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2016.04.12

建物のメンテナンス費用について①

当然の話ですが、どんな建物でもメンテナンス費用はかかります。

新築時に耐久性に優れた優秀な部材を使用することによって、将来のメンテナンス費用を抑えることは可能ですが限界があります。

メンテナンス費用は建物を長期間にわたって所有すると当然掛かる費用であり、当該不動産の収益性に直接影響を及ぼすわけですから新築時にできるだけ詳細なシュミレーションをしておく必要があります。

特に金融機関から長期の借入をして建物の建築費に充当する場合はメンテナンス費用のシュミレーションは必須であり、怠ると最悪の場合借入金の返済が滞ることも予想されます。

このブログで何度も述べているとおり、最近の傾向として入居者の入れ替わり時に以前のように礼金や敷金を多く取る(もしくは預かる)ことは大変難しい状況になっていますし、以前と比較して借地借家法の適用が厳格になっており、賃借人の責によらない修繕費用については殆ど全てオーナーの負担となる前提で考える必要があります。

特に現在においては、賃貸市場がこれから先良い方向に向かう要素は少なく、むしろ右肩下がりであると想定するべきですからシビアなシュミレーションが必要だと思います。

これから何回かに分けてこの点についてのお話をしていこうと思います。

建物のメンテナンス費用については下記のように2通りに分けて考える必要があります。

1、 建物共用部分  屋根・外壁・共用階段・外廊下・エントランス部分などがこれにあたります。

(1)屋根

屋根に関しては主として防水工事を定期的に行う必要があります。建物の構造によって施工方法は異なりますが、いずれも概ね10年毎に施工する必要があります。鉄筋コンクリート造りや鉄骨造りの建物の場合は単に防水という目的だけではなくクラックから雨水の浸透を防ぐという意味で建物の躯体を守るという重要な目的があります。

勿論木造住宅においても雨漏り等が原因で柱や梁など躯体の重要な部分が侵食されて躯体強度そのものに問題が生じる場合があります。このような事態を未然に防ぐためにも防水工事などのメンテナンスは欠かせません。

(2)外壁

外壁についても定期的な防水工事を施工することは必須であることは屋根と同じですが、外壁については機能的な問題以外に建物全体の「見た目」にも影響を及ぼします。当然の話ですが、見た目が築年数以上に汚れている建物(例えば車の往来が激しい通り面にある建物などは排気ガスなどにより汚れが目立つ場合があります。)などは入居率が下がりますし、賃料も低めの設定にせざるを得ないことになります。

外壁の補修工事を長期間怠ると、建物の存続に係る事態が生じる可能性もあります。

極端な例ですが、弊社が最近買い取った古い共同住宅で数年前に外壁(3階の部分)のモルタルが数メートルの幅にわたって剥離落下して下に駐車していた車両に落下し車両が大破するという事故が起きたそうです。

もし人間がいたら死亡事故になっていた可能性があります。

ところで、外壁の補修工事を行う場合は、足場を掛ける必要があります。

足場に掛かる費用は建物の大きさと高さによって異なりますが、相当の費用が掛かりますので高圧洗浄、塗装、サイディングの張り替え、モルタル補修、サッシのメジ周りの補修などの工事を全て一度に行うことが理想です。

工事のサイクルは建物の種類・構造により異なりますが、15年~20年毎に行う想定が妥当です。

(3)その他の共用部分

その他の共用部分については、外廊下などは建物の構造によってはやはり防水工事を行う必要が生じる場合があります。また外廊下、共用階段、エントランス部分は普段から定期的に清掃を行わなければ劣化が早くなりますし汚れが目立つことにより入居率が悪くなります。

上記の他、屋根付き自転車置場や駐車場、給水タンク、浄化槽などもメンテナンスの対象となります。

次回は専有部分のメンテナンスについてお話をしたいと思います。

 

 

 

 

 

 

2016.04.07

樋口、福本の不動産閑話⑧

福本 「樋口さんも知っていると思いますが、今高島平というところで老朽化したビルの立ち退きのお世話をしているのですが、その中のテナントさんの中に理髪店が1件あるのですが、担当者の話によると昼間はあまりお客さんが入っていないようなのですが、夜9時~10時頃に行くとお客さんが結構いると言っていました。周辺の理髪店が閉まったような時間帯に予約を取っているようです。」

