやっている方がいるので、イーミライ・グループで数人受け入れて所有しているマンションなどに住んでもらいながら仕事をしてもらおうと思っているけど」という話をしたところ、K社長のところでは既に何人かのベトナム人実習生を受け入れたことがあるようで、

「彼らは、来日すると仲間の人材ブローカーなどとネットを通じて連絡を取り、今の職場よりより良い条件の職場があるという話につられて、いつのまにか辞めてしまうんですよ。」という話でした。

「今より良い条件の職場」という話は殆ど例外なくウソ話で、より劣悪な環境で働かされ、犯罪行為に走ったりする者もいるということです。

このような事態を招く大きな原因は先ずは相互のコミュニケーション不足にあることは間違いないのですが、来日する外国人の誰しもが抱くであろう不安や疑問に対して適切な助言を行い、相談に乗ってあげられるシステムが大変重要になると思います。

勿論、前述のNPO法人はこの点で大きな役割を果たしているのですが、先ずは我々雇用する側が彼らが満足できる労働条件で、尚且つ、技量の向上や仕事の熟練度に応じてより良い条件が得られる提供することが大事です。

話は元に戻りますが、とにかく基本は「外国人労働者は自分達日本人のために、遠い祖国から来てくれるのだ」という考え方を持つことです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2018.10.16

収益資産の形成⑫

シェアハウスは?

このブログを書いているのは、平成30年10月11日ですが、数カ月以前にシェアハウスに対するスルガ銀行の不正な融資の問題で、同行から融資を受けた多くのオーナーが借入金の返済が滞る結果となり、社会問題化するということがありました。

その顛末を見た多くの方がシェアハウスという形態そのものに不信感を抱かれたと思います。

しかし、このブログでも以前に述べた通り、シェアハウスという形態自体に何ら問題があるわけではなく、むしろその運営方法や運営に携わる人材の問題の方が重要であることを理解する必要があります。

実はシェアハウスは昔からあった

私が東京に出てきたのは昭和50年で今から40年以上前の話ですが、最初に住まいとしたのは文京区の木造2階建て、全部で20室の古いアパートでした。

居室部分は4畳半の和室で、今で言う「専有部分」は8㎡ほどです。

建物の入り口は共用の玄関で、台所、トイレなども共用、風呂は無しというものでしたが、当時の学生用のアパートとしては珍しいものではありませんでした。(大学の同級生や先輩の多くがこのようなアパートに住んでおり、風呂などの設備が整ったアパート、マンションに住んでいるのは一部の富裕な家庭の子弟のみでした。)

家賃は月額12000円だったと記憶しています。

このアパートに入居して間もなく、隣室の方(別の大学の4年生の方でした。)と話をさせていただくようになり、その後、1階に住んでいる10人ほどの方の内半分くらいの方と親しくしていただくようになりました。

社会人の方も半分くらいいて、自分が最も歳が下だったので食事をごちそうになったり色々と皆さんにお世話になった記憶があります。

このアパートは今思えば、現在のシェアハウスと殆ど変わりがないわけで、異なる点は共用のリビングルームや浴室がないということくらいです。

つまり、この頃の単身者の多くは、現在のシェアハウスに似た形態の賃貸建物に居住していたということが言えます。

その後、社会が豊かになるにつれてそのような形態のアパートは段々少なくなっていき、学生などの単身者用のアパート、マンションの設備はバス、トイレ、風呂などが必須のものになっていきました。

平成元年前後のバブル期には、単身者用のアパート、マンションは専有面積が比較的小さい(13㎡~18㎡ほど)ものが主流になりましたが、何よりも各室のプライベートが保てることが条件になっていったことは間違いありません。

逆の言い方をすると、プライベート重視のあまり住民同士は隣室にどのような人が住んでいるのかさえ分からない(分かろうとしない)という風潮が顕著になっていったように思われます。

その後、市、区などの各行政による単身者用マンションに対する規制(最も大きな制限は各戸の最小面積に対する制限で、現在は多くの市、区において一定以上の規模の建物に関しては1戸の専有面積が過小なものは建築できなくなっています。)なども厳しくなり、単身者用のマンション、アパートは25㎡以上のものがスタンダードになっていきました。

近年の所得の二極分化現象

ここ10年ほど以前からよく言われていることですが、現在の大都市圏では所得の二極分化が進んでおり、平成27年の統計によれば、年収200万円以下の世帯が全体の20%、200万~300万の世帯が14%、300万円~400万円の世帯が13・1%と言われています。(年収100万円以下の世帯が6・4%もいます。)

極端な例では、住宅難民と言われる一定の住居を持たずネットカフェなどを転々とするような人達も多くいるという報道を目にした方もいらっしゃると思います。

このような人達の多くは定職を持たず、所謂フリーターとして生活しているため、賃貸住宅の入居審査に通りにくいというケースが多く、また入居の初期費用が調達できないという場合も多いと言われます。

通勤に1時間半以上係るような都心から遠く離れたエリアや駅からバス便などの不便な立地の物件は賃料も比較的安く、入居の初期費用も負担が少ない場合が多いのですが、そもそも遠いことにより交通費も掛かりますし、各部屋がそれぞれキッチン、バス、洗面、トイレなどの設備を完備している場合は賃料がいかに安くても、光熱費や消耗品が各個の負担になりますので、居住に関するランニングコストを極端に抑えることは不可能です。

その点、シェアハウスは共用部分のコストが抑えられ、居室に関しても私が学生の頃住んでいたアパートと変わらない広さで済みますので1棟の建物に通常のアパート、マンションの2倍近い部屋数を入れることが出来ます。

このような理由により、シェアハウスは借り手、貸し手の双方にとってメリットがあり、「所得の二極分化」という傾向が続く限り将来需要が伸びる可能性が強いと言えると思います。

現在の不動産市場におけるシェアハウスの賃料相場

それでは以上のような事情を反映して建てられた最新のシェアハウスの賃料相場はどのようになっているでしょうか?

