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2018.11.13

収益資産の形成⑳外国人向けの物件・纏め①

賃貸市場を始め、日本経済への影響は?

現在のところ、政府は外国人労働者に対する門戸開放の動き(「門戸開放」や「移民」という言葉は頑なに使わないようにしているようですが)に際して、今後どれほどの人数を日本国内に入れる予定か明らかにしていませんが、現在130万人の外国人労働者が既に日本国内にいるわけで、尚且つそれでも労働力が決定的に不足しているわけですから、少なくとも将来増える人数は100万人単位になるはずです。

日本の若い世代の一学年の人数は100万人を切っており今後も減り続ける見込みですから、必要となる外国人労働者の総数は1000万人の単位になるかもしれません。

参考までに、日本人の人口構成比の問題を少し検証していみると、2000年と2015年の各世代の男子の人数は下記のとおりです。

2000年          2015年

20歳~24歳       4307242人       3046392人

25歳~29歳       4965277人       3255717人

30歳~34歳       4436818人       3684747人

35歳~39歳       4096285人       4204202人

合 計          17805622人      14191058人

上記の統計から、僅か15年の間に20歳から39歳の男子の人口は3614564人も減っていること事が分かります。(女子も同じような数字です。)

参考までに0歳から4歳までの男子の人口は下記のとおりです。

2000年          2015年

0歳~5歳         3022521人       2550921人

こちらは471600人減少しています。

このブログでも既に述べていることですが、首都圏の賃貸市場はバブル崩壊後30年間右肩下がりとなっており、借り手市場が続いていますが、これは当然少子高齢化による人口の減少が最も根本的な要因であることは間違いありません。

借り手の絶対数が年々減少している以上、不動産(収益用不動産)の市場も盛り上がるはずがなく、例外的に「相続税対策」を売り物にする一部の業者が業績を伸ばしているに過ぎない現状です。

収益用不動産の市場は、本来なら「投資プロジェクト」として成り立つスキームのみ実行に移すべきですが、現状はそうではなく、地主など一部の富裕層に寄りかかる形の投資話が大半であることは残念な話です。

これらの物件の多くはいずれ中古物件として再販されるようになった場合は投資総額の2分の1以下の価格で売らざるを得ない運命であることは間違いなく、イーミライ・グループの関連会社が昨年1億円で買い取った物件は建物建築費だけで総額3億円ほどの資金が投入された物件でした。

このような「負の遺産」をこれ以上増やさないためには、借り手の総数を増やす以外根本的な対策はありません。

また、企業が新規投資に二の足を踏んでいる原因も国内の消費人口が増えないと予想せざるを得ないことにあると考えられます。

いずれにしても、私が数年前から事あるごとに主張していることですが、外国人の労働力を一刻も早く国内に入れることは日本の国力を維持向上するための必須条件です。

また、それにあたっては手続きを全て合法的に行い、官民一体となった受け入れ態勢を整える努力を惜しまないことです。

外国人労働者に対する門戸開放政策は明治維新の開国政策以来の国運を掛けた政策転換に他ならないのですが、現在までの政府やマスコミの対応はそのような国の命運を賭けた政策に対するものとは程遠く、これまでなし崩し的に130万人もの外国人労働者を多くの国民に何ら説明なしに「入れてしまった。」という状況です。

これらの外国人労働者の多くは「脱法的」に入国、滞在していることが現状であり、そのことが外国人労働者のドロップアウトを助長する大きな原因となっており、日本人の外国人に対する偏見を助長させるという悪循環の原因となっています。

このような事態を改善し、来日した外国人が健全に努力する限り、かれらの当初思い描いていた夢や希望を叶えることが出来る環境を整えることが我々に義務であると思います。

また、私は、来日する外国人の生活環境が底上げされ、衣食住に関する消費を拡大してくれれば日本経済にとっても格好の刺激になり、長年悩んでいる物価の低迷やマイナス金利の問題などにも根本的な解決策を見出せることに繋がるのではないかと期待しています。

 

 

 

