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2016.03.25 不動産コンサルブログ

樋口、福本の不動産閑話⑦

福本 「最近、例の『マイナス金利』とかで金融機関も貸付に力を入れざるを得ないようで、うちの会社にも色々な金融機関から融資話が来ますけど、こと不動産(特に個人住宅)の話になるとかならずしもエンドユーザーが付いてきていない感じがしますね。」

樋口 「動きが良い物件とそうでない物件の差が段々明白になっている気がしますね。」

福本 「本当の意味で不動産市況が良くなるには賃貸市場が先ず良くならなければならないのですが、現在の状況を見る限り決して良くはなっていないですね。」

樋口 「賃料の値下がりと空室率の増加の悪循環に歯止めがかかるような状況を期待したいのですが、とにかく深刻な少子化が続く限り我々の力では何ともしがたいですからね。」

福本 「以前にもこのブログで話したことがありますが、現在の少子化傾向に歯止めをかける即効性がある方策が期待できない限り賃貸市場は良くならないし不動産市況全体の底上げもできないと思いますが、建設・土木や医療・介護、飲食などの業界などでは労働人口が極端に不足しているわけですから、外国人の若い労働力に門戸を開放することも前向きに検討するべきだと思います。」

樋口 「治安や言語などのコミュニケーション、生活習慣の違いなど不安要素は多いかもしれないけど、このままではジリ貧になってしまいますね。」

福本 「うちで所有・管理している賃貸物件にも何人か外国人の方がいますが、特にトラブルはないですね。担当者の努力もあると思いますが。」

樋口 「若い営業マンは夜中に『排水が詰まった』みたいなトラブル処理で現場に行ったりしたことがあるみたいですね。」

福本 「入居時に懇切丁寧に住宅設備や電気製品の使い方、他の入居者に対する付き合いの仕方などについての説明をしているのですが、やはり理解不足からトラブルは起きるようでその都度対応してきたのですが、最近はこちらも慣れてきたのか殆ど問題は生じなくなってきました。」

樋口 「地味な積み重ねが大事ですね。」

福本 「それと当たり前の話ですが、相手を尊重することだと思います。」

樋口 「建設・土木関係については、現場で外国人をよく見かけるけど、彼らは実習生として来ているらしいですね。」

福本 「ある人に聞いた話ですが、最近日本で実習できる期間が3年から5年になったらしいのですが、ということは単純に考えるとその分日本にいる外国人が増えるということになりますよね。」

樋口 「労働条件等についてはどうなのかな?」

福本 「その話なんですが、一部では劣悪な環境に住まわされて極端に安い賃金で働かされている例もあるらしいですね。」

樋口 「行政の監視や指導はどうなっているんでしょうか?」

福本 「せっかく夢や理想を抱いて日本に来てくれた若い人達が、現実に失望してドロップアウトするような事態だけは絶対に避けたいですね。ある機関の調査によれば、実習生(*技能実習制度を利用)として来日した外国人で実習先から失踪した人数は毎年増加しているそうで、平成15年は5,000人ほどいるらしいです。」

樋口 「失踪しても日本国内にはいるわけですよね?」

福本 「条件の良い仕事先に移転する人が大多数らしいです。」

樋口 「それならまだ良いのですが、犯罪などに結びつくことにより外国人に対する偏見がより一層強くなったりすることが怖いですね。劣悪な環境に陥った人たちがそういうことになるとすれば原因は殆どこちら(日本側)にあるわけですから。」

 

 

 

 

2016.03.24

建ててはいけない土地④

土地の用途等に関する問題点

土地には都市計画法や建築基準法といった法律により、建物を建築する際の様々な規制がなされています。

例えば、個人用住宅は建てても良いが店舗や事務所はある一定の床面積しか建ててはいけないといった規制です。

また、建蔽率(土地の面積に対する建物の建築面積に関する制限を定めたもの)、容積率(土地の面積に対する建物の床面積に関する制限を定めたもの)や日影規制(隣地の日照を確保するための制限)、建物の高さの制限などの規制があります。