樋口 「私がいつも行く床屋さんも平日は本当にお客さんが少ないようで、夫婦とか親子でやっていないと中々成り立たないとこぼしていました。」

福本 「私の行きつけの理髪店に聞いたのですが、数年前に椅子を入れ替えたらしいのですが、新品ではなく中古品を加工したもので済ましたということです。専門の業者があるそうで、費用は新品の数分の1で済むそうです。」

樋口 「最近は駅の中などにカット専門店などができて僅か10分くらいで髪をカットしてくれる店もあるらしいけど、うちの若い営業マンなんかもそういうところで済ましているみたいですね。費用も1,000円くらいらしいからね。」

福本 「さきほどの理髪店は清瀬市のある団地の近くにあるのですが、その団地ができたころは子供の人数が一気に増えたので小学校を新設したほどで現在も二つの小学校が隣接しています。出来た頃は5クラスくらいあったらしいのですが現在は1クラスらしいです。」

樋口 「お客さんが少なくなるはずですね。」

福本 「その店は私が行き始めた15年くらい前はご夫婦でやっていたのですが、現在は息子さんが主体となってやっていて土曜、日曜など忙しい時はご両親も一緒にやっています。もし息子さんが跡を継がなかったら第三者に店ごと貸すことも考えたらしいです。」

樋口 「いずれにしても身内で切り回さないと成り立たない商売みたいですね。」

福本 「理髪店もそうですが、同様の業種が段々増えていることは間違いないようで、例えば私が今のところに住まいを構えてから15年くらい経つのですが、その頃は歩いて行ける範囲に寿司店が4店舗ほどあったのですが、現在は0になりました。代わりに大手チェーンの回転寿司店が1店舗できたのですが、このように大手資本による業種の統合のあおりで個人営業の商売の経営内容が段々と圧迫されて自然淘汰されていくという流れも勿論あると思いますが、それ以上に少子化や高齢化による人口減少が大きいと思います。」

樋口 「法事とか色々な集まりで、寿司の出前を取るなんてことも最近は本当に少なくなりましたからね。」

福本 「前出の理髪店も設備投資を最小限に控えざるを得なかったわけですが、まだ営業を続けていられるだけでもましな話で、営業をやめてしまった店舗が寿司店の他にも多くあり、新規出店するものもあるのですが、全体的には街並みは年々さびれていくような気がします。」

樋口 「大手資本がチェーン展開している店舗でも飲食業などは撤退したり営業形態を変更しているところが沢山ありまね。例えば洋食主体のファミレスだった店舗が回転寿司になったりとか。」

福本 「私の自宅周辺でも10年前から変わらずに営業している店舗は殆どないといっても過言ではありません。間違いなく増えているのはコンビニエンスストアと大手チェーンのドラッグストアですが、その他のものは右肩下がりに減っている感じです。特に個人商店は半減していますね。」

樋口 「最近日本全国どこに行ってもロードサイドなどは同じ名前の店舗が立ち並んでいて同じような光景なので、『自分はどこに来ているのだろう?』と妙な錯覚に陥ることがあります。」

福本 「そういう業種の労働力の大半はパート労働者でしょうから、正規雇用は当然減っていくのでしょうね。」

 

 

2016.04.02

建ててはいけない土地⑤

これまでは、様々な観点から土地に収益用建物を建てる場合のリスクについてご説明してきましたが、建物の建築費用を賃料で償却する目安として、建物建築費用をどの位の期間で償却できればメリットがあるのかという目安について述べたいと思います。