 

 

2018.11.09

収益資産の形成⑲ー外国人向けの物件・3

具体的な外国人向けの収益物件

他ならぬ私達イーミライ・グループが現在手掛けている外国人向けの物件の話で大変恐縮ですが、現在2つのパターンの外国人(ベトナム人専用)のシェアハウスを計画しています。

一つ目は、都心の空きビルを改装して外国人向けのシェアハウスに転用しようというものです。

もう1件は、都心からほど近いターミナル駅徒歩5分の土地に木造2階建てのシェアハウスを建築しようという計画です。

いずれの物件も知り合いのベトナム人を支援するNPO法人の代表の方やその関係者の方々のご助言を得ながら計画を進めている所です。

一番の問題点は、土地の価格が安からぬ都心や都心までの便利が良い立地の物件で入居費用をいかに抑えるかという問題です。

外国人の入居者が支払うことが出来る月額の賃料は管理費も含めて一人3万円前後がいいところだと思います。

ということは、一人あたりに割り当てられる居室面積は狭小なものになることはやむを得ないものがあります。

しかし、狭い空間であっても寛げる共用スペース(LDK)やトイレ、洗面、シャワースペースなどの充実、テレビ、エアコン、洗濯機(乾燥機付き)など設備面を充実させること、洗剤、石鹸、トイレットペーパーなど消耗品を定期供給することなどによって少しでも快適な居住空間を作り出せるように努めたいと考えています。

今後の展望

外国人労働者の日本における総数はすでに130万人もいるという報道を聞いて驚いた方も多くいらっしゃると思います。

その内、外国人留学生の数は26万7042人、外国人技能実習生の数は約27万人と留学生とほぼ同数になっています。(2017年のデータ)

両者合わせて約54万人の外国人が日本に滞在しているわけですが、彼らの多くは単純労働に従事しているのが現状です。

外国人技能実習生に対しては「日本人と同等の待遇」が義務付けられていますが、実際のところは各都道府県が定める最低賃金が支払われているにすぎない例が大半で、中には法規を無視した低賃金で無理な労働を強いている例もあるそうです。

そのような不法な雇い主に対しては行政は厳罰をもって望むことは当然の話ですが、先ずは官民一体となって彼らがドロップアウトすることを防ぐ努力をしなければなりません。

外国人技能実習生の内、2017年に失踪した人数は約7000人、これまでの失踪者の総数は26000人にも及び、現在把握されているだけで66498人の不法滞在者が日本国内にいるということです。

彼らがドロップアウトする原因の過半は受け入れ側の日本になるといって差し支えなく、これは彼らが来日するに際して受け入れるための法整備や環境づくりが整っていないことが大きな理由であることは間違いありません。

特に、130万人にも及ぶ大量の外国人を脱法的に受け入れてきた上に、彼らの労働力なくしてはもはや日本経済自体が成り立たなくなるほどの事態を招いてしまった行政の責任は重いものがあります。

しかし、日本が抱える少子高齢化社会とそれに伴う労働人口の不足に対し何ら考えることがなかった私達自身の責任でもあることを今こそ痛感し、私達自身がこれから何ができるか考えなければならない時期にきていると思います。

当たり前の話ですが、どのような人間でも将来の希望が持てる生活環境になければ努力することはできません。

遠い祖国から来日する若い外国人が日本において、多少辛く苦しい労働に従事するとしても日本に滞在する間になんらかの知識と経験を身に着け、母国の家族に対しても送金ができるだけの収入を得ることが出来れば、第二第三の若い人材が日本へ来てくれることでしょう。

また、現在滞在している外国人の母国への送金によって上級学校への就学率などが高まれば、母国において日本語の知識などを身に着けた上で来日することによって、より即戦力の労働力として遇されるわけですから、受け入れ側としてもより好待遇で受け入れ易くなります。

技能実習生の滞在期間の延長や制度の拡張も外国人労働者の生活基盤の底上げに大きな効果があることは間違いありません。

このような試みを繰り返すことにより、来日する外国人労働者のスタンダードを徐々に底上げできると同時に日本の経済に寄与するところも多くなるのではないでしょうか?