一連の土地でも規制の内容が変わる例もあります。(例えば、道路から20メートルまでが近隣商業地域でそれ以外が第1種低層地域といった例は多々あります。)

つまり、同じ面積の土地でもそこに建築できる建物はこれらの制限によって大きく異なるということです。

一般的には土地の面積に対し、大きな建物(延べ床面積が多い建物という意味です。)が建てられるほど収益性が高いのですが、エレベーターの設置や建物の構造等の面(建物建築のコストの問題)を考慮すると例外も有り得ます。

また、前回の話になりますが規模過大な建物を建築してしまうと再販リスクが生じる場合があります。

建蔽率・容積率の規制が厳しい土地(40%・80%や50%・100%の土地)についてはよほどの例外(建物の建築費用が減価償却になって所得税の軽減に結びつくというような事情があったとしても)を除いては建物を建築するメリットはないと言っても過言ではありません。

建物の種類(用途)の問題ですが、一般的に普遍性が高いのは居住用建物ですが賃料の効率面(賃料の坪単価)においては最も低くなります。

最近よく相談があるのは、『低層階を店舗・事務所で貸していて非常に良い賃料が入っていたのだが、テナントが出てしまい、レントロールが一気に悪化した。』という話です。

また、上層階をオーナーの住居として使用していた物件を売却したいのだが、あまりにも広すぎて借り手が見つからないtため全体のレントロールが挙がらず売却価格が伸びないという話もよくあります。

ここで基本的な話に戻りますが、建物の建築費用自体は賃料坪単価15,000円取れる場所でも5,000円しか取れない場所でも殆ど変わらないということです。

また、メンテナンス費用についても同様です。

ということは、建築費が1億円の建物で上がりの賃料が年間1,500万円の物件も500万円の物件も建築費やメンテナンス費用は殆ど変わらないのですから、「建ててはいけない土地」は必然的に絞り込まれるわけです。

分かりやすい話をすると、賃借人が長期間(例えば10年間)住んでいた10坪の部屋が空いて、前面リフォ―ムを行う場合、費用が120万円掛かるとします。(リフォーム費用そのものは賃料の坪単価には関係なくかかります。)

従って、賃料坪単価が高いA地区においては月額賃料が10万円とすると、改修費用は賃料の1年分ですみますが、賃料坪単価が低いB地区の月額賃料が5万円とすると改修費用は賃料の2年分にもなります。

さらには、人気エリアにおいては賃借人の入れ替わりの際にオーナーが要するコストも軽減される副次効果もあります。

なぜなら、入居時に礼金と称する金員を取れる場合が多いからです。

逆に弊社グループのKMCハウジングのブログをご覧いただけばお分かりになると思いますが、一部地域では入居時に3カ月フリーレントという物件もあります。

そうなると、賃料坪単価の差は益々収益性に大きな影響を及ぼすということがお分かりになると思います。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2016.03.22

樋口、福本の不動産閑話⑥

 

福本 「いわゆる『地主さん』と呼ばれる人達は殆ど例外なく、自分が先祖から相続等で受け継いだ財産(ここでは主として土地の話)を手放したがらないですよね。」

樋口 「周りの親戚や近所に対する世間体が相当気になるみたいだけど、我々の理解を超えている人も随分いましたね。」

福本 「極端な例ではとにかく土地を維持するために一家全員が犠牲になっているみたいな方もいますね。」

樋口 「金融機関や建築業者などはそういう人達に,相続対策や所得税の軽減になるという理由でローンを組ませてアパートやマンションの建築を勧めたりするけど、将来的に失敗となる例が実に多いですね。」

