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2016.02.14 不動産コンサルブログ

土地の有効利用?Ⅱ

前回は、自分が所有する土地に収益用資産を建てる際の目安についてお話しました。

土地を所有される方にとっては、見知らぬ場所の収益用不動産を購入するより自分の土地にアパート、マンション等を建てる方がリスクが少ないと思われることは当然でしょう。

金融機関や建設業者などが「土地の有効利用」といった話をユーザー様に持ち込む場合、その方の所有する土地に収益用不動産を建てるということが前提になります。

私が直接面識がある方だけでもそのような話を金融機関や建設業者に持ち掛けられ、アパート、マンションを建てた例は数えきれないほどあります。

しかし、信じられない話ですが以下のような例も実際にありました。

リーマンショックの直後ですからわずか6~7年前の話です。

都内S区、新宿駅まで電車で10分ほどのアクセス抜群の立地で、現況は1戸80㎡ほどの賃貸用マンション(間取りは3LDK,総戸数30戸ほどでした。)が1棟建っている物件でした。

知り合いの大手不動産業者の担当者から話を持ち込まれ、私の知り合いのある資産家の方に購入を勧め、現地にも度々調査にいきました。

私が現地を見に行った時は既に全室空部屋になっており、残置物は一切ありませんでしたが、リフオームは行われていない状態だったので使用感が生々しい状況でした。

このマンションはそれまではある大手企業の社員寮として建設されその企業に10年間一括借り上げされていました。

オーナー様は都内在住ではなくY県に住まわれているということでした。

賃貸契約の期間は10年契約だったようですが、更新が前提となっているのでそのオーナー様は10年で解約されるという事態は想定していなかったようです。

とにかく、10年目にして賃貸借契約は解除され賃料収入が途切れてしまったので、賃貸物件として賃借人の募集を行わなければならないのですが、元々社宅として設計されているので当該地区としては内装・外装とも質素すぎることと、1部屋の専有面積が広いため、室内外を大規模改装しないかぎり賃貸の坪単価が上がらないのではないかという予測でした。

例えば、間取りがワンルーム、1DK等単身者用になっていれば、一般の収益用建物として十分に利回りが見込めるのですが、当初から一括貸し用に設計されたためその借主の企業の要求を全面的に受け入れた建物になっており、個別に賃貸するには向かない仕様になっていたのです。

言い遅れましたが、この物件には金融機関に抵当権が約8億円設定されていました。

オーナー様が建物を建築する際の建築費用として借入たものです。

10年間で支払った総額はともかく、元金ベースでは2億数千万円ほど返済されたのみでローン残高がその時点で6億円近くありました。

この物件の売却予定価格(オーナー様の売り希望価格)が6億5,000万円ほどでしたから、仲介手数料を差し引くと数千万円しか手取りが残らないことになります。

この物件の土地(更地)の市場価格は当時の評価で少なくとも6億5,000万以上ありましたので、もしこのオーナー様がこのような建物を建築しなければ売却の際にはそれだけのものが手に入ったことになります。

当時はリーマンショックの後で、金融機関が不動産投資に対する融資話に全く耳を貸さない状況で不動産市場が冷え切っており高額物件を購入できるユーザーが極端に限られていたという事情があり、現在の情勢とは全く異なる条件下であってことは間違いないのですが、それにしても嘘のような話です。

結果論と言われるかもしれませんが、一括貸しの相手が大手企業であるという安心感から普遍性の低い建物を建築した結果、建物に対する投資の大半が無駄になってしまったという話で、時期的なめぐりあわせの悪さもあり重ね重ね酷い結果を招いた例だと言わざるを得ません。

このような極端な例は珍しいのですが、建物に対する投資効率が思うようにいかなかった例は枚挙に暇がないほどありますのでまたの機会にお話ししようと思います。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2016.02.12

土地の有効利用?