 

 

 

 

 

 

 

2018.11.09

不動産に関する用語解説 初級編(1)

① 不動産の種類(種別と類型)

不動産を漠然と捉えると「更地」とか「古家付土地」とかを思い浮かべると思いますが、

厳密に言うと、不動産の種類は、「種別」と「類型」の二面から捉えることができます。

「不動産の種別」とは、不動産の用途に関して区分される不動産の分類をいいます。

これは、宅地地域、農地地域等(地域の種別)、宅地、農地等(土地の種別)に細分されます。

「不動産の類型」とは、不動産の有形的利用及び権利関係の態様に応じて区分される不動産の分類をいいます。

「宅地の類型」は、「更地」、「建付地」、「借地権」、「底地」、「区分地上権」に分けられます。

「建物及びその敷地の類型」は、「自用の建物及びその敷地」、「貸家及びその敷地」、「借地権付建物(自用の場合と賃貸の場合)」、「区分所有建物及びその敷地」に分けられます。

少し堅苦しい話になりましたが、不動産をこのように捉えていくとより明確に個別の不動産を理解できるかと思います。

② 利回り

金融業界や不動産業界では、「キャップ」とか「レ-ト」という用語をよく耳にしますが、これは、「利回り」のことで、利回り=収益 ÷ 不動産価格 となります。

しかしながら、「利回り」とは言っても、「還元利回り」、「期待利回り」、「取引利回り」、「粗利回り」、「NOIcap」、「NCFcap」、「DCF法における割引率(DR)、最終還元利回り(TCR)」等多数が存在します。

まず最初に、収益物件の利回りとしてよく耳にする「粗利回り(グロス)」と「純収益利回り(ネット)」について説明します。

「粗利回り(グロス)」とは、賃貸運営に必要な諸費用等を考慮していない指標で、諸費用等を比較的把握しやすいアパ-トやマンション等の利回り把握には有用ですが、稼働率や修繕費等のリスクが反映されていません。不動産業者の物件チラシに記載されている多くの利回りはこの粗利回りです。

「純収益利回り」とは、 純収益 = 総収益 - 総費用

純収益利回り = 純収益 ÷ 不動産価格 で、金融機関や不動産鑑定機関は、通常純収益利回りを使用した収益価格を試算します。

次に、「NOIに基づいた利回り」と「NCFに基づいた利回り」の違いは、敷金等の運用益とCAPEX(大規模修繕積立金)を考慮しているかいないかで、「NCFに基づいた利回り」は前記の敷金等の運用益とCAPEXを考慮している利回りです。不動産鑑定機関が不動産鑑定評価を行う場合には、通常「NCFに基づいた利回り」を採用しています。なお、不動産証券化を行っているファンド等は「NOIに基づいた利回り」を使用するケ-スが多く見られます。

最後に、「取引利回り」、「期待利回り」、「還元利回り」について説明します。

一般に「期待利回り」とは、投資家が不動産の価格に対して何パ-セントのリタ-ン(純賃料)を期待しているのかを意味する利回りです。

一方、「取引利回り」とは、「期待利回り」とは違い、実際の不動産市場において成立した価格に対する利回りです。

特に「還元利回り」と「期待利回り」については、鑑定業界において、厳密に定義されています。

「還元利回り」は、価格を求める手法である収益還元法において、純収益を割り戻す利回りで、「期待利回り」は、賃料を求める手法である積算法において、基礎価格に乗じて純賃料を査定する利回りで、どちらも元本(価格)と果実(賃料)との相関関係を示す利回りです。

③収益価格

収益価格とは、価格を求める三方式(原価方式、比較方式、収益方式)の内の一つである収益方式による価格です。

一般に、人が物の価値を判定する場合には、

a.それにどれほどの費用が投じられているか(費用性)

b.それがどれほどの値段で市場で取引されているものであるか(市場性)

c.それを利用することによって、どれほどの収益が得られるものであるか(収益性)