福本 「土地に建物を建てるということは、その土地の商品としての性格が変わってしまうということが理解できないとダメなんです。例えば、『住宅用地』だった土地がその土地上にアパートを建築してしまうと、『収益用不動産』という別の商品になってしまうわけで、元の『住宅用地』に戻すためには建物を解体しなければならないわけです。」

樋口 「居住者(賃借人)が入居していれば、立ち退きも必要だしね。」

福本 「土地が『収益用不動産』になってしまうと市場価値は主として利回りが基準になってしまいます。皆さん建物を建てるとその価値(建築費)が土地の価値に単純に加算されると錯覚されると思いますが、必ずしもそうではなく殆ど反映されない場合も有り得ますからね。」

樋口 「それに付け加えると、木造だと築15年くらい経過している建物についてはよほど収益性が良くない限り取り壊した方が良い場合が多いですね。RC造りでも20年以上経過していると建物の再販価値は極端に低くなるし、建物内の部材(バス・トイレ・キッチン・洗面・風呂釜・エアコン・玄関ドア・建具・床・畳・サッシなど)の耐用年数が尽きてくるから改修費用が相当掛かるのでその分を見込む必要が出ますからね。」

福本 「しかし、地主さん達は、『先祖代々受け継いだ土地を守る』という意識が強いので、元々自分の土地に何かを建てて収益を挙げて維持していくという話に乗りやすい環境にあるわけですよね。」

樋口 「一旦建ててしまうと数十年間維持しなければならないわけだからね。」

福本 「維持するにはローンの返済に加えてメンテナンス費用が掛かりますからね。」

樋口 「しかも、最近は入居時に『礼金』などの金員を取れるケースは少なく、取れても賃料の1月分とかで、また賃借人の退出時に部屋の補修費用を賃借人に請求できる金額もひと昔以前と比べると極端に少なくなっていますから、オーナーのメンテナンス費用の負担も大きいですからね。」

福本 「私がブログに書いているとおりなんですが、最近つくづく思い知らされる案件が数件立て続けにありました。」

樋口 「真面目な方ほど苦労しますね。」

福本 「いつも思うのですが、『人間のための財産』であって『財産を維持するための人間』ではないはずなんですけどね。」

樋口 「逆にすごい財産を親から相続したけど僅かの間に全て使い果たしてしまって今生活保護を受けている人を知ってますけどね。」

福本 「私もそんな人は何人も知っています。」

樋口 「うまく運用してほどよく使っている人は実に少ないですね。」

福本 「本当にそう思います。」

 

 

2016.03.17

建ててはいけない土地③

収益用不動産の規模

収益用不動産の価格は利回りが大きな決定要素になることは言うまでもないことですが、その物件の絶対的価格が問題となることも考える必要があります。

一般的には都心に近いエリアや人気エリアになるほど、絶対価格が高い物件が市場で動きます。(ここでは個人投資家のレベルのお話をします。)

しかし、都心から離れれば離れるほど、また人気がないエリアにおいては高額な物件は利回りが良くても動きが悪くなる傾向があります。

従って、そのようなエリアにおいて収益用不動産を建築する場合ですが、例えば一連の広い土地に建坪300坪の建物を1棟建築するよりもその3分の1の建坪の建物を3棟建築することを考えた方が有利になる場合が多々あります。(当然それらの建物は敷地が分割できるような配置にしなければなりません。)

利回りが同じでも、総額3億円の物件は中々売れないけど1億円の物件なら比較的動きが良いということです。

総額3億円の建物を1棟建てる場合と総額1億円の建物を3棟建てる場合の建築コストと利回りも当然考慮しなければなりませんが、多少コストが多めに掛かっても3棟建てる方が有利と思って差し支えありません。

 

2016.03.14

建ててはいけない土地②

3、 土地の分割の可否の問題

まず下の図面をご覧ください。

分割図

 

同じ500㎡の面積の土地ですが、図面左の土地は道路に面する間口が10m、奥行きが50メートルと仮定します。

図面右の土地は道路に面する間口が50m、奥行きが10mです。(話をより分かりやすくするため、極端な例にしています。)