一例ですが、都心まで30分~40分ほどで通勤可能な23区内の新築物件で月額賃料が3万円以下という物件が現実に数多く存在します。

この物件の近隣のアパートの賃料相場は20㎡前後の物件で6万円台、25㎡前後の物件で8万円近いのでシェアハウス形式の物件の賃料は約半分ということになります。

シェアハウス形式の物件の場合、管理費が賃料と別に15000円~20000円位掛かるのが通例ですが、その代わり光熱費や一部の消耗品(トイレットペーパーなど)も無料となる場合が多く、またベッドなどの家具、冷蔵庫、洗濯機などの家電製品も完備している場合が多いので入居の初期費用は通常のアパート、マンションより比較にならない位安く抑えることができます。

シェアハウス運営の問題点・「箱」を造るだけではシェアハウスは成り立たない。

このブログでもすでに述べていることの繰り返しになりますが、シェアハウスは通常のアパート、マンションと異なり、住民同士が直接顔を合わせる場面が多くなる造りになっていますので、住民同士のトラブルを避けるために最低のルールを遵守してもらう必要があります。

よくあるトラブルとして、騒音、ゴミ出し、電気や水道などの使用などの問題があります。

特に共用部分の使用に関しては、居住者各自に良識を持ってもらうように働きかけることが重要ですが、そのためには少なくとも週に1回以上は管理会社が巡回して是正してもらわなければならない点について、住民とコミュニケーションを取ることが欠かせません。

イーミライ・グループでシェアハウスを管理していた時は、巡回の度にリビングルームに設置したホワイトボードに注意点を書き込む他、住民同士の問題で要望があった場合は、個別に面談して是正点について協力してもらうように話合をするなど、細かな努力を積み重ねました。

また、物件周辺からパート労働力により定期清掃のスタッフを確保し、週2回の清掃(特に共用部分)を行うようにしました。

その結果、住民同士の意識が徐々に向上し、自然にルールが確立されていったようです。

このように、シェアハウス運営には管理スタッフの絶え間ない努力が欠かせないのですが、一定のスケールメリットと人材の確保という問題をどのように調和させるかという点でさらなるノウハウの集積が必要です。

 

 

 

 

 

2018.10.09

収益資産の形成⑪・建物に手を加えるノウハウ

第二平野ビル【楢原町】 (2)大和田【ハイム俵井】 (2)

古い建物のリノベーション

駅に近く環境も良し、尚且つ利回りも良い物件など有り得ないはずですが、建物が古い場合は案外拾い物の物件が見つかることがあります。

実際に取り扱いした事例として、築20年のマンションで、ある大手企業の社員寮として全体の部屋数の半分以上を一括借り上げされていた物件で、その企業が借り上げを停止したため前オーナーが売却することにしたという事情がある物件がありました。

21部屋の内、4部屋を残して後は全て空部屋という状況になったのですが、2DKの間取りを1LDKに変更し、外観も大幅に手直しを加え賃借人を募集したところ、以前より高い賃料で募集したにもかかわらず、ほどなく満室になり、高収益を確保することができました。

これは一例にすぎないのですが、市場にはこのような物件も相当あるはずです。

ある程度築年数が経過している物件を購入する場合気を付けなければならないことは以下の点になります。

耐震強度の問題

昭和56年の建築基準法の改正により、建物の耐震強度に関する設計の基本概念そのものが大幅に見なおされることになりました。

改正前に設計された建物を「旧耐震」、改正後に設計された建物を「新耐震」と呼称しています。

新耐震の建物と今日う耐震の建物では耐震強度が大幅に異なり、その後に起きた阪神淡路大震災などの震災においても全壊、倒壊などを起こした建物の90%以上は旧耐震構造であったと言われています。

耐震強度に問題がある建物であっても、耐震補強工事を施工することによって一定の耐震強度を得ることができますが、そのためには「耐震強度診断」を行う必要があります。

耐震強度診断自体に相当の費用がかかりますし、耐震強度診断を行った結果、有効な耐震補強工事が行えないという診断結果になることもあります。

また、耐震補強工事は多額に費用を要する場合が多く、また、何をもって必要十分な耐震補強工事と言えるかについては、専門家の間においても争いがあるのが現実です。

従って、建物が「新耐震」の基準を守って建てられているかという問題は物件選びの上で重要なバロメーターになります。(もちろん「旧耐震」の建物であっても、条件によっては「買える物件」はあります。)

稼働中の物件

販売資料を見ていると、「現況満室稼働中」とか「1部屋のみ空き」などという景気の良いうたい文句が目につくことが多々あります。

確かに、現況の稼働率が良い物件は収益資産としての条件を多くの点で満たしている可能性が高いと判断することが出来ると思います。

しかし、稼働中の物件で気を付けなければならないことは居住年数が長い賃借人がどれくらいいるかという点です。

例えば10年以上居住している賃借人の場合、風呂、洗面、キッチン、トイレなどの水回り品や給湯器、床材、壁天井のクロスなどが既に交換時期になっている場合が多いと考えられます。

このような賃借人が退室する場合、以前は補修費用の一部または全部を賃借人に請求することが普通でした。

しかし。現在では賃借人に請求できる補修費用の範囲については「明らかに賃借人の責任による場合に限る。」という基準があり、経年の劣化に関しては全てオーナーの負担となります。

私は、この点が一般の方がアパート、マンション等の収益資産を維持していくことを難しいものにしている最大の原因ではないかと思っています。

以前は、少なくとも貸室内のメンテナンス、補修に係る費用については賃借人が負担することが当然といった考え方をオーナーのみならず、私達宅建業者も持っていた時代がありました。

20年位前は敷金は賃料の2カ月分前後が普通で、礼金と称されるオーナーへ支払う意味不明の金員も最低賃料の1カ月分、人気エリアの新築または築浅の物件などは礼金3カ月というものもありました。

余談になりますが、私がこの仕事を始めて5~6年目の話なので平成10年頃の出来事ですが、大学生の息子さんを持つ知り合いの方から相談を受けたことがありました。

その内容は、「息子が住んでいたアパートを退去するので管理する不動産業者に連絡したら、2年足らずしか居住していないのに数十万という高額のリフオーム費用を請求された。」という内容でした。