数年前の話です。
都内H市在住の知り合いの地主さんから相談を受け、その方所有の土地(全体から見るとほんの一部ですが)を買い取らせていただくことになりました。
売却する理由は「乗っている車が古くなったので買い替えたいから。」というものでした。
都心部からは遠い立地ですが、住宅地としては十分に価値があるエリアで数千坪の土地を所有されている方なので自家用車など何台所有しても困らない収入があるとしか思えないのですが、さにあらず生活はいたって質素にされているということでした。
詳しく聞くと、所有土地の半分くらいは生産緑地になっていて常に耕作されている状態を保っていなければならないらしいのですが、ご自分だけでは手がまわらず、親戚や近所の知り合いの方に手伝ってもらっているということで、それなりの出費がかかるというお話でした。
それはともかく、生産緑地以外の土地に十数年前アパートを数件建てたらしいのですがそのローンの支払いがあと10年ほど残っていて実際に生活費に使えるものは少ないということでした。
また、「仮にあと10年ローンを支払い続けて建物の借入金を全額返済し終わったとしても、その時は建物が老朽化してまともには貸せない状態になっているのではないか?」と心配されていました。
「今現在でも賃借人が入れ替わる際は勿論、ガス釜が故障したり、エアコンを取り替えたり四六時中お金が出る。」とこぼされていました。
普通「土地の有効利用」というとご自分の所有されている土地に何らかの収益用建物を建築することを思い浮かべます。
実際、金融機関や建築業者はそのようにすることを勧めることが多いようです。
また、その際建物建築費に対する利回りを提示して20年~30年で間違いなく償却できるという説明をするでしょう
賃料保証や一括借り上げといった制度で仮に賃借人が思うように入らない場合でもローンの支払いは心配ないということを売りにする業者もあります。
しかし、いかにローンの支払が完了した時に建物の建築費用を償却できたとしても、前例の地主さんのように実際の利回りが思わしくなくローン返済分以上に実収入が上がらなければ、ローン完済時に建物の実質的な耐用年数が尽きていたり、多額の補修費用を要するようことになれば、その時点で資産総額が増えたとは言えません。(土地は元々所有していたものですから)
居住用物件は比較的リスクが少ない場合が多いと思われますが、店舗等の事業用収益物件を多額の費用をかけて自分の所有する土地に建築した場合は大きなリスクが潜んでいると思わなければなりません。
私が直接知っている限りでも、借主(大抵の場合は大手企業が多いのですが)の都合で予定の期間賃貸借契約が継続できずに、建物が空いてしまいローンの返済に窮することになった例が多くあります。(一例については次回お話します。)
このようなリスクを避けるにはそのようにしたら良いのでしょうか?
まず第1番に建物の建築費を分母とする利回り計算が間違っています。
分母にはご自分の所有されている土地の時価を加えなければなりません。
仮に1坪100万円が時価の土地100坪に1坪100万円の建築費で100坪の建物を建築する場合、分母は1億円ではなく2億円となります。
(100坪の建物の賃貸専有面積が80坪として、想定賃料が坪10,000円だとすると年間想定賃料は9,600,000円
グロスの年間想定利回りは4・6%となります。)
また、所有される土地の場所的収益性を考慮しなければなりません。
土地の用途地域、建蔽率、容積率、最寄り駅からのアクセス、周辺施設など考慮しなければならない点は多くあります。
そのような計算を綿密に行った場合、よほど土地の環境が収益向き(人気があるエリア、駅が近い、近くに大きな大学などがある、人通りや車の往来が多く商売向きの立地である等)でない限り自分の所有する土地に収益用建物を新築するよりは土地付きの収益物件を購入した方が効率が良いという結論になると思います。
土地付きの収益物件を購入した場合は(当たり前の話ですが)償却が終われば少なくとも土地の分は全体資産が増加します。
また、様々な条件(場所、種類、用途等)から選択できるので資産の分散投資という観点から考えても有利です。
例えばエリア的に収益用資産を建築するには不向きな土地をお持ちの場合は、これを担保にして収益性の高い物件や相続税評価額が低くて実勢価格が高いエリアの収益物件を購入されるのも相続税対策という観点から考えても良い選択ではないでしょうか。
いずれににしても、ご自分の所有の土地に収益用建物を建築する際は分母を前述の計算式で計算することが基本となり、他の選択肢と比較考量するうえでの目安となります。