図面をご覧いただけば一目瞭然ですが、これらの土地を分割する場合有利なのは当然Bの間口が広い土地であることは言うまでもありません。

ある程度面積が大きい土地を個人住宅用として売却する場合、土地の分割が容易であるか困難であるかという問題はその土地の現実の価値(売買価格)に直結するので、言うまでもなくBの土地の方が市場では高値で売却できるわけですが、収益用の建物をこれらの土地上に建築する場合は利回りという観点から考慮しますので、必ずしも同様の結果にはなるとは限りません。

道路の接道方向や当該地区の建蔽率・容積率、用途地域、日影制限などを詳細に検討する必要がありますが、Aの土地の方が有利な場合も有り得ます。

つまり「A土地は土地自体の価値は低い(市場価格が安い)が収益用建物を建てるには向いている。B土地は土地自体の価値は高い(市場価格が高い)が収益用建物を建てるには向いていない。」という場合が有りうるということです。

(言い方を変えればB土地については、「そのままで高値が付くものにわざわざ上物を建てて分割ができなくなる状態にしない方が良い。」ということです。)

また、上記のように「分割することにより付加価値が生じる土地は」多くありますが、逆に「纏まることによって付加価値が生じる土地」もあります。

ビル用地などはその典型で、単独では容積率を使い切れない土地が周辺の土地と一体となることでより効率が良い建物が建てられる場合があります。

都心のビル街で一部歯抜けのようにコインパーキングになっている土地などは、その周辺を所謂「地上げ」している物件だったりします。

以上述べたようにご自分の土地が分割が容易か困難かという問題により収益用建物を建てるメリットが大きく変わりうるということを考えなければなりません。

 

 

 

 

 

 

 

 

2016.03.11

樋口、福本の不動産閑話⑤

福本 「この前は樋口さんがバブル時代は建売分譲をやっていたという話でしたけど、確かその当時樋口さんの会社で分譲した住宅を購入されたお客様の物件が数年前に競売になってしまって、樋口さんが任意売却で再販したということがありましたよね。」

樋口   「八王子市の物件で、バブル期に私の会社で8,000万円以上でエンドユーザーの方に買ってもらった戸建て住宅が、平成23年に競売物件として出てきたので所有者に連絡してみたら、『任意売却で処分したいので是非よろしく。』ということになって金融機関と交渉して売却したという経緯でした。」

福本 「その件については私もその仕事を少し手伝った覚えがあるんですが、確か競売の価格(基準価格)が1,500万円くらいでしたよね。」

樋口 「その通りで、新築から20年以上経過しているから建物の価格は殆ど無くなっているにしても購入価格の何分の1という価格だね。」

福本 「当時はそれが普通の価格で、決してその人だけが高い買い物をしたわけではないのですが、酷い話ですね。」

樋口 「売却した価格も高かったけど、私が仕入れた土地の価格や建物の建築費用も同様に高かったわけで、すごく利益が出たというわけではないからね。」

福本 「確かにそうですね。」

 

2016.03.07

建ててはいけない土地①

このブログでは繰り返し述べてきたことですが、ご自分の所有されている土地に何らかの収益用建物を建築される場合、建物の建築費用を分母とする利回り計算ではなく、土地の市場価格を加えたものを分母として利回り計算をすることが基本です。

*土地の市場価格については、目安として「公示価格」を参考にされるといいと思います。「公示価格」はWEBBで簡単に検索できます。

それでは、その計算式によってどのような基準で判断するこということについてお話します。

まず、利回りの基準ですが、土地、建物の合計価格の5・5%~6%以上の利回りが得られることが判断の目安となります。

なぜなら、上記の利回りであれば自分が所有する土地に建物を建てるより土地付きの収益物件を購入した方が有利な場合が多いからです。

土地付きの収益物件を購入して減価償却が終われば建物は老朽化してしまうかもしれませんが、土地は残ります。

すごく当たり前の話ですが、元々自分が所有している土地に建てた場合、建物の原価償却が終わったとしても土地自体が増えるわけではありません。

*土地と建物の価格が同じ場合(例えば土地の公示価格が1坪100万円で100坪の土地に施工面積が100坪の建物を1坪100万円の建築費で建てると仮定します。)は建物のみを分母とした利回りは11%~12%は必要ということになります。