私が東京に出てきた当時(昭和50年)から、多摩市、八王子市などに多くの大学が移転し、その学生目当てに建築された1Rアパートなどが大学周辺の駅に新たに多く建築されたのですが、これらのアパートを管理する不動産業者の中には悪質なものが多くいて、工事業者と結託して法外な見積書を作成し、退去する賃借人に請求するという話が多くあったようです。(工事代金の一部はオーナーにバックされていた例もあるようです。)

私も一度のみならず数回にわたりそのような相談を受けたことがありますが、このような例は特殊なものとしても、この当時は「賃借人が入れ替わるほどオーナーは儲かる。」と言われていた現在では考えられないような時代で、多くのアパート、マンションオーナーは自らが多額のメンテナンス費用を負担するという意識は低かったのではないかと思います。

また、建物のメンテナンス費用というものは賃料坪単価と密接に関連してくるという事実を多くの方は念頭に置いていないことが益々問題を大きくしていると考えています。

賃料坪単価とメンテナンスの問題ですが、例えば60㎡(約18坪)のファミリー向け3DKのアパートの賃料が9万円だと仮定します。(仮に「A物件」と称します。)

この場合賃料坪単価は5000円です。

一方、30㎡(9坪)の1Rアパートの賃料も同じ9万円だと仮定します。(仮に「B物件と称します。)

この場合の賃料坪単価は10000円です。

上記の両物件は、メンテナンス費用に置いて大きな差異が生じます。

例えば、A物件の壁の前面改修工事(一般的にはクロスの張り替え工事)を行う場合、施工する面積は約2倍になり、工事費用も2倍近くなります。

また、キッチン、洗面、風呂、トイレなどの水回り品もA物件のほうがより大型、高額のものを使用することが一般的ですから、当然入れ替える場合の費用は膨らみます。

さらには、建物そのものの大きさも2倍程度になり、共用部分の定期清掃代や屋根、外壁の補修など外回りの補修費用も当然多く掛かります。

(そもそも、賃料坪単価が一定以上の数字に達しない建物を建築すること自体がナンセンスなのですが、現実には上記のA物件のような賃料坪単価が5000円などという物件は数多く存在します。また、このような物件が市場に出回っていることも事実で、賃料坪単価が低い物件ほど利回りが良くないと合わない話なのですが、いまだにこのような物件は次々に建てられています。この点については別の機会に述べることにします。)

 

 

 

 

 

2018.10.09

収益資産の形成⑩・土地の地形

路地状敷地を生かす

土地の形状は色々あります。

間口(道路に面している面)が広いもの、狭くて奥行きが長いものなど様々ですが、一般的には「成形地」と言われる間口と奥行きのバランスが良い土地が最も坪単価が高くなり、資産価値も大きくなります。

しかし、所謂「旗竿地」、「敷地延長土地」などと言われる「路地状敷地」は、成形地と言われる土地に比べて坪単価が30%~40%くらい安い物件もあります。

このような路地状敷地でも、アパートを建築することは可能で、賃貸ユーザーにとっては敷地の形状はさしたる問題ではありませんので、土地の価格が安い分だけ利回りは期待できるわけです。

勿論、路地状敷地は成形地に比較すると土地自体の資産価値は劣りますが、こと収益資産に関しては、アクセスの悪い成形地よりアクセスのよい路地状敷地を選択することが得策と言えます。

特に、自己資金の割合が少ない方は、何よりも利回りを重視しなければなりませんので、路地状敷地の物件を検討しても良いと思います。

路地状敷地にアパート等を建築する場合は、都市計画法、建築基準法など通常の建築物を建てる場合に遵守しなければならない法律の他に、東京都住宅安全条例や各市町村、区なのが定める条例を遵守する必要があります。

特に、近年ワンルームマンション、アパートなど単身者向けの賃貸住宅を建築する場合は各行政単位による条令、指導要綱による制限が厳しくなっていますので、その点を良く調べる必要があります。

勿論、信頼できる建築業者ならその点についても熟知しているでしょうが、最終的に最も大切な「利回り」を確保できるプランを作成するためには、建築に関する知識のみならず、様々な知識を生かすことが大事なことは言うまでもありません。

 

 

 

 

2018.10.05

収益資産の形成⑨

「駅近」を第一条件とした「買える物件」の選び方

人気エリア、特に駅に近いエリアの土地は相続税評価額と比較して時価が割高になる傾向であることは、前回述べた通りです。

このようなエリアの収益用不動産を購入することは相続税対策効果を考えると大変有効な手段になり得ますが、収益用不動産を購入(あるいは建築する)ことは、1つのプロジェクトですから、プロジェクトとして成り立つ必要があることは言うまでも有りません。

つまり、収支計算が最も大事なわけで、相続税あるいは所得税などの節税対策になるからと言って、収支の計算をおろそかにすることは絶対に避けなければなりません。

しかし、上記のようなエリアの土地(不動産)は当然総体的な価格が高いわけですから、収支(利回り)も低くなることが予想されます。

実際の不動産市場における居住系の収益用不動産(アパート、マンション)に関しては、23区内や三多摩地区の人気エリアなどの物件は年間利回り5%前後の価格で流通しているものが大半です。

この「5%」という利回りは、これまでにも何度か述べた通り、仲介手数料や登記費用、ファイナンス費用などの取得経費を含まない表示になっている場合が大半ですから、実際の利回りは殆どの場合4%以下になります。

以前にローンの支払いに関する簡単なシュミレーションを掲載しましたが、借入1億円、借り入れ利息年率2%、返済期間30年(元利均等払い)の場合の毎月の返済額は約37万円になります。

年間の支払額は37万円×12月=444万円です。

これに固定資産税、都市計画税の支払いを加えると、必ず支払わなければならない費用の総額は借入額の5%はみておかなくてはなりません。

この他に建物のメンテナンス費用が必ず必要となるわけですから、実際に物件を維持していくためには利回り6%以上、できれば7%は確保したいものです。

しかし前述のとおり、それだけの高利回りを約束できる物件は現実の市場ではそう易々とは探せません。

勿論、豊富な自己資金があって、購入価格の一部または全部を自己資金で払える方は市場にある利回り5%前後の優良物件を購入されても何の問題もありません。(「何の問題もない」とは言っても、自己資金を投入する場合は税金面での注意点が多々あるのですが、その点については別の機会に述べることにします。)