という三つの考え方を考慮しています。

これを「価格の三面性」といいます。

収益価格とは、対象不動産が将来生み出すであろうと期待される純収益の現在価値の総和を求めることにより、対象不動産の価格を求める手法をいいます。

収益価格を求める方法には、「直接還元法」と「DCF法」があります。

「直接還元法」とは、通常1年間における純収益を還元利回りで割って収益価格を求める手法です。    

対象不動産の収益価格 = 1年間の純収益 ÷ 還元利回り

「DCF法」とは、

a.対象となる不動産が所有期間中に得られる純収益を現在価値へと換算したもの (DR適用)

b.所有期間終了時(通常10年間を想定)に売却ができるであろう価格を現在価値に割り戻したもの  (TCR適用)

対象不動産の収益価格 = a    +    b

収益価格は、賃貸用建物が現に稼働している複合不動産、商業用の不動産において特に重視されるべき価格で、更地、あるいは住居系用途の不動産でも適用が可能です。

 

 

 

 

 

 

 

 

2018.11.09

「自己紹介」 

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株式会社 Emirai corporation   CEO・企画室長 不動産鑑定士・宅地建物取引士の河部達哉と申します。

今後、当ブログに時たま登場させていただきます。どうぞ宜しくお願い致します。

これまで約30年間不動産鑑定士として、不動産の鑑定評価業務に携わってきましたが、マ-ケットにより近い総合的な不動産業を営むイ-ミライ・グル-プで今年5月より勤務させていただいております。

不動産鑑定評価業務では、全国各地の各種各類型の不動産の鑑定評価を行い、特に幾つかの破綻金融機関の処理に関する鑑定評価や立川基地跡地立川地区土地区画整理事業、羽田空港跡地地区土地区画整理事業等の評価員としての職務、その他財務省の研修講師を20年以上にわたり担当したこと等、多くの経験をさせていただきました。

これからは、イ-ミライ・グル-プにおいて、一般では取り扱いが困難で物件化・売却が難しい不動産や相続・係争案件についてのコンサルティング業務等に微力ながら取り組んでいきたいと思います。

2018.11.08

収益資産の形成⑱・外国人向けの物件ー2

外国人留学生の現状

外国人労働者向けの住居については、技能実習生として来日する外国人労働者に関しては受け入れ先の企業(個人の場合も有り)が用意することになっており、一人あたりの居室の面積なども規定があるようですが、留学生として来日する外国人に関しては基本的に自ら住まいを確保する必要があります。

現在のところ、多くの外国人留学生は母国で留学の世話をするブローカー的な業者に頼るか,もしくはSNSなどを利用した情報を利用して探すほかないようですが、最も彼らを悩ませる問題は来日する際に掛かる学費や渡航費用などの初期費用の問題です。

多くの外国人留学生はそれらの初期費用の大半を借金によって賄い、来日後の労働によって返済する計画のようですが、初期費用の総額は150万円~200万円にもなるようで、この額は彼らが法的に許容された労働時間である週28時間フルに働いてやっと返済できるくらいの額になります。

ということは、自らの生活費は法的に認められた時間を超過して労働しなくてはならないことは明白なわけで、それではいつ勉強ができるのかということになります。

彼らに来日する本来の目的である勉強ができる環境を整えてあげるには、まずはこの初期費用をなるべく少なくて済む方法を受け入れ側としても考えなければならないと思います。(なぜなら、彼らの目的がある程度努力することによって達成できる道筋を作ってあげることによって、ドロップアウトすることを防ぐことになるからです。現在のペースでドロップアウトする者が増加していけば治安の悪化など社会問題に発展することは必至です。外国人の日本における生活がある程度底上げされれば、国内消費の増加や賃貸市場の活性化などにもつながるはずです。外国人、日本人にかかわらず、努力する若い力を社会がバックアップすることは当然の話です。)