2016.02.11

賃貸市場の二極分化についてⅡ

前回お話した賃貸市場の二極分化に関する話は、ほんの一例を挙げたに過ぎないのですが、今後も二極分化が進みそうな要因について、少し別の観点からお話をしてみたいと思います。
弊社では調布市でシェアハウスを運営しています。
賃料はかなりリーズナブルな設定になっています。
全部で7部屋と小さなものですが、その1室に外国からの留学生の方が入居されています。
この方は外国人の日本における住居や就職のお世話するあるNPO法人の代表の方にご紹介いただきました。
外国の方と言えば、ここ何年か別の賃貸物件でも何人か入居された方がいて、その数は少しずつ増えていることは間違いありません。
先日、弊社の建築部門の取引先である施工業者の社長が「最近、外国人実習生の日本での滞在期間が3年から5年に延長されたのでインドネシアまで面接しに行って数人スカウトしてきます。」という話をしていました。
建設・土木の業界では人手不足は深刻な問題で、弊社の施行現場においても担当者はいつも苦労が絶えないようです。
彼らは現場において貴重な戦力となり、また以前より2年余計に従事できるということになれば、それだけ熟練度が増し益々貴重な戦力になることでしょう。
ところで、日本で実習生として働ける期間が3年から5年になれば、単純計算すると日本において建設業界に従事する外国人実習生の数が67%ほど増えるということになります。
現実はそうはならないのかもしれませんが、より外国人の方が日本に来やすい環境になることは間違いないことです。
建設業界のみならず、医療、介護の業界でも人手不足は大変深刻な問題だということを耳にします。
ある方(老人介護施設を複数運営している方です。)に聞いたのですが、今現在入居待ちの方がいて部屋はいくつか空いているらしいのですが、介護士等の職員が規定の数を満たしていないので入居してもらうことができない状態であるということでした。
また、最近テレビのニュース番組を見ていたら、郊外に位置する団地においてここ数年居住者の高齢化が進み、団地内、および周辺の商業施設等が寂れる一方で、まさにシャッター通りになってしまい寂しい限りであったのが、最近外国人(主として東南アジアの方達)の入居者の方が多く入り、商店街もにわかに活気づいているという報道がされていました。
行政もこれからは外国人の方達に対しより門戸を開放していかざるを得ないという方針であることは間違いないと思いますが、一方で一気に外国人を日本国内に入れると治安等の面において一抹の不安を覚える方も多くいらっしゃるでしょう。
しかし、私は現在の情勢を鑑みると、相当思い切った門戸開放を行うべきであると考えます。
ところで、外国人の方が日本に来られて生活の拠点を構える際には主として私共の業界が対応しなければならないわけです。
その際、来日される外国の方との文化や習慣の違いに対し適切に対応できることが重要となります。
また、賃料については相当リーズナブルな水準が要求されますし、部屋をシェアしたり、1棟丸ごと借り上げたりする例もあります。
件数は今のところさほど多くは有りませんが、弊社の従業員もこれら外国の方達と接する機会が増えていますので何よりもコミュニケーションを大切に接するようにしたいと思っています。