以上が基本中の基本となりますが、ご自分が所有する土地に建物を建てるか、土地付きの収益物件を購入するかという判断をするにはこれに加えて以下の要素を考慮しなければなりません。

1、 アクセス  最寄り駅から近い・遠い

2、 エリア的な人気  人気がある・ない

3、 土地の分割の可否  分割が容易・困難

4、 収益用物件としての規模(エリア単位で考慮)  適正・適正でない

5、 土地の用途に関する適合性  適合している・適合していない

以下、順次詳しく述べていきます。

1、 アクセス

収益用物件の将来を予想するについて、最も重要と思われる問題はアクセス面だと思います。

都心に通勤・通学するにあたり、主要駅から近い立地であることは当然大きなアドバンテージとなります。

私達はほぼ毎日のように賃貸用物件の空室率についてデータを見ていますが、やはり駅から遠い物件ほど空室率が高くなります。(賃料はそれなりに割安であるのもかかわらず)

この傾向は長期にわたって徐々に顕著なものになっており、今後も当分続くものと思われます。

勿論、単に交通の便が良いだけではなく、住環境も重要視されますが賃貸物件を選ぶ際の第一番目のポイントはアクセスになることは間違いありません。

また、駅からは遠くても大きな大学などが近い立地は学生相手のアパート、マンションの需要がありますが、近年大学自体がそっくり移転してしまったりすることが珍しくないため、やはり普遍性に欠けるという問題があります。

現実の話で100室以上の部屋数を所有して大半が近くの大学の学生で埋まっていた方が大学が移転してしまったため一気に半分以上の部屋が空いてしまい、その後入居者がなかなか現れないといった事例もあります。

今後は少子高齢化でこの傾向は益々著しいものになると予想されます。

建築当初はそこそこ利回りがまわっても将来的に尻すぼみになることは裂けたいところです。

2、 エリア的な人気

ここでは主として居住用の収益資産を前提としてお話しますが、皆様もマスコミなどをご覧になってよくご存じのとおり、『住みたい街ランキング』というものがあり、弊社がある吉祥寺などは人気が上位のようです。

都心部へのアクセスは殆ど変わらないのに、何故か人気がなくて賃料も割安というエリアもあります。

この点については将来的にどうかと言われれば断言するだけの自信はないのですが、人気のエリアは少なくともここ十年くらいは変わらず人気があるようです。

また、人気エリアにおいては部屋の広さや設備を少々犠牲にしてもそこに住みたいというユーザーが多いようで、例えば賃料が同じ6万円と仮定した場合、人気がないAエリアでは築浅で部屋の広さが25㎡あってバス・トイレも別々のユニットが付いている物件が中々埋まらなかったりするのに、人気があるBエリアでは築年数が古くて部屋の広さも18㎡しかなく一体型ユニットでも満室といったケースは良くあります。

その他の要素として、ここ数年の傾向ですが、東北の大震災の影響があるのか地盤が良いとされる地域の人気は高くなっていることは間違いありません。

ご自分の所有されている土地がこの点でどうかということは大きな判断材料になります。

3、以下の問題については次回お話します。

 

 

2016.03.03

樋口、福本の不動産閑話④

福本 「この前は、個人としては途方もない金額の不動産投資を金融機関に押し付けられて酷い破綻を招いてしまった方の話でしたが、バブル崩壊後は私の知る限りでも友人や親せきなど色々な人が煽りを喰って個人破産やそれに類したことになってしまったのですが、樋口さんもそんな人を大勢知っているでしょう?」