勿論、授業料や入学金などの費用については仕方がないにしても、住まいに関する初期費用や世話人の口利き料のような費用はこちらが受け入れ態勢を整備することによってかなり縮小できるのではないでしょうか。

外国人向けの住まい

都心の物件で利便性をある程度確保しながら格安で済める物件ということになれば、当然一人あたりの居住空間を犠牲にするしかないのですが、現状では2人部屋、3人部屋など複数で居室をシェアすることはやむを得ないのかもしれません。

しかし、冷蔵庫や洗濯機、エアコン、などの家電製品、ベッドなどの家具製品、キチン、トイレ、シャワールーム、バスルーム等の設備を充実させることや、洗剤、トイレットペーパー、などの消耗品の供給など住まいに関する初期費用をなるべく軽減させることはできます。

また、共有スペースを設けて寛げる空間を作るなど住環境に関する工夫と何よりもお互いに気持ちよく過ごせるルール造りに関しては私達が真剣に考え、先鞭をつけなければならないと思います。

考えてみれば、私が東京に出てきた昭和50年当時の一般的な学生の住環境は現在とは比較にならない位お粗末なものでしたし、私達の一世代前の先輩たちはもっと過酷な環境だったわけです。

有名な漫画家である藤子不二雄さんコンビは二人で上京した際、遠縁の家に間借りしたそうですが、居室は2畳一間しかなく、寝るときは二人で机を片付けて寝たそうです。

だからと言って、彼らに狭い居住空間に甘んじろと言っているわけではないのですが、仕事や学校への通学に便利な場所で住まいに関する費用を抑えるにはその点はある程度我慢が必要なのかもしれません。

 

2018.11.05

収益資産の形成⑰・外国人向けの物件ー1

外国人労働者の来日の目的

外国人労働者に対する門戸開放政策はもはや議論の余地なく踏み切らざるを得ない状況であることは何度も述べているとおりですが、私が身近な例として聞き及んでいる話によれば、日本側の受け入れ態勢は決して十分とは言えずドロップアウトする者も多いといいます。

これは、現在日本で就業している外国人労働者が受け入れ態勢について官民ともに十分な時間と議論を費やした上で受け入れているのではなく、むしろなし崩し的に絶対数が増えてきている状況であるからだと思います。

彼らを受け入れる上で第一に考えなければならないことは、彼らが日本に来て頑張る理由は祖国に定期的に一定額を送金できるということです。

私が知っている外国人実習生は建設業界で働いていますが、住居に掛かる費用(会社側が用意した寮の賃料)を差し引いた手取り金額は毎月13万円強ということですが、祖国に毎月10万円を送金しているそうです。

彼の場合は、日本に来る際に現地の世話人のような人に手数料のようなものを支払ったり、渡航費用などで100万円以上の借入金が出来たそうで、その返済も同時に行っているそうです。

そんな彼らにとって、今までの技能実習生の滞在期限が3年から5年に延長された(一定の要件を満たすことと、一時的に帰国して再来日することが条件)ことは朗報に違いありません。

いずれにしても、彼らの祖国への送金は家族にとって大きな収入源となり、就学率の向上や生活の底上げに結びつくことでしょう。

外国人の日本における住まいの現状は?

現在のところ、外国人が来日する際に最も不安に思うことは住まいに関する問題だと思います。

外国人実習生の場合は、受け入れ側が彼らの住まいを用意することになるのでしょうが、それ以外の資格、例えば留学生として来日する外国人などは、住まいの確保が大きなハードルになっているようです。

現在都心においては、一人あたりの居住スペースが極端に狭いドミトリー形式の物件や所謂「漫画喫茶」のようなスペースに居住している外国人もいるようですが、やはりある一定のクオリティーを確保できるように考えなければならないと思います。

外国人の技能実習生を受け入れる者は企業、個人にかかわらず「日本人と同等の待遇」を確保するように義務付けられています。

しかしながら、実際のところは上記の私の知り合いの技能実習生の例のとおり、月額20万円足らずの賃金が支払われているに過ぎない例が多いと聞きます。(日本人であっても所得の二極分化が著しい昨今は同様の賃金に甘んじている人が多いわけですが)