2016.02.10

賃貸市場の二極分化について

前回、単身者用賃貸物件については特に借り手市場化が進んでいるというお話をさせていただきました。
これは日本の少子高齢化が根本的な原因であることは当然でしょうが、賃料のほうが押しなべて値下がりしているかといえばそうとばかり言えない場合もあります。
弊社の本拠地である武蔵野市(吉祥寺駅)周辺は徒歩12~13分くらいまでの距離であれば多少築年数が経過していても単身者用物件の賃料相場は1坪あたり1万円前後が相場であり、さらに駅に近く築浅な物件は坪単価13,000円~14,000円というものまであります。
また、武蔵野市にはいわゆる「1ルーム条令」というものがあり、後述のとおり1部屋あたりの最低㎡数に制限が設けられているため、あまり小さな部屋は建築できないことになっています。(他の市、区にも都心部に近いところほど同様の規制が多くあります。)
従って最近建った物件の中には坪単価が高い上に1部屋の大きさが大きいので1世帯あたりの賃料は単身者用でも十数万円というかなり高額なものになるものもあります。
弊社の会社事務所がある建物(鉄骨造3階建て、中央線「吉祥寺」駅より歩5分)の2階、3階はワンルームマンション(各階5部屋、合計10部屋)となっていますが、専有面積約30㎡(約9坪)で賃料は平均10万円を超えています。
また、稼働率は90%以上です。
新築の頃(平成15年築)は平均115,000円程度の賃料を頂いていたようなので、さすがに新築当時よりはレントロールは下がっていいるもののかなりの高収入といっても差支えないと思います。
その一方で、グループ会社(KMCハウジング)で管理させていただいている賃貸物件(八王子市)の中には坪単価が5,000円程度で専有面積が6坪、1室の賃料が30,000円を切るものも多くあります。
おかしな話ですが、賃貸市場において人気がある地区(杉並区、武蔵野市、中野区、練馬区等)には前述のようなワンルーム規制があり、さほど人気のない地区(都心部から比較的遠い地区)にはそのような規制があまりないので、新築物件の1部屋あたりの専有面積が小さくできる関係上、1部屋あたりの賃料に益々開きがでる傾向が見られます。
また、同じ吉祥寺駅利用のエリアにおいても、前述の「ワンルーム規制」が施行される以前に建築された建物においては専有面積が極端に小さい物件(13~18㎡ほど)の部屋が多くあり、賃料の総額が低くなる(専有面積が4坪だとすると、坪単価1万2,000円でも1部屋あたりの賃料は4万8,000円で収まります。)ので、それなりの需要があり、高い入居率が確保されている物件もあるようです。
このように、賃貸市場も多くの要素によって賃料相場が形成されているのが現実の流れです。