樋口 「ワンルームマンションなんかの小口投資を金融機関に勧められて購入した人なんか私の周りにも沢山いましたね。」

福本 「ワンルームマンションと言っても23区内だと20㎡未満のものが3,000万円とかすごい値段でしたね。」

樋口 「しかも、金融機関の金利は当時6%~8%という途方もないものだったからね。」

福本 「ワンルームマンションを投資用に購入して、月々の支払が25万円であがりの賃料が管理費、修繕積立金、個都税を差し引くと手取りは5万円位なんていう物件もありましたからね。

樋口 「誰しもそんなものを長期間にわたって所有しているつもりは毛頭なかったんだけどね。」

福本 「逆に、2,000万円で購入したマンションが10日後に3,000万円で売ってくれという話になったとかもありましたからね。」

樋口 「金融機関の融資担当者も、貸付ノルマが達成できなければ職場で無能力者扱いされるみたいな話をしてたね。」

福本 「住宅購入も同じ風潮でしたよね。」

樋口 「私は八王子市周辺で当時建売分譲を中心にやっていたんだけど、バブル期後半には八王子には買える物件がなくなってきて山梨県まで検討したりしたからね。」

福本 「八ヶ岳とか那須の原野みたいな物件や茨城県の大洋村(現鉾田市)なんかも立派な商品でしたから。」

樋口 「親がそのような土地を購入していて、子供さん達はそんな物件があるということを全く分からないでいて、親が亡くなったずっと後に初めて知ったという実話も知ってますけど。」

福本 「固定資産税が0円だと納税通知も来ませんからね。」

樋口 「でもそういう人は幸運で、それなりの金銭の損失は出たのでしょうが自分の自宅や生活の糧となる不動産までなくしてしまった人は悲惨です。」

福本 「私の知り合いで、年齢は一つ先輩になる方が、バブル期に収入がかなりあったので金融機関に勧められて全てローンを組んで都内にワンルームマンションを2戸、それぞれ約3,000万円で購入し、その他に軽井沢に別荘地をやはり3,000万円で購入したのですが、ローンが払えなくなり私に売却を依頼されました。売却できた金額はワンルームマンションが約1,000万円と750万円で別荘地は暫く値段がつきませんでした。3物件ともローンは元金が減るどころか遅延損害金で借入当初より膨らんでいたのですが、金融機関は快く『損切り』に応じてくれましたね。」

樋口 「物件の処理は出来ても債権は残りますからね。」

福本 「自己破産した人も多いですね。」

樋口 「実際は自己破産しないかぎり金融機関から暫く請求の書面は届くけど、電話等で催促されることはまずなくなるからね。」

福本 「被担保物件が無くなって債権だけ残った状態を『ポンカス債権』と呼ぶけど、そんなものがあまりにも多くなって『サービサー』と呼ばれる組織が徐々にできてきましたよね。」

樋口 「外資系の債権買取会社はケイマン諸島などのとんでもない住所に拠点があって、最初の頃は物件の謄本を見てびっくりしたよね。」

福本 「色々調べるとちゃんと国内に窓口があって、担当者は外国人かと思って会ってみると日本人で『この間までは○○銀行にいました。』なんて言われて拍子抜けしたりもありましたね。」

樋口 「債権の『バルク買い』なんて言葉もその頃知ったね。」

福本 「とにかく、日本の金融機関があれだけの不良債権を処理したことは史上初めてのことだったことは間違いないわけで、トップから末端の担当者まで試行錯誤だったと思います。」

樋口 「あの頃私達に今の知識と経験があったらとんでもない利益が挙がっていたでしょう。」

福本 「こちらも訳が分からずに試行錯誤を繰り返しながらやっていて、それでもそこそこ食べていけたわけですからね。」

 