建物の新築には下記の費用が必要となります。

1、 土地の測量費用

2、 地盤調査費用

3、 設計費用

4、 建築確認申請費用

5、 上下水道取り出し、取り付け費用

6、 ガス工事費用

7、 建物本体工事費用

8、 外構工事費用

9、 建物の登記費用

*上記の他、既存の建物を解体する場合は解体工事費用、近隣対策費用などが掛かる場合もあります。

また、工事に要する費用の他、不動産取得税や固定資産税・都市計画税等の税金がかかります。

逆に建物を建てることによって、土地の固定資産税・都市計画税が減免となる場合があります。

これらの費用を全て合算したものを建物の「取得原価」とします。

建物の取得原価に対し、予想される収入を「想定賃料」と称します。

想定賃料を取得原価で割った値を「想定利回り」と称します。

建物の「取得原価」は新築時を100%とすると、毎年建物の価値が下がっていきますので、償却することができます。

これを「減価償却」と称しますが、減価償却を行うことにより建物所有者の所得控除を行うことができますので一定の減税効果があります。

減価償却のノウハウについては建物の種類や構造(木造・鉄骨造・鉄筋コンクリート造・鉄骨鉄筋コンクリート造等)によって償却できる年数が異なってきますので専門家(税理士)にシュミレーションしてもらう必要がありますが、弊社でもご相談を承ります。(ご相談は全て無料です。)

以上の減税効果を考慮しないで建物の取得原価をどれくらいの期間で償却する必要があるかという問題ですが、建物の構造別とにおよその目安を述べると下記のとおりになります。

*数字は建物の建築坪単価(上記の1、~9、の費用の合計を建物の坪数で割ったもの。)です。

1、 木造建物(建築坪単価70万円)  10年

2、 鉄骨造建物(建築坪単価95万円) 13年

3、 鉄筋コンクリート造建物(建築坪単価105万円) 15年

かなり厳しい数字ですが、これくらいの利回りが想定できないと建物を建築するメリットはないと思う必要があります。

 

 

 

 

2016.03.25 不動産コンサルブログ

樋口、福本の不動産閑話⑦

福本 「最近、例の『マイナス金利』とかで金融機関も貸付に力を入れざるを得ないようで、うちの会社にも色々な金融機関から融資話が来ますけど、こと不動産(特に個人住宅)の話になるとかならずしもエンドユーザーが付いてきていない感じがしますね。」

樋口 「動きが良い物件とそうでない物件の差が段々明白になっている気がしますね。」

福本 「本当の意味で不動産市況が良くなるには賃貸市場が先ず良くならなければならないのですが、現在の状況を見る限り決して良くはなっていないですね。」

樋口 「賃料の値下がりと空室率の増加の悪循環に歯止めがかかるような状況を期待したいのですが、とにかく深刻な少子化が続く限り我々の力では何ともしがたいですからね。」

福本 「以前にもこのブログで話したことがありますが、現在の少子化傾向に歯止めをかける即効性がある方策が期待できない限り賃貸市場は良くならないし不動産市況全体の底上げもできないと思いますが、建設・土木や医療・介護、飲食などの業界などでは労働人口が極端に不足しているわけですから、外国人の若い労働力に門戸を開放することも前向きに検討するべきだと思います。」

樋口 「治安や言語などのコミュニケーション、生活習慣の違いなど不安要素は多いかもしれないけど、このままではジリ貧になってしまいますね。」

福本 「うちで所有・管理している賃貸物件にも何人か外国人の方がいますが、特にトラブルはないですね。担当者の努力もあると思いますが。」

樋口 「若い営業マンは夜中に『排水が詰まった』みたいなトラブル処理で現場に行ったりしたことがあるみたいですね。」

福本 「入居時に懇切丁寧に住宅設備や電気製品の使い方、他の入居者に対する付き合いの仕方などについての説明をしているのですが、やはり理解不足からトラブルは起きるようでその都度対応してきたのですが、最近はこちらも慣れてきたのか殆ど問題は生じなくなってきました。」

樋口 「地味な積み重ねが大事ですね。」

福本 「それと当たり前の話ですが、相手を尊重することだと思います。」

樋口 「建設・土木関係については、現場で外国人をよく見かけるけど、彼らは実習生として来ているらしいですね。」

福本 「ある人に聞いた話ですが、最近日本で実習できる期間が3年から5年になったらしいのですが、ということは単純に考えるとその分日本にいる外国人が増えるということになりますよね。」