従って、彼らが来日の際の費用を含め、家族に十分な送金を行うには住まいに掛ける費用は出来るだけ抑える必要があるわけですが、会社の寮などを利用できる者はまだ恵まれている方で、自力で住まいを確保しなければならない者は相当劣悪な居住環境であっても受け入れるしかない状況です。

 

 

 

 

2018.10.29

収益資産の形成⑯・法規や条令を知り尽くす

効率の良い物件

前回は、葛飾区(綾瀬駅)を起点とした賃貸物件を検証してみましたが、このエリアで最も良い賃料坪単価が見込める単身者用アパート、マンションの検索結果から、月額賃料が5万円~6万円前後の物件が所謂「売れ筋」であることが分かりました。

駅から徒歩10分以内(できれば7分以内)に立地して、住環境が良く築年数が新しいという条件であれば上記の賃料で高い入居率を確保できそうです。

ここで注意しなければならないことは、葛飾区の条例によれば1棟の総戸数15戸以上、または3階建て以上の建物の場合、1戸あたりの平米数が25㎡以上にしなければならないという点です。(1棟の戸数が14以下であっても、一連の土地に複数の建物を建てる場合は同様の制限を受けます。)

ということは、1棟の総戸数が14戸以内の建物が賃料坪単価という観点で考えれば効率が良いということになります。

例えば建築基準法の定めるところに従い、容積率や日影斜線を守って200㎡の2階建ての建物を建築すると仮定すると、1戸の面積が25㎡だと8戸、20㎡の場合は10戸できます。

1戸16㎡にすれば12戸です。。

各プランの賃料設定を坪単価1万円と考えた場合各室の賃料は下記のとおりになります。

25㎡の部屋 75,625円

20㎡の部屋 60,050円

16㎡の部屋 48,400円

現在の所得が二極分化している情勢においては1室の賃料総額をなるべく低く抑えることが得策と考えられますので、上記いずれのプランも可能な土地であると仮定すれば、16㎡を12戸造ることが最も得策ということになります。(但し、16㎡の部屋に必要な設備を効率よく配置できるかという問題はありますが)

逆に、上記のプランができる土地はどのようなものかということを考えてみると、まず建蔽率・容積率がそれぞれ50%・100%と仮定すると、木造2階建ての場合、1階・2階とも100㎡になりますので、200㎡の土地が必要ということになります。

建蔽率・容積率がそれぞれ60%・200%の場合は、約167㎡の土地が必要になります。(但し、角地であれば建蔽率が70%に緩和されますので約140㎡あればOKです。但し、斜線など他の条件も満たす必要はあります。)

木造2階建の建築費用の坪単価を75万円程度(外構工事やライフラインなどの諸経費も込)と考えると200㎡の建物の建築費総額は4500万円~5000万円程度は見ておく必要があります。

賃料坪単価1万円と想定した場合、200㎡の年間想定賃料総額は720万円になりますので、土地の購入額と建物建築費用の総額を合計したフローは下記の通りです。

土地購入金額    建物建築費用    総   額     年間想定利回り

5,000万円   5、000万円   10,000万円    7・20%

5,500万円   5,000万円   10、500万円    6・86%

6,000万円   5,000万円   11,000万円    6・55%

6,500万円   5,000万円   11,500万円    6・26%

7,000万円   5,000万円   12,000万円    6・00%

上記のフローチャートには仲介手数料や登記費用などの付帯経費を含んでいませんから、土地の取得価格自体はもう少し抑えることが理想となりますが、この予算組で駅から徒歩10分以内かつ環境の良い土地を探すとすれば、路地状敷地などが現実的な選択肢になると思います。

しかしながら、上記の計画建物は路地状敷地でも十分に実現可能です。

イーミライ・グループでは、常時効率の良い収益プランを作成できるように社員一同努力を重ねています。

 

 

 