2016.03.01 不動産コンサルブログ

成功事例ー必要なだけ売却②

この前は、相続税の支払いや身内の方への遺産の分割のために相続財産の一部をうまく売却されたユーザー様のお手伝いをさせていただいたお話でしたが、その際広い一連の土地を細かく分割できるようにした経緯を簡単に記載しました。

それによって、不動産市況が悪い時に最低限の資産を売却することで目的を達成することができたということですが、この話には更にユーザー様の利益に結びつく要因がありました。

土地の商品化を行ったメリット

ユーザー様が5,000㎡もの土地(ここでは最適用途が住宅用地である土地という想定でお話します。)を売却する場合、売却の相手はハウスメーカーやマンション業者となることが普通です。

上記のような業者を「ディべロッパー」と呼びます。

ディべロッパーは土地を購入(仕入)するにあたり、当然その土地に関して定められた法律や条令による規制について調査します。

一例を挙げると、用途地域(どのような種類の建物が、どれくらの規模で建築できるかということに関する制限等を定めています。)、建蔽率(土地に建物を建築する場合の土地の面積に対し可能な建築面積の割合を定めています。)、容積率(土地に建物を建築する場合の土地の面積に対し可能な床面積の割合を定めています。)、建物の高さの制限、日影に関する制限(隣地の日照を確保するための制限)など数多くの決まりがその地域毎に決められています。

また、電気、ガス、上下水道などの「ライフライン」と呼ばれるものについても、物件ごとに条件が異なりますので調査やプランの作成には多くの手間と日数を要します。

それらの調査・検討の上、購入価格を始めとする売買の条件について売主様との交渉を行い、話が纏まってようやく物件の購入ができるわけです。

さらに、購入後、所定のプランを具現化するための手続きである「開発行為」を行政に申請し、要件が整ってから定められた内容の工事(土木工事)に着工するわけです。

また、建物を土地上に建築するためには行政に「建築確認申請」を行って「建築確認」を受けなければなりません。

建築確認を申請するためには、「開発行為」が完了している必要があります。

このように、多くの手間と時間をかけて土地の商品化を行うわけですが、本件のようにユーザー様が既に土地の商品化に要する手続きを概ね完了している案件については買主側が取引条件を取りまとめる時間が極端に短くて済むわけです。

前述のとおりこの土地の売買が行われた時期はリーマンショック後の不動産市況が大変悪い時期でした。

不動産市況が悪いということはどういうことかと言うと、全ての不動産の動きが悪く極端な値下がりを起こしている状況を想像されると思いますが、必ずしもそうではありませんでした。

都心部の地上げ案件やビル用地、高級マンション用地、高級住宅地、等は結構な打撃を受けて当初目論んでいた出口の半分以下というものも多くあり、上場企業が破綻したりしましたが、郊外の比較的総額が低い住宅地については、極端に値下がりしたり、全く案件が動かなくなるということは有りませんでした。

なぜこのような現象になったかと言いますと、リーマンショック前の「ミニバブル」と言われていた時期には金融機関から多額の資金が不動産投資に流入しており、私も後で調べて分かったのですが、不動産に対する金融機関の融資の総額はバブル期を上回っていたということで、不動産業者間で物件のすさまじい争奪戦を行い自ら価格を吊り上げてしまった結果、エンドユーザーという出口を一気に失った物件が雪崩を打ったように値崩れしたということなのです。

しかし、バブル崩壊後のように実需が極端に崩れたわけではなく、中間所得層の個人住宅に対する需要は極端に悪化していたわけではありませんでした。

リーマンショックによって本当に打撃を受けたのは、不動産業界に限っていえば過激な投資を行った不動産業者と一部の投資家だったと言っても過言ではないと思います。

以上のような状況下において、買い手側であるディべロッパーがどのような傾向になるかというと、まず不動産市況の低迷がいつまで続くかという警戒感を抱きながらの仕入になるということです。