樋口 「労働条件等についてはどうなのかな?」

福本 「その話なんですが、一部では劣悪な環境に住まわされて極端に安い賃金で働かされている例もあるらしいですね。」

樋口 「行政の監視や指導はどうなっているんでしょうか?」

福本 「せっかく夢や理想を抱いて日本に来てくれた若い人達が、現実に失望してドロップアウトするような事態だけは絶対に避けたいですね。ある機関の調査によれば、実習生(*技能実習制度を利用)として来日した外国人で実習先から失踪した人数は毎年増加しているそうで、平成15年は5,000人ほどいるらしいです。」

樋口 「失踪しても日本国内にはいるわけですよね?」

福本 「条件の良い仕事先に移転する人が大多数らしいです。」

樋口 「それならまだ良いのですが、犯罪などに結びつくことにより外国人に対する偏見がより一層強くなったりすることが怖いですね。劣悪な環境に陥った人たちがそういうことになるとすれば原因は殆どこちら(日本側)にあるわけですから。」

 

 

 

 

2016.03.24

建ててはいけない土地④

土地の用途等に関する問題点

土地には都市計画法や建築基準法といった法律により、建物を建築する際の様々な規制がなされています。

例えば、個人用住宅は建てても良いが店舗や事務所はある一定の床面積しか建ててはいけないといった規制です。

また、建蔽率(土地の面積に対する建物の建築面積に関する制限を定めたもの)、容積率(土地の面積に対する建物の床面積に関する制限を定めたもの)や日影規制(隣地の日照を確保するための制限)、建物の高さの制限などの規制があります。

一連の土地でも規制の内容が変わる例もあります。(例えば、道路から20メートルまでが近隣商業地域でそれ以外が第1種低層地域といった例は多々あります。)

つまり、同じ面積の土地でもそこに建築できる建物はこれらの制限によって大きく異なるということです。

一般的には土地の面積に対し、大きな建物(延べ床面積が多い建物という意味です。)が建てられるほど収益性が高いのですが、エレベーターの設置や建物の構造等の面(建物建築のコストの問題)を考慮すると例外も有り得ます。

また、前回の話になりますが規模過大な建物を建築してしまうと再販リスクが生じる場合があります。

建蔽率・容積率の規制が厳しい土地(40%・80%や50%・100%の土地)についてはよほどの例外(建物の建築費用が減価償却になって所得税の軽減に結びつくというような事情があったとしても)を除いては建物を建築するメリットはないと言っても過言ではありません。

建物の種類(用途)の問題ですが、一般的に普遍性が高いのは居住用建物ですが賃料の効率面(賃料の坪単価)においては最も低くなります。

最近よく相談があるのは、『低層階を店舗・事務所で貸していて非常に良い賃料が入っていたのだが、テナントが出てしまい、レントロールが一気に悪化した。』という話です。

また、上層階をオーナーの住居として使用していた物件を売却したいのだが、あまりにも広すぎて借り手が見つからないtため全体のレントロールが挙がらず売却価格が伸びないという話もよくあります。

ここで基本的な話に戻りますが、建物の建築費用自体は賃料坪単価15,000円取れる場所でも5,000円しか取れない場所でも殆ど変わらないということです。

また、メンテナンス費用についても同様です。

ということは、建築費が1億円の建物で上がりの賃料が年間1,500万円の物件も500万円の物件も建築費やメンテナンス費用は殆ど変わらないのですから、「建ててはいけない土地」は必然的に絞り込まれるわけです。

分かりやすい話をすると、賃借人が長期間(例えば10年間)住んでいた10坪の部屋が空いて、前面リフォ―ムを行う場合、費用が120万円掛かるとします。(リフォーム費用そのものは賃料の坪単価には関係なくかかります。)

従って、賃料坪単価が高いA地区においては月額賃料が10万円とすると、改修費用は賃料の1年分ですみますが、賃料坪単価が低いB地区の月額賃料が5万円とすると改修費用は賃料の2年分にもなります。

さらには、人気エリアにおいては賃借人の入れ替わりの際にオーナーが要するコストも軽減される副次効果もあります。

なぜなら、入居時に礼金と称する金員を取れる場合が多いからです。

逆に弊社グループのKMCハウジングのブログをご覧いただけばお分かりになると思いますが、一部地域では入居時に3カ月フリーレントという物件もあります。

そうなると、賃料坪単価の差は益々収益性に大きな影響を及ぼすということがお分かりになると思います。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2016.03.22