2018.10.26

収益資産の形成⑮・需要を見通した物件

所得の二極分化

以前に述べたとおり、現在の日本は所得の二極分化が顕著になっており年収200万円以下の世帯だけで全体の20%、200万円~300万円の世帯が14%ですから300万円以下の世帯が全体の3分の1いるというこになります。

300万円の年収は月額にすると25万円ですが、25万円の月収の人が賃貸住宅を借りるとすれば、月額賃料は5万円前後の物件、高くても6~7万円程度のところを探すと思います。

特に単身者であれば、1Rまたは1DKなどの間取りを中心に物色すると予想されます。

現在、イーミライ・グループは葛飾区(千代田線・常磐線「綾瀬」駅から10分のアクセス)の土地を開発中ですが、この物件周辺の情報を基に賃貸物件を検索したみたところ、比較的駅に近い(徒歩10分)のワンルームマンション(RC構造地上6階建の3階部分)の25・42㎡が月額賃料79,000円・管理費10,000円という条件で募集されていました。

この物件は、築2年と新しく、バス・トイレがセパレートされており、オートロック、エレベーター付、床はフローリング、シューズボックス、室内洗濯機置き場、独立洗面台、脱衣室、温水洗浄便座、システムキチン、モニター付きインターホン、エアコンなどまさしく「フル装備」の物件です。

「綾瀬」駅は大手町まで地下鉄千代田線で8駅と大変アクセスが良く、しかも駅から4分で近くにスーパーなど生活に必要な施設は殆ど揃っており、居住条件は申し分ないと言えますが、管理費と併せて月額89,000円の賃料は相当な負担になります。

この物件を仮に「A物件」と呼びます。

同じ「綾瀬」駅徒歩6分の物件ですが、築年数は1年と新しいアパート(木造2階建の1階)で賃料61,000円(管理費5,000円)という物件があります。

専有面積は18・23㎡でかなり狭くなりますが、オートロック、エアコン、室内洗濯置き場、クローゼット、冷蔵庫、IHコンロ、浴室乾燥機、温水便座洗浄機など設備はかなり整っています。

この物件の月額のコストは66,000円ですから、この程度なら年収300万円あればなんとかなりそうです。

この物件を仮に「綾瀬」駅徒歩「B物件」と呼びます。

さらに検索すると、「綾瀬」駅徒歩12分で月額賃料31,000円の新築のシェアハウス(木造2階建)がありました。

専有面積は居室部分が約7㎡で狭いのですがトイレやシャワールーム、キッチン、洗濯機、冷蔵庫などは共用となっています。

また、ベッド、机、椅子など生活に最低限必要な家具は付いています。

管理費は15,000円掛かりますが電気・ガス・水道・WI-FIの使用料が全て含まれますので実質的な管理費は5,000程度と考えて良いと思います。

つまり月額の賃料コストとしては4万円以下になります。

この物件を仮に「C物件」と呼びます。

実は、「A物件」は建築基準法などの法規の他に葛飾区の条令(1棟の総戸数が15戸以上の共同住宅を建築する場合、1戸の面積を25㎡以上にしなければならない。)を遵守して建築された物件です。

「B物件」は1棟の総戸数が14戸以下、かつ全体の床面積が300㎡以下の建物で1戸当たりの占有面積の制限を受けない物件です。

「C物件」はシェアハウス形式の物件ですが、基本的には「共同住宅」のカテゴリーに入らない「居宅」で建築確認が取れる建物と判断されます。

実際に稼働が見込める賃貸物件

比較を容易にするため、A物件、B物件、C物件とも新築あるいは新築に近い築年数のものを選びましたが、大まかに言うと「綾瀬」駅周辺の徒歩圏内の単身者用賃貸物件はA物件が8万円前後、B物件が6万円前後、C物件が4万円前後(管理費を考慮した金額)になります。

築年数10年以上の物件は上記の10%ほど賃料が安くなり、20年近く経過している物件は20%ほど安くなると考えても良いでしょう。

これは私の感覚でもう少しデータを検証する必要があると思うのですが、こと「綾瀬」駅周辺の物件に限って言うと、A物件の需要は全体の10%前後で残りの90%位は賃料総額が6万円以下の物件ではないかという気がします。