現在の状況が底をついた状態なのか、あるいは更に深い底に陥っていくのかということは仕入の判断に大きく影響することは当然の話です。

本件不動産の売却を行った頃は丁度そのような時期で、不動産業界に携わる者全てがことあるごとにそのような話をしていました。

仕入には大きなリスクが伴う(これ以上不動産が値崩れした場合)状況ではあるが、周りが様子見をしている状況なので反面仕入のチャンスでもあるわけです。

このような場合、仕入において最も大事なポイントは多少仕入価格が割高でも手間と時間がかからない案件(言い換えれば事業に着手してから最終的に販売を完了できるまでの期間が短くて済む案件)を仕入れるということです。(土地の加工を要せずすぐに建物の建築に着手できるような土地がベスト。)

本件のユーザー様の場合、前回のお話に出てきた図面をご覧いただけばお分かりになる思いますが、5,000㎡の土地を分割してすぐに建物の建築ができるような状態に加工されました。

従ってディべロッパーとしては何ら時間と費用を要せず購入後すぐにプロジェクトに着手できるという大きなメリットがあるわけです。

このように買い手側の事情と一致したことも大きな利益をもたらした要因であったと思います。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2016.02.26

樋口、福本の不動産閑話③

福本 「この話を金融機関の関係者が目にしたら、すごく怒られるかもしれないけど金融機関の勧めで不動産を購入したり、建物を建てたりした一般ユーザーで結果的に全財産を無くすほど酷い目にあった人の案件を取り扱ったことは数えきれないくらいありますよね。」

樋口 「二人でそんな人の案件を手掛けたことも度々あったね。」

福本 「10年以上前の話で、もう時効だと思うから話せるんですが、ある銀行ーその銀行は統合合併されて今はもう名前が残ってないのですがーにバブルの後始末みたいな物件を数十億も押し付けられて、挙句の果ては全部で200億円ほどあった資産(不動産)を全て失った人がいるのですが、その方はなんと銀行に債権者破産の手続きを申し立てられたものだから任意売却もできませんでしたからね。」

樋口 「その話は何度か聞いたことがありますね。」

福本 「ご本人は銀行に色々と抗議したらしいのですが、全く取り合ってもらえず最後は自殺してしまい、自宅を含め1坪の土地も残らなかったという酷い話です。」

樋口 「バブル期はそんな話はいくらでもあったね。」

福本 「この話で一番酷いと思ったのは、銀行が貸し込んでいた地上げ屋が土地の地上げを完了できずに破綻してしまったらしいのですが、所謂『瑕疵物件』であるその土地を無理やりその方に押し付けたそうです。」

樋口 「たしかその銀行の幹部が来て『数年後に地上げが完了したらその土地に銀行の支店を出して高額の賃料が入るようにするから買っておいてください。』と言われたという話でしょう?」

福本 「そうです。奥さんの話では銀行の『副頭取』と名乗る人を含めて6人くらいで説得されて、30億円ほど融資を受けてその土地を購入することになったそうです。また、その他にも同様の不動産を多数購入させられて負債の総額は60億円以上に膨らんだようです。」

樋口 「30億円で買わされた土地は結果的には二束三文になったらしいね。」

福本 「結局、破産手続きによって競売されたのですが競売の価格は2億数千万円でしかも入札はありませんでした。」

樋口 「10分の1にもならなかったというわけだね。」

福本 「またその後5~6年してようやくまともな物件になり、現在では立派な建物が建っていますがそれは元の所有者が自殺してしまったはるか後の話です。」

樋口 「他の物件も似たり寄ったりの結果ですね。」

福本 「その方が元来所有されていた不動産はどれも素晴らしい物件だったのですが、全て上記のような物件の共同担保に取られていたので、破産手続きによって処分されてしまいました。前述のとおり任意売却もできませんでした。」

樋口 「これは極端に酷い話ですね。」

 

 

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