しかし、大半のユーザーの方は購入資金の大部分を金融機関からの借り入れによって賄うことを前提にされているでしょうから、その前提で、一定の収入がある方なら多額の自己資金が無くても無理なく「買える物件」を探せる方法について述べます。

物件選びの条件の第一は場所(特に駅からのアクセス)、2番目は環境ですが、この点について極力妥協することなく探すとすれば、何か別の観点で問題を解決する必要があります。

この点については、いくつかの考え方があるのですが、ここでは実際に私達が手掛けている例を元にお話ししていきたいと思います。

次回からは場所、環境について重視した上で、高利回りの物件を探すノウハウについて述べます。

 

 

2018.10.02

収益資産の形成⑧・真の相続税対策

「駅近」を第一条件とした場合の物件の選びかた

相続税など税金対策を主たる目的とするケース

駅からのアクセスが良い土地は当然価値が高いわけですから、価格も高いのは当然です。。

しかし、単に土地の絶対価格(坪単価)のみならず、別の観点を考慮しなければなりません。

それは、相続税評価額の問題です。

特に、既に自宅やその他の土地を多く所有している方は先ずこの点を第一に考えるべきです。

近年の傾向として、郊外の住宅地に比較して駅に近いエリアは、不動産の相続税評価額よりも時価(実際に市場で取引される価格)の方が割高になっている例が多く見受けられます。(人気があるエリアなどは、時価が相続税評価額の2倍以上になっている場合もあります。)

市場価格が高いということは、金融機関の担保評価も高いということですが、この傾向は年々強まっていると考えて間違いないと思います。

このことがどのような効果を生み出すかというと、例えば郊外の住宅地(多くは第1種低層地域)などに比較的広い土地を所有されている方などは、土地の時価(市場価格)と相続税評価額があまり変わらない(場所や条件によっては、相続税評価額の方が時価より高い場合もあります。)ことが大半です。

このような方が、例えば郊外に時価10億円の土地(相続税評価額も同じ10億円と仮定します。)を所有している場合、時価が相続税評価額の2倍の不動産(購入価格を10億円と仮定します。)を全額金融機関からの借り入れによって購入した場合、総資産は元々所有している土地と併せて20億円になります。

また、その際の借入金は10億円になります。(元々借り入れがなかった場合)

新規に購入した土地の相続税評価額は時価の2分の1ですから、相続税評価額の合計は15億円です。

しかし、この場合、金融機関から10億円の借入を起こしているわけですから、相続税の対象となる資産の総額は15億円̠マイナス10億円で5億円になり、新規購入する前の半分になります。

この手法は、おそらく前述の傾向(エリアによっては時価が相続税評価額より相当高い状況)が今後も続く限り非常に有効な相続税対策になります。

 

 

 

2018.09.28

収益資産の形成⑦

収益資産を保有していくための条件

収益資産を無理なく保有していくためには、第一番目に利回りが6%以上は確保しなければならないと述べました。

ここでいう「利回り」とは、取得費用や初期メンテナンス費用を全て含んだものです。

自分が所有している土地に建物だけ建てる場合も全く同様で、その場合は「敷地」を現物出資するのだということを肝に銘じていなければ必ず失敗すると考えてください。(後ほど述べますが、所謂「サブリース」などによる「賃料保証」や「一括借り上げ」などがある場合も全く同様です。)

それでは、利回りが6%以上の収益物件は市場に現実的に存在するのでしょうか?

答えは「例外的なケースを除いてはNO」です。

利回りの基準となる「分母」は先に述べた通り、取得価格、取得費用、初期メンテナンス費用の合計でなければなりません。

ということは、新築、または新築に近い位リノベーションが施行されている物件の場合でも販売価格だけで考えると利回りが7%以上の物件でなければ上記の条件を満たさないことになります。

この数字は中々厳しいもので、我々プロの不動産業者でもそのような事例には中々巡り合うことができません。

それでは、現実の市場で探せる「優良物件」とはどのようなものになるでしょうか?

実際の不動産市場で物件を探す場合の条件

物件選びの基準は1に場所、2に環境、3に建物、の順番

まず重要視しなければならない点はアクセスです。

よく「ドアツードア」と言われますが、自宅を出てから職場(学校)までの時間が実質1時間以内が絶対条件で、できれば40分以内を目指したいものです。(この数字は、駅までの踏切や幹線道路、上り坂などの障害、乗り換えに要する時間など全て含んだ時間です。)

また、最寄り駅からの距離は人気の駅で徒歩15分以内(できれば13分以内)、普通の駅なら10分以内(できれば8分以内)を上限に考えるべきで、これをカバーできるだけのよほどの好条件がない限りは妥協しない方がよいでしょう。

歩行距離の問題は皆さんが考えている以上に重要で、徒歩10分(不動産業界の基準では1キロメートルにつき13分、つまり1分につき歩く距離は80メートルです。)の物件と15分の物件では5分しか変わらないと思われるでしょうが、実際は800メートル(10分で歩くとされる距離)の半径の面積と1200メートル(15分であることされる距離)では面積の差は2・25倍になります。

駅を基点に考える場合、歩行距離は円の半径に近くなりますので、遠くなればなるほど競合物件が多くなり(上記の例の場合、単純計算では物件数が2倍以上になるということです。)賃料の競合も激しくなるわけです。

賃貸物件を探すユーザーが空き物件を検索する場合、必ず最寄り駅から徒歩00分以内という項目を選択するわけですが、その際当然より近い範囲から検索を始めるはずです。

一例を挙げると、JR中央線「吉祥寺」駅周辺の賃貸物件で、部屋の専有面積が20㎡~25㎡、築年は平成10年以降、賃料が8万円以内という条件で空き室を検索すると、駅から徒歩15分以内では39件の空き室がありますが、10分以内では16件です。

徒歩5分以内になると空き室は6件のみです。(上記のデータは東日本不動産流通機構・レインズの平成30年9月27日時点の情報です。)