樋口、福本の不動産閑話⑥

 

福本 「いわゆる『地主さん』と呼ばれる人達は殆ど例外なく、自分が先祖から相続等で受け継いだ財産(ここでは主として土地の話)を手放したがらないですよね。」

樋口 「周りの親戚や近所に対する世間体が相当気になるみたいだけど、我々の理解を超えている人も随分いましたね。」

福本 「極端な例ではとにかく土地を維持するために一家全員が犠牲になっているみたいな方もいますね。」

樋口 「金融機関や建築業者などはそういう人達に,相続対策や所得税の軽減になるという理由でローンを組ませてアパートやマンションの建築を勧めたりするけど、将来的に失敗となる例が実に多いですね。」

福本 「土地に建物を建てるということは、その土地の商品としての性格が変わってしまうということが理解できないとダメなんです。例えば、『住宅用地』だった土地がその土地上にアパートを建築してしまうと、『収益用不動産』という別の商品になってしまうわけで、元の『住宅用地』に戻すためには建物を解体しなければならないわけです。」

樋口 「居住者(賃借人)が入居していれば、立ち退きも必要だしね。」

福本 「土地が『収益用不動産』になってしまうと市場価値は主として利回りが基準になってしまいます。皆さん建物を建てるとその価値(建築費)が土地の価値に単純に加算されると錯覚されると思いますが、必ずしもそうではなく殆ど反映されない場合も有り得ますからね。」

樋口 「それに付け加えると、木造だと築15年くらい経過している建物についてはよほど収益性が良くない限り取り壊した方が良い場合が多いですね。RC造りでも20年以上経過していると建物の再販価値は極端に低くなるし、建物内の部材(バス・トイレ・キッチン・洗面・風呂釜・エアコン・玄関ドア・建具・床・畳・サッシなど)の耐用年数が尽きてくるから改修費用が相当掛かるのでその分を見込む必要が出ますからね。」

福本 「しかし、地主さん達は、『先祖代々受け継いだ土地を守る』という意識が強いので、元々自分の土地に何かを建てて収益を挙げて維持していくという話に乗りやすい環境にあるわけですよね。」

樋口 「一旦建ててしまうと数十年間維持しなければならないわけだからね。」

福本 「維持するにはローンの返済に加えてメンテナンス費用が掛かりますからね。」

樋口 「しかも、最近は入居時に『礼金』などの金員を取れるケースは少なく、取れても賃料の1月分とかで、また賃借人の退出時に部屋の補修費用を賃借人に請求できる金額もひと昔以前と比べると極端に少なくなっていますから、オーナーのメンテナンス費用の負担も大きいですからね。」

福本 「私がブログに書いているとおりなんですが、最近つくづく思い知らされる案件が数件立て続けにありました。」

樋口 「真面目な方ほど苦労しますね。」

福本 「いつも思うのですが、『人間のための財産』であって『財産を維持するための人間』ではないはずなんですけどね。」

樋口 「逆にすごい財産を親から相続したけど僅かの間に全て使い果たしてしまって今生活保護を受けている人を知ってますけどね。」

福本 「私もそんな人は何人も知っています。」

樋口 「うまく運用してほどよく使っている人は実に少ないですね。」

福本 「本当にそう思います。」

 

 

2016.03.17

建ててはいけない土地③

収益用不動産の規模

収益用不動産の価格は利回りが大きな決定要素になることは言うまでもないことですが、その物件の絶対的価格が問題となることも考える必要があります。

一般的には都心に近いエリアや人気エリアになるほど、絶対価格が高い物件が市場で動きます。(ここでは個人投資家のレベルのお話をします。)

しかし、都心から離れれば離れるほど、また人気がないエリアにおいては高額な物件は利回りが良くても動きが悪くなる傾向があります。

従って、そのようなエリアにおいて収益用不動産を建築する場合ですが、例えば一連の広い土地に建坪300坪の建物を1棟建築するよりもその3分の1の建坪の建物を3棟建築することを考えた方が有利になる場合が多々あります。(当然それらの建物は敷地が分割できるような配置にしなければなりません。)