このエリアにおいては、多くのユーザーは賃料5万円前後の予算で物件を探すことが予想され、また築年数や駅からのアクセス、専有面積などの点をある程度妥協すればそのくらいの予算で物件を見つけることができるはずです。

ということは、物件を供給する側(新築する場合)の立場で考えると

1、1室の賃料が6万円程度で抑えられる物件

2、駅から徒歩10分以内のアクセス

3、スーパーなどの設備が近いなど住環境が良い

という条件に収まり、尚且つ利回りが期待できる物件を目指すべきです。

 

 

 

 

2018.10.25

収益資産の形成⑭・新たなる需要

賃貸の空き室状況

このブログで何度か取り上げている外国人の労働力の受け入れの問題ですが、いよいよ今年の秋の臨時国会から門戸開放に向けた取り組みが開始されるようです。

どのような形で外国人労働者を受け入れていくかは今後の課題だと思いますが、どのような形になっても先ずは彼らの住まいを確保することが問題となります。

現在、民間の賃貸物件の状況ですが、JR中央線の各駅のアパート、マンションの空室(募集中の物件)のデータを見ると、吉祥寺駅から徒歩10分以内の物件に限定しても空室が416件あります。

三鷹駅周辺で同じ条件で見ると500件以上、武蔵境駅は228件、東小金井駅は345件です。

八王子駅はどうかというと10分以内で500件を超え、8分以内に限定してようやく500件以内(458件)になります。

JR中央線に関して、逆に都心の方に目を向けて検索したみると、西荻窪駅、荻窪駅、阿佐ヶ谷駅はどの駅についても徒歩10分以内の物件については空き室が500件を超え、8分以内の空き室募集件数は西荻窪駅が446件、荻窪駅が476件、阿佐ヶ谷駅が477件となります。(データはいずれも平成30年10月23日のもの)

外国人の受け入れ状況

このように、賃貸物件はどのエリアにおいても常に多数の空きがある状況ですが、外国人の入居に関しては頑なに拒否するオーナーさんも多くいます。

確かに言葉の壁や生活習慣、文化の違いなどについて大半のオーナーの方は不安を抱いていると思います。

特に賃料の滞納が生じた場合や住民同士のトラブルが発生した場合の対処法などに関しては貸す側の不安は大きいのが当然です。

既に一般のアパート・マンションでも外国人を入居させている例も少しずつ増えているのが現状ですが、中には外国人専用の賃貸物件も現れています。

その多くはシェアハウス形式の物件で、既存の建物を改装したものが多いようです。

外国人向けのシェアハウスは1戸の居室に複数の入居者を入れることを想定したものが多いようで、一人あたりの賃料は安い(3万円以下が大半のようです。)設定ながら、全体の利回りはかなり高利回りなります。

ある投資家の方に聞いた話ですが、古いビルを改造して多くの居室を造りシェアハウスにした物件があり、全体で200人の入居者が入ることが出来るそうですが、入居開始してすぐに満室になったそうです。

この物件の場合、1室の入居者は4人が標準らしいのですが(4人入居の場合の一人当たりの賃料は3万円ということです。)それでもすぐに満室になってしまうということは、外国人にとって日本に住まいを確保することの困難さが伺えます。

一人3万円×4人=12万円の賃料を払えば、一般のアパート・マンションでもそれなりの物件を借りることができるはずですが、外国人にとって日本で具体的な物件を探すことは多くの障害があることは間違いありません。

外国人向けの情報サイトなどの入居サービス

前述した大規模なシェアハウスは主としてSNSなどの情報によって入居者を募集しているようですが、来日する前に入居申し込みをすることができる点がメリットで、大きな成果をあげているということです。

そこで、私が今考えていることは、来日する外国人が本国にいる間に入居先を物色できる情報サービスをつくれないかということです。

入居先物件の地図などアクセスに関する情