所謂「駅近」の物件が希少価値が高いことは不動産投資家なら誰しもが承知していることで、これから少子高齢化による人口の減少に歯止めがかからないとしたら、賃貸ユーザーは益々選択肢が広がり、駅から離れた物件の空室率は高くなる一方であると予想されますので、「駅近」の物件の価値は益々上がるものと思われます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2018.09.25

収益資産の形成⑥

元々所有している土地にアパート、マンションを建設するケースの問題点

これまでに述べた収益用不動産の取得に関する話は、基本的に土地、建物の双方を新規に取得することが前提になっています。(あるいは、土地を購入してその土地に建物を新築する。)

上記のケースとは異なり、元々先祖から代々受け継いだ土地などを所有している方で、その土地上に収益用不動産を建設するようなケースにおいても当然様々な注意点があるわけですが、このような方達の場合が最も思い違いしやすいことは、「利回り」を計算する場合の分母を建物の建築費のみとして計算し、土地の価格(時価)を考慮しないことです。

多くの方は、アパート、マンションを建築する動機が相続税や所得税などの「税金対策」にあるようですが、節税効果を期待できるとしても、収益用不動産を建築して資産価値を高めることができる土地は非常に限られたものであることを知るべきです。

「建ててはいけない土地」とは?

多くの場合は、自己所有の土地はそのままにして(駐車場やトランクルーム、資材置き場など初期投資が少なくてすむものにすることは考慮すべきですが)、収益用不動産として価値の高いエリアに土地付建物を購入するか、あるいは土地を購入して建物を建築することを考えるべきです。

自分の土地にアパート、マンションなどを建築しても、相当な利回りが期待できなければ(想定賃料が土地の時価+建物の建築費用を分母として計算して、なおかつプロジェクトとして十分に成立する場合。)建築する意味はありません。

何故なら、建物を20年~30年という長期間にわたって減価償却してローンを払い終わったとしても、残るのは元々所有していた土地であり、あらたに資産が増えるわけではないからです。(もちろん、利回りが良くてローンを返済しても余剰金が多く残るような場合は別ですが。そのような場合は建物の建築費を分母とした場合十数パーセント~20%近い利回りにならなけらばなりませんが。)

何度も述べている通り、そのような条件の土地は段々少なくなっています。

しかし収益用不動産を建築するには向いてなくても、戸建て住宅などの需要はまだまだ根強いものがありますので、駅から少々距離がある土地でも、住宅地としての価値はそれなりにあることが一般的です。

せっかく住宅地としてそこそこ価値がある土地を、不向きな収益用不動産の敷地として投資(現物出資)することは得策ではないことは誰でも理解できると思います。

「建ててはいけない土地」にアパート、マンションを建築することは、野球選手としては一流の選手にサッカーで勝負させるような愚行です。

そのままにしておけば、坪100万円の価値がある土地に、利回りが回らない(ここで言う「利回り」の分母には土地も含みます。なぜなら当然の話ですがアパート、マンションなどを売却する場合は土地も一緒に売らなければならないからです。)建物を建築してしまった場合、その物件(収益用不動産)の価格は基本的には利回りで決まるからです。

絶対に覚えておかなければならないことは、例えば住宅地として坪100万円で売れる土地を100坪所有しているとします。

そこに、建築坪単価100万円で100坪のアパートを建築します。

土地、建物を合計した価格(時価)は2億円となり、投資金額も2億円です。(土地を収益用不動産の敷地として利用したわけですから、土地も当該プロジェクトに現物出資として投資したことになります。)

100坪の建物(建築面積が100坪の建物は専有面積はもっと小さくなりますが、ここでは話を分かりやすくするため、貸せる面積も100坪と計算します。)を平均坪単価6000円で賃貸した場合、収入は月額60万円、年額720万円になり、その場合の年間利回りは3・6%ですから、収益用不動産としては合格点の物件と言えるでしょうか?

もし、この物件を市場で売却することなった場合、価格は原価の2億円を大きく下回ることになります。

現在の収益用不動産の価格相場は新築又は築浅の物件の場合ですが、23区の人気エリアで利回り4%~5%前後、三多摩地区の人気エリアで5%~6%、23区の主要駅徒歩圏の物件で6%~6・5%前後、三多摩地区の主要駅徒歩圏の物件で6・5%~7%前後が目安になります。

利回り7%でしか売れなければ、3・6%の物件は原価(投資総額)の半分で売却することになります。

いかに建物建築のリスクが大きいか分かると思います。

賃料が取れるエリアの例

それでは、上記の例で賃料坪単価が10000円の場合はどうでしょうか?

賃料坪単価10000円の場合は、月額賃料は100万円、年額賃料は1200万円になり、分母を2億円とすれば年間利回りは6%になります。

その場合、この物件は優良な収益用不動産と言えるでしょうか?

答えは「それだけでは十分条件は満たさない」ということになります。

なぜなら利回りで大事なことは、入居率です。

入居率は当該エリアの地域的人気に左右されます。

50㎡(15坪)の賃貸住宅(間取りは1LDK、2DKなどになりますが)が賃料坪単価1万円となると、月額賃料は15万円になります。

また、66㎡(約20坪)の賃貸住宅の場合は、月額賃料が20万円です。

最初の例に戻りますが、現在、1坪100万円が相場価格の住宅地は三多摩地区を例にとれば、中央線の場合、武蔵小金井駅から徒歩20分くらい、日野駅の場合は徒歩10分くらいのアクセスが目安になります。

西武新宿線では、田無駅から徒歩15分くらい、小平駅なら徒歩7~8分くらいです。

これらの土地に収益用不動産を建築した場合、上記の賃料を設定することは無理と言って差し支えありません。

理由は、これらの駅から同じアクセスで同じ間取りの分譲マンションを購入した場合、月々の支払額は上記の賃料よりはるかに安くなるからです。

勿論全ての賃貸ユーザーが持ち家志向とは限らず、企業の借り上げ住宅に住むといった例もあるでしょうが、賃料に対する割高感が否めないことは当然ですし、そもそも競合物件がはるかに低い賃料設定になっているわけですから、入居率が著しく低くなることは当然の話になります。