利回りが同じでも、総額3億円の物件は中々売れないけど1億円の物件なら比較的動きが良いということです。

総額3億円の建物を1棟建てる場合と総額1億円の建物を3棟建てる場合の建築コストと利回りも当然考慮しなければなりませんが、多少コストが多めに掛かっても3棟建てる方が有利と思って差し支えありません。

 

2016.03.14

建ててはいけない土地②

3、 土地の分割の可否の問題

まず下の図面をご覧ください。

分割図

 

同じ500㎡の面積の土地ですが、図面左の土地は道路に面する間口が10m、奥行きが50メートルと仮定します。

図面右の土地は道路に面する間口が50m、奥行きが10mです。(話をより分かりやすくするため、極端な例にしています。)

図面をご覧いただけば一目瞭然ですが、これらの土地を分割する場合有利なのは当然Bの間口が広い土地であることは言うまでもありません。

ある程度面積が大きい土地を個人住宅用として売却する場合、土地の分割が容易であるか困難であるかという問題はその土地の現実の価値(売買価格)に直結するので、言うまでもなくBの土地の方が市場では高値で売却できるわけですが、収益用の建物をこれらの土地上に建築する場合は利回りという観点から考慮しますので、必ずしも同様の結果にはなるとは限りません。

道路の接道方向や当該地区の建蔽率・容積率、用途地域、日影制限などを詳細に検討する必要がありますが、Aの土地の方が有利な場合も有り得ます。

つまり「A土地は土地自体の価値は低い(市場価格が安い)が収益用建物を建てるには向いている。B土地は土地自体の価値は高い(市場価格が高い)が収益用建物を建てるには向いていない。」という場合が有りうるということです。

(言い方を変えればB土地については、「そのままで高値が付くものにわざわざ上物を建てて分割ができなくなる状態にしない方が良い。」ということです。)

また、上記のように「分割することにより付加価値が生じる土地は」多くありますが、逆に「纏まることによって付加価値が生じる土地」もあります。

ビル用地などはその典型で、単独では容積率を使い切れない土地が周辺の土地と一体となることでより効率が良い建物が建てられる場合があります。

都心のビル街で一部歯抜けのようにコインパーキングになっている土地などは、その周辺を所謂「地上げ」している物件だったりします。

以上述べたようにご自分の土地が分割が容易か困難かという問題により収益用建物を建てるメリットが大きく変わりうるということを考えなければなりません。

 

 

 

 

 

 

 

 

2016.03.11

樋口、福本の不動産閑話⑤

福本 「この前は樋口さんがバブル時代は建売分譲をやっていたという話でしたけど、確かその当時樋口さんの会社で分譲した住宅を購入されたお客様の物件が数年前に競売になってしまって、樋口さんが任意売却で再販したということがありましたよね。」

樋口   「八王子市の物件で、バブル期に私の会社で8,000万円以上でエンドユーザーの方に買ってもらった戸建て住宅が、平成23年に競売物件として出てきたので所有者に連絡してみたら、『任意売却で処分したいので是非よろしく。』ということになって金融機関と交渉して売却したという経緯でした。」

福本 「その件については私もその仕事を少し手伝った覚えがあるんですが、確か競売の価格(基準価格)が1,500万円くらいでしたよね。」

樋口 「その通りで、新築から20年以上経過しているから建物の価格は殆ど無くなっているにしても購入価格の何分の1という価格だね。」

福本 「当時はそれが普通の価格で、決してその人だけが高い買い物をしたわけではないのですが、酷い話ですね。」

樋口 「売却した価格も高かったけど、私が仕入れた土地の価格や建物の建築費用も同様に高かったわけで、すごく利益が出たというわけではないからね。」

福本 「確かにそうですね。」

 

2016.03.07

建ててはいけない土地①

このブログでは繰り返し述べてきたことですが、ご自分の所有されている土地に何らかの収益用建物を建築される場合、建物の建築費用を分母とする利回り計算ではなく、土地の市場価格を加えたものを分母として利回り計算をすることが基本です。