*武蔵野市では「まちづくり条例」により、マンション、アパート等の共同住宅を建設する場合、1室の専有面積が25㎡以上と定め 
 られています。
 

2016.02.09

少し怖い(寒い?)話です。

利回りに関する話が続いていますが、今回は少し怖い(寒い?)話です。
私がこの業界に入って数年後の話なので、今から十数年前の話です。
知り合いの方(宅建業界とは縁のないお仕事の方)からのご相談で、「息子が都内T市のアパートに住んでいたのだが、通っていた大学を卒業するにあたってそのアパートを近く退去したい旨の連絡を管理している宅建業者にしたところ、部屋の改修費用その他の名目で60数万円の金員を請求された。」というお話でした。
その方のお話によれば、「息子が居住していた期間は2年間(2年契約)にすぎず、息子は煙草も吸わないので入居した後部屋が極端に汚れたということはないはずだ。」ということでした。
業者の請求書を見せてもらったところ、明らかに不要と思われる工事内容があるうえに単価が我々の常識の2倍近い法外なものでした。
この方は詳しいことは分からないにしてもあまりに不合理な内容なので、その業者に一度連絡を入れたそうですが、「皆さんこの通りの内容で清算されていますよ。」とニベなく言われたそうです。
このアパートの入居時の敷金は3月分で賃料が60,000円程度だったので180,000円ほど敷金が預けてあったのですが、その全部が上記の「改修費用(現況復帰費用?)」に充当されるばかりか不足分として400,000円以上支払えという話です。
私はこの方の息子さんと二人で東京都庁の宅建指導課(宅建業者を指導・監督する部署)に相談に行きました。
当時このような相談はそれほど多くはなかったようで、係りの方の対応も当初思っていたより時間がかかりましたが業者に対しては度々連絡を入れたり、都庁に呼び出して事情を聞いたりしてくれたようです。
結論から言うと、この方は請求された金額の三分の一程度を支払うことで話が付きました。(それでも適切な金額よりかなり多いと思いますが)
その後、世間一般に同様の苦情が相次ぐようになり行政側も抜本的な対策(指導・監督の強化)に乗り出したので、現在は上記のような不当な請求を行う悪徳宅建業者は殆ど駆逐されたようです。
ところでこの話で怖い点は2点あります。
まず1点は前記のような請求を行う宅建業者が多くいたことです。(というより、それが当たり前という認識で業務を行っており、少しの反省もなかったようです。)
2点目は、賃借人に対し不当に請求し、浮いた部分については宅建業者と貸主とで折半していたらしいということです。
現在単身者用アパート、マンションで敷金を3月分預かれる物件は殆どないと思いますが、当時は2~3月分が普通でしかも賃借人に返還することは稀で、多くの場合は改修費用と称して返還されなかったようです。
さらに、入居時に敷金の他に礼金と称される金員を1~2月分取られるのが普通で、これは元々返還されることはない金員です。
そのくらい賃貸市場が貸手市場だったわけですが、現在は少子化その他の影響で賃貸市場(特に単身者用)は完全に借手市場であり、敷金など新築物件でもせいぜい1月分が多く、敷金なしの物件も多く存在します。
また、前記のとおり明け渡しの際の借主の現況復帰義務についても年々借主に有利となり(というよりも、それまで野放し状態だったことが異常なのですが)不当な請求をされることも少なくなってきたようです。
いずれにしても、貸す側としては段々不利な状況となっていっていくばかりなのですが、このような事態に至るであろうという予測を貸主であるユーザー様に事前に説明していた業者(宅建業者は勿論、建築業者、金融機関、投資顧問、不動産コンサル業者等のいわゆるプロ連中)は皆無ではなかったかと思われます。
現に、私の知り合いのアパート、マンションのオーナーの方々も「この頃は本当にやりにくくなった。」とこぼされるケースに多々でくわします。
というよりも、上記のような殆ど非合法に近い収入も想定収入に入れて試算していたらしく、宅建業法や借地借家法に関するコンプライアンスが殆ど無いに等しい状況だったことは疑い有りません。
私はこの点が最も怖い話だと思います。

2016.02.08

収益用物件について、前回のお話(利回りに関する話)の続きです。

数年前、私がお取り扱いさせていただいたあるユーザー様についての話です。

都内N市にお住まいの方で、先代より受け継いだ不動産をかなりお持ちの方でした。

当時から20年ほど前(現在からすると20数年前)に相続したのですが、その時は一部は貸駐車場でしたが、半分くらいは自宅部分(息子さん夫婦の自宅も隣接地にありました。)の敷地として使用していたそうです。

その後、更地になっている部分について取引銀行から「このままにしておくのは勿体ないし税金対策にもなるから、収益用のアパートを建てませんか」と持ち掛けられ木造アパートを2棟新築されました。

建築資金は全て銀行からの融資で賄ったそうです。

当初の予定では収入となる賃料でローンを返済して、さらに幾分かは剰余金が生じる予定だったといいます。

しかし、予定していたより賃借人の充足率が良くなかったりしたためむしろ持ち出しになる月が多く、元々あった駐車場の収入から不足分を補てんしていたそうです。

その後10年ほど経過した頃、今度は別の信託銀行から紹介されたコンサルタント会社の勧めで、税金対策のためにアパートを個人の所有から法人(新規設立した)の所有に移したといいます。

当時のコンサルタント会社の担当者の話によると、相当の節税効果が見込めるということで、ユーザー様は奥様共々期待していたそうですが現実はそういうことにはならず、相変わらず持ち出しの状態が続いたそうです。

奥様が「どういうことか、私達にも全く分からないのですが、現に持ち出しになるばかりで収入が増えません。」とこぼされていました。

私共に対するこのユーザー様の相談の内容は「アパートが老朽化してきたので大規模改修工事を行うかあるいは建て替えるか、いっそのこと売却してしまうか迷っている。」という内容のご相談でした。