イーミライ・グループの本拠地は武蔵野市吉祥寺ですが、JR「吉祥寺」駅は三多摩地区においては比較的人気が高いエリアで、「住みたいまちNO1」にも度々選ばれています。

賃料相場は、吉祥寺駅から徒歩15分の立地で、50㎡(約15坪)の1LDKのマンションで、賃料坪単価は丁度1万円前後です。(比較的築年数が新しい物件の場合)

しかし、現在の市場においては、そのエリアの土地価格は、坪単価200万円以上になります。

従って、利回りは土地価格が100坪×200万円=2億円

建物が100坪×建築単価100万円=1億円

土地価格(2億円)+建物建築費(1億円)=3億円(分母)となり、利回りは

1200万円(年間賃料)÷3億円(総事業費)=4%になります。(実際は取得経費が掛かりますので、利回りはもう少し低い数字になりますが)

それでは、当該土地の建蔽率・容積率が良くて、建物が100坪ではなく200坪建築できる場合はどうでしょうか?

その場合は建物建築費は2倍の2億円(構造の変更による建築単価の増減はここでは考慮しませんが)となり、土地の価格(2億円)と合計すると分母は4億円になります。

年間収入は200坪×賃料坪単価(1000円)=2400万円

2400万円÷4億円=6%(年間想定利回り)になります。

実際の市場では、100坪の土地に200坪の建物を建築できる土地は相当割高になりますので、上記のように簡単にはいきませんが、やり方によっては理想的なスキームに近いケースもありえなくはないでしょう。

従って、自分が所有している土地がよほど良い条件(特にアクセス面)に恵まれている以外は、そこに収益資産を建築することを考えるよりは、より条件の良い土地を購入して、そこにアパート、マンション、ビルなどを建築するべきです。

そこで、所有する収益不動産を健全に無理なく保有し続ける為の第1番目の条件しては、何といっても利回りになりますが、土地、建物の価格(元々所有している土地であっても土地の価格=時価を分母に算入しなければならないことは前述のとおりです。)の合計+取得に際する諸経費を分母としての利回りが6%は必要となることを覚えておいてください。

 

 

 

 

 

 

 

2018.09.21

収益資産の形成⑤

的確な資金計画

最初の段階で述べたことと重複しますが、収益資産を無理なく取得し、維持していくためには的確な資金計画が必要であることは当然ですが、もう少し具体的に説明します。

先ず、大前提として、物件の購入資金の100%を金融機関の借入で賄うとして、購入物件の「アガリ」でこれを返済していく計画だとすると、金融機関からの利息が1%、返済期間が30年の仮定で検討してみます。

上記の前提で物件価格1億円の物件を購入すると、毎月のローンの支払いは約33万円になります。

利息2%の場合は毎月の支払が約37万円です。

(購入に際して必ず必要となる費用である登記費用、不動産取得税、ファイナンス費用、仲介手数料などは全て手持ち資金で賄うものと仮定します。)

1億円の物件で諸経費を自己資金で賄った場合、1億円に対する利回りが5%の物件の場合、1月の収入は42万円ほどです。

「月額42万円の収入があれば、ローンは十分に払っていけるじゃないか」と思われるかもしれません。

しかし上記の例の賃料収入は、満室であることを前提としており、例えば、10室ある部屋を1室42,000円で貸しているわけですから、1室空部屋があると収入は378,000円ほどになり、利息2%の借入金の返済にはギリギリの数字になります。

また、ローンの支払いの他、固定資産税・都市計画税を支払わなければなりません。

従って、上記の例の場合、1部屋でも空き室が出てしまうと、ローンの支払いは容易ではなくなります。

このような事態を十分に予測しておかなければなりません。

1、 将来のメンテナンス費用の予測

ここまでの支払いのシュミレーションは比較的容易に計算できるはずです。

しかし、それだけでは「的確な資金計画」とは言えません。

それでは、「的確な資金計画」を行うためにはどのようなことを知っておく必要があるのでしょうか?

前回も述べましたが、販売資料などに記載されている「利回り」は単に賃料と付随する収入(管理費、共益費など)を合計したものを当該不動産の販売価格で割ったものですが、必ず必要となる購入時の経費については、考慮されていない数字ですから、まずはそれらの費用を積算する必要があります。(後段でも述べますが、基本的にはこれらの費用は購入時に手持ち資金として用意しておくべきです。)

また、「管理費」、「共益費」と言われるものは実際のところは、単に「これくらいなら賃借人に請求してもあまり抵抗なく払ってくれるだろう。」というような意味合いで設定されている場合が多いことが現実です。

募集賃料を設定する場合も、賃料を50000円と表示するよりは、48000円(管理費2000円)と表示する方が賃料が割安な感じを与える効果があるからです。

従って、「管理費」という名目であっても実際にその金額で「管理」が出来るかというとそうではない場合が大半です。

ここで言う「管理」とは、賃貸物件の共用部分の清掃や電灯などの取り換えなど最低限の建物維持の費用を指します。

共用部分の清掃は、物件によって異なりますが、例えば25㎡の1L貸室×10戸(木造2階建て、敷地が150㎡前後とします。)の場合、共用廊下、階段、敷地内が対象とすると、月1回行うとして20000円~30000円ほど掛かりますので、1戸あたり、2000円~3000円は掛かることになります。

定期清掃費用の他にも建物維持の費用は諸々掛かりますが、これらを一括して賃貸管理専門業者に委託する場合は、賃料の5%程度で請け負う場合が多いようです。

オーナー自ら定期清掃その他を行えば、維持管理費用は限りなく0に近づけることが可能ですが、そうでなければ5%程度の費用を予め利回りからの引き算として計算しておくべきです。

2、 長短期メンテナンス計画

最も短期のメンテナンス費用と言えるのは、賃借人が入れ替わる際に殆ど必須となる貸室のハウスクリーニング代です。

単身者用の1Lマンションなどは比較的短期(1~2年)で賃借人が入れ替わることが珍しくありませんが、そのような場合でも、ルームクリーニングは殆どの場合施工する必要があります。