*土地の市場価格については、目安として「公示価格」を参考にされるといいと思います。「公示価格」はWEBBで簡単に検索できます。

それでは、その計算式によってどのような基準で判断するこということについてお話します。

まず、利回りの基準ですが、土地、建物の合計価格の5・5%~6%以上の利回りが得られることが判断の目安となります。

なぜなら、上記の利回りであれば自分が所有する土地に建物を建てるより土地付きの収益物件を購入した方が有利な場合が多いからです。

土地付きの収益物件を購入して減価償却が終われば建物は老朽化してしまうかもしれませんが、土地は残ります。

すごく当たり前の話ですが、元々自分が所有している土地に建てた場合、建物の原価償却が終わったとしても土地自体が増えるわけではありません。

*土地と建物の価格が同じ場合(例えば土地の公示価格が1坪100万円で100坪の土地に施工面積が100坪の建物を1坪100万円の建築費で建てると仮定します。)は建物のみを分母とした利回りは11%~12%は必要ということになります。

以上が基本中の基本となりますが、ご自分が所有する土地に建物を建てるか、土地付きの収益物件を購入するかという判断をするにはこれに加えて以下の要素を考慮しなければなりません。

1、 アクセス  最寄り駅から近い・遠い

2、 エリア的な人気  人気がある・ない

3、 土地の分割の可否  分割が容易・困難

4、 収益用物件としての規模(エリア単位で考慮)  適正・適正でない

5、 土地の用途に関する適合性  適合している・適合していない

以下、順次詳しく述べていきます。

1、 アクセス

収益用物件の将来を予想するについて、最も重要と思われる問題はアクセス面だと思います。

都心に通勤・通学するにあたり、主要駅から近い立地であることは当然大きなアドバンテージとなります。

私達はほぼ毎日のように賃貸用物件の空室率についてデータを見ていますが、やはり駅から遠い物件ほど空室率が高くなります。(賃料はそれなりに割安であるのもかかわらず)

この傾向は長期にわたって徐々に顕著なものになっており、今後も当分続くものと思われます。

勿論、単に交通の便が良いだけではなく、住環境も重要視されますが賃貸物件を選ぶ際の第一番目のポイントはアクセスになることは間違いありません。

また、駅からは遠くても大きな大学などが近い立地は学生相手のアパート、マンションの需要がありますが、近年大学自体がそっくり移転してしまったりすることが珍しくないため、やはり普遍性に欠けるという問題があります。

現実の話で100室以上の部屋数を所有して大半が近くの大学の学生で埋まっていた方が大学が移転してしまったため一気に半分以上の部屋が空いてしまい、その後入居者がなかなか現れないといった事例もあります。

今後は少子高齢化でこの傾向は益々著しいものになると予想されます。

建築当初はそこそこ利回りがまわっても将来的に尻すぼみになることは裂けたいところです。

2、 エリア的な人気

ここでは主として居住用の収益資産を前提としてお話しますが、皆様もマスコミなどをご覧になってよくご存じのとおり、『住みたい街ランキング』というものがあり、弊社がある吉祥寺などは人気が上位のようです。

都心部へのアクセスは殆ど変わらないのに、何故か人気がなくて賃料も割安というエリアもあります。

この点については将来的にどうかと言われれば断言するだけの自信はないのですが、人気のエリアは少なくともここ十年くらいは変わらず人気があるようです。

また、人気エリアにおいては部屋の広さや設備を少々犠牲にしてもそこに住みたいというユーザーが多いようで、例えば賃料が同じ6万円と仮定した場合、人気がないAエリアでは築浅で部屋の広さが25㎡あってバス・トイレも別々のユニットが付いている物件が中々埋まらなかったりするのに、人気があるBエリアでは築年数が古くて部屋の広さも18㎡しかなく一体型ユニットでも満室といったケースは良くあります。

その他の要素として、ここ数年の傾向ですが、東北の大震災の影響があるのか地盤が良いとされる地域の人気は高くなっていることは間違いありません。

ご自分の所有されている土地がこの点でどうかということは大きな判断材料になります。

3、以下の問題については次回お話します。

 

 

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