建て替え等を行うには新築費用が掛かるうえに賃借人の明け渡しなども行う必要があり、更地に新築する以上に費用が掛かります。

前回以上に持ち出しがかさむばかりで実際の実入りが増えなければ意味がないとお考えになるのは当然です。

そもそも、「専門家」のアドバイスによって収益用の物件を建築したり、法人を設立したのになぜ彼らの試算どうりに物事が運ばなかったのでしょうか?

色々と過去の資料を見せていただくうちに「なるほどそうか。」とうなずけることが次々判明してきました。

まず、当初の想定賃料については、実態とかけ離れていたかというと、さにあらず多少甘目だとしても「いい線をいっていた」と言って差し支えない範囲だったと思います。

当初の入居率も予定どうりにはいかなかったようですが、1年後にはいったん満室になっています。

しかし、その後20年間の実際の収入の総額は当初予定の76%程度に過ぎなかったのが現実です。

これでは毎月のように持ち出しになってしまったのは当然の話です。

このユーザー様は、将来にわたる賃料の予想(建物の老朽化による賃料の値下がり以上に値下がり傾向になることはやむを得ないこと)については全く説明を受けていなかったようです。

また、建物のメンテナンス費用についても長期修繕計画をはじめ十分な対策が取られておらず、その場その場で対応してきたため、メンテナンス費用の総額が必要以上に大きなものになってしまい、収益を圧迫する一因となっています。

さらに言えば、間取り(ファミリー向けの間取りでした。)や部屋の広さが地域性に適合していないうえに、建物の構造や設備に問題があったり(一例として防音が不十分だったり風呂の追い炊き装置がついていなかったり)したことも収益性を下げる原因となったようです。

いずれにしても、このユーザー様の当初の計画と現実がこのようにかけ離れたものになってしまった最大の原因は宅建業者による適切なアドバイスが欠けていたことだと思います。

勿論、我々宅建業者の知識と経験だけでは激変する将来の社会情勢を踏まえた上で的確なアドバイスを行うことなどできるわけではありません。

これからも、自らの知識と経験をより一層充実させていかなければならないことは当然ですが、他業種の専門家の方の知識と経験も併せてユーザー様のご依頼に対応していかなくてはならないことを痛感しています。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2016.02.05

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昨日(2月4日)は弊社の新年会でした。

大勢の方にお越しいただきましたが、同業者は30人ほど来られました。

ある仲介業者の方と雑談しながら収益用不動産についての話題になったのですが、所謂「利回り」(満室想定賃料)に関してあまりにも表示の仕方がまちまちなのでよほど不動産のことに精通している人でなくては実態が把握できないのではないかという話になりました。

どういうことかというとまず「現況賃料」についてですが、同じ間取り、同じ階の部屋でも賃料に大きな開きがある場合が結構あります。

例えば、102号室は50,000円で貸しているのに103号室は40,000円といったケースです。

今のところ都内のマンション、アパートの賃料相場は右肩下がりであり、その結果賃貸契約の時期が古いものほど賃料が高い傾向にあります。

更新契約を行っても賃料は従前のままなので、新規入居者ほど安い賃料設定になっており、長く居住している賃借人は割高な賃料を払っているということです。

従ってもし古くからいる賃借人が退去していまうとレントロールは途端に下がってしまうということになります。

それなのに「想定賃料」については、最も割高な部屋の賃料もそのまま継承される想定になっているので、実際の予測される賃料収入とは隔離したものになってしまうのは当然です。

また地域によって値下がり率が全く異なるので平均的な予想賃料を算定することは我々業者でもかなり難しい問題となります。

このような問題についてユーザーの方にどの程度の説明がされているかということを考えると少し寒い気がするのは私だけでしょうか?

 

2016.01.29

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2016.01.29 不動産コンサルブログ

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