ルームクリーニングの費用は1Lで20000円~30000円ほどですが、最近は敷金ではなく、「ルームクリーニング代」として入居際に賃借人から預かる場合が多くあります。

これは大変合理的なやりかたで、設定したルームクリーング費用以上に掛かる場合は賃借人が喫煙者であるとか、故意または過失により想定外に賃借物件を汚したりした場合が大半になりますので、入居時に貸主、借主双方が納得できる「標準のルームクリーニング代」を取り決めておけば、お互いに想定外の出費となることを避けることが出来ます。

賃借期間が短期(5年以内)であり、賃借人が比較的綺麗に貸室を使用していれば、入れ替わりの際はルームクリーニングのみで済みますので、オーナーのメンテナンス費用の負担は実質的に0に近くなりますが、5年以上居住した場合、または賃借人が喫煙者であったり、使い方が良くない場合などはルームクリーニング以外にクロスや床、天井の張り替えなどが必要になる場合があります。

その場合、賃借人に一部または全部の費用を請求できる場合がありますが、原則としてこれらは10年毎には交換する必要があると考えるべきですので、その費用を修繕積立金として考えて、毎月の賃料から備蓄しておく必要があります。

専有部分について言うと、トイレ、洗面、キッチン、バスなどの水回り品の交換時期の目安は15年前後ですが、これらについても毎月の賃料から計画的に備蓄しておく必要があります。

その他、屋根や屋上、外壁の塗装、防水工事は12年~15年毎、共用廊下、階段などについては、やはり12年~15年毎に塗装などの工事を行う必要があります。

以上、多岐にわたる改修工事について、購入時から綿密な資金計画をたてておく必要があります。

この点において肝心なことは、何か問題が起こった時に場当たり的に管理会社に任せてしまうと、無用な出費が多くなるばかりか、工事の単価も相場より高い金額を請求されていたりすることです。

特に、サブリースの物件などは注意を要します。

工事については、施工方法や部材そのものが技術の進歩などにより変わったりします。

いずれにしても、日頃、工事の内容や単価について、オーナー自身が常に勉強を怠らないことが大事です。

3、 入居率

いくら綿密な資金計画を立てても、肝心の入居率が悪ければ全て机上の空論となり、資金計画は破綻することになります。

年間平均の空室率が80%以下になるような物件は、元々設定賃料が間違っているのか、そもそも収益用不動産を建てるのに向いていないところに建ててしまったということになるのですが、いつも繰り返し述べているとおり、近年の賃貸市場においては、収益資産として成り立たないエリアが増えているのが現状ですので注意を要します。

どのような優良な物件でも、特に高い賃料坪単価が見込める単身者用の物件は、毎年2月~4月の入れ替わりの時期になると一度に多くの部屋が空いたりしますが、年間平均の稼働率としては90%以上を確保したいものです。

 

 

 

 

 

2018.09.18

収益資産の形成④

不動産業者との上手な付き合い方

収益用不動産にかかわらず、不動産を購入する際には売主が不動産業者であるか、仲介に不動産業者が入るか、あるいは、その両方であることが大半です。

いずれにしても、物件に関する説明や購入条件等については不動産業者から説明を受けることになりますので、物件の購入に関しては不動産業者と上手く付き合うことが大切になります。

信用できる不動産業者と長期間にわたり、継続的に付き合って上手に資産形成をした方も現実に多くいます。

しかし、それは例外的であると言わざるを得ず、多くの場合は物件を売るために買主に不都合な面に関しては十分な説明がなされておらず、購入後になって色々な問題点が発覚することも少なくありません。

このような事態を避けるためには、当然購入者自身が必要な知識を身に着けることが一番ですが、誰しもが十分な知識を身に着けることは不可能でしょう。

そこで、ここには収益用不動産を購入する場合、購入者として不動産業者にこれだけは聞いておかなければならない事項を列記しておきます。

1、最寄駅からのアクセス

通常、売り物件の「物件概要書」や「販売図面」と言われるものには、最寄り駅からの単純な距離のみを根拠に、「00駅徒歩00分」と表示してあります。

しかし、駅から当該物件までは上り坂だったり、途中に踏切や車の通りが頻繁な幹線道路があったりすると現実に掛かる時間はその2倍以上になることがあります。

従って、どのような場合でも先ずはご自分で最寄駅から物件まで歩いてみることです。

その上で、不動産業者に「00駅から徒歩00分と表示してあるが、間違いありませんか?」と聞いてみてください。

良心的な業者なら、前述のような障害がある場合は、その点を説明してくれるはずです。(この点は、普通の戸建て住宅やマンションなどを購入する場合も同様ですが、私はイーミライグループの営業マンにはこの点を十分にこちらから率先して説明するように指導しています。もし、担当者がその点について説明を怠るようでしたら「?」が1と考えてください。

2、賃料のバラつきに関する問題点

現実の売り物で、同じ間取り(あるいは反転間取り)、同じような専有面積の部屋が10室のアパートで、各部屋の賃料が極端に差がある場合が多々あります。

勿論、間取り、専有面積が同じでも1階と2階、角部屋とそうでない部屋では賃料は若干異なります。

しかし、ある部屋は40000円である部屋は60000円ということは明らかに不自然です、

あるいは、本来賃料が高いはずの上層階の角部屋より1階の部屋が賃料が高いというような場合は明らかに不自然です。

このような現象は、古くから居住している賃借人が当初の高い賃料のまま契約を更新し続けているような場合によくあることです。

10年以上居住しているような賃借人の場合、このような現象が多々生じます。

このような物件の場合、最近の入居者の賃料をよく検討すべきであり、現時点のレントロールを鵜呑みにしてはいけません。(古くから住んでいる賃借人が退室した場合、前述したように部屋の改修工事の費用も多額になることが一般的です。改修工事の費用は、煙草の跡など明らかに賃借人の責によるもの以外はオーナー自身が費用を負担しなければなりません。)

このような物件について、表面のみならず現実的な利回りがどの程度になるであろうかについて、注意点を説明してくれる不動産業者は信頼できると言えるでしょうが、何らそのことには触れず、表面の利回りだけを強調する不動産業者には「?」が1と考えてください。

3、 メンテナンス費用の予測(中古物件の場合)

前項と重なりますが、一般的に空き室があるような収益用不動産は当該空き室については既に改修工事が施行してあり、賃借人がすぐに入居できるように綺麗な状態になっているのが普通です。

業者が物件を案内する際、例えば10室あるアパートで半分空いているような物件はなにか特別な事情がある場合(数部屋一括貸ししていて一度に空いたようなケースで全体的な稼働には問題がないような場合)を除いては、市場に出ても中々成約できませんので、ある程度賃借人を埋めてから市場に出すのが普通ですから、購入に際して実際に物件を見る場合、せいぜい全体の部屋数の1割~2割程度しか確認することは出来ないと思います。

稼働している部屋については、状況が分からないまま購入することになりますが、前項に述べた通り長期にわたって同じ賃借人が住んでいた場合は改修工事費用が嵩む可能性が高いと考えなければなりません。

また、耐久部材、例えば給湯器、エアコン、洗面ユニット、バスユニット、キッチンユニットなどは使い方によって寿命が異なってきますが、早ければ10年程度で交換しなければならない場合があります。

従って、全オーナーからそれらの修繕履歴、交換履歴を貰うことが出来れば今後のメンテナンス費用の目安になります。

修繕履歴は、建物の外部(屋根や外壁、共用廊下、階段など)についても有れば良いのですが、これらの部分は業者に見てもらえば様子が分かりますので(すぐに施工すべきか、何年後に施工すべきか、また費用がどれくらいか)対処できますが、賃借人の専有部分については履歴に頼らざるを得ません。

履歴の有無について、あるいは全オーナーからの聞き取りの情報などについて積極的に説明してくれる不動産業者は信頼できると考えて良いでしょう。

この点について説明しない不動産業者は「?」が1と考えてください。

また、外観だけ綺麗になっていても、最も費用を要する耐久部材については修理あるいは交換がなされていないことが良くあります。

この点については瑕疵担保責任の対象外になりますので、尚更注意が必要です。

4、 想定賃料が妥当か?

新築物件の場合、「青田買い」と言って、まだ建物が完成していない状態で契約する場合があります。

このような場合は当然入居者はいないことが原則(企業などの一括貸しが決まっていたりする場合もありますが)ですが、建物が完成している場合でも入居者が埋まっていない場合は多々あります。

中古物件の場合も空室があることは珍しいことではありませんが、いずれの場合も空室については「予定賃料」あるいは「想定賃料」といったものが販売資料に記載してあることが一般的です。

それらの空き室については、普通は賃貸の募集資料があるはずから、その内容を見て募集条件をチェックすることは当然必要です。

また、稼働している部屋の賃貸条件についても賃貸借契約書の写し(更新している場合は過去の契約内容についても調べることがベターです。)などを貰い、賃貸条件の推移について調べてみると色々なことが分かってきます。

例えば、新築物件の場合、募集を始めた時期がいつなのかや当初の募集条件と現在の募集条件に変更がないかなどという点もチェックすると良いと思います。

例えば、建物が完成して6カ月後に10部屋の内5部屋しか埋まらず、賃料を下げたり、敷金の預かり額を下げたりといったことを行っている場合もあります。

業者向けの資料に多額のAD(100%以上)の支払いが記載されている場合などは、賃貸の客付けに苦労している証拠と思って間違いありません。

ADとは宣伝広告費のことですが、通常賃貸の客付け業者は報酬として、当該賃貸借物件の月額賃料の1か月分を限度(貸主、借主双方から支払われる金額の合計)として、報酬を取って良いとされています。

つまり、報酬額の限度は賃料の1月分ということですが、それ以外に貸主(客付けを依頼する方)の依頼に従い、報酬と別途にAD(宣伝広告費)を取って良いとされています。

人気があるエリアで、比較的賃料がこなれているような物件はAD無しでも十分に埋まるものですが、現在の賃貸市場においては、少しでもマイナス要因(最寄り駅から遠い、物件が古い、日当たりが悪い、線路が近い、幹線道路が近いなど)があると、当然空室率が高くなります。

そのような場合、オーナーは賃貸客付け業者に、自分の物件をより積極的に勧めてもらわなければ中々空室が埋まりませんので、客付け業者に多額のADを支払うことになります。

また、「フリーレント」と言って、入居者に入居後ある一定期間賃料を無料にするサービスを行って空室を埋めようとすることがあります。

これも、普通に募集していては中々空室が埋まらない物件の場合良く見られる現象です。

多額のADやフリーレントによって空室が埋まっているような物件は仮に満室やそれに近い状態であっても利回りを割り引いて考えなければならないでしょう。

これらの点について何ら説明がなされずに物件の購入を勧めるような不動産業者に対しては「?」です。

不動産業者のと付き合い方のまとめ

ここに述べたことは、収益用不動産を購入する場合、売り主または仲介する不動産業者に対して聞いてみなければならないことの一例ですが、これらの質問に対し、明確に答えることができない業者、あるいは答えようとしない業者、誤魔化そうとする業者などは論外です。

つまり、自分が的確な知識を持てば持つほど、的確な質問をすることが出来ますので、対応する不動産業者もより慎重かつ的確な回答をせざるを得なくなることは間違いありません。

どのような物件でも全てが100%満足できるものは現実的には有り得ないはずです。

ということは、どこがその物件のネックになるか(利回りが低め、建物が古い、土地の地形が悪い、アクセスが悪い、入居率が悪い、など)を包み隠さず説明してくれる担当者でなければ信頼関係を築くことはできないでしょう。

ネックになる部分をどのように解決して、コストパフォーマンスを上げていくかという積極的な対応を話し合えるような担当者こそこれから資産を形成していく上で信頼すべきパートナーと言えます。(例えば、建物が古ければ必要な改修工事を施工することによって今後長期間にわたって物件を稼働させることができます。)

ここでは不動産業者との付き合い方に基本をいくつか述べましたが、この点についてはここに述べた以外にも折に触れて述べていきたいと思います。

 

 

 

 

 

 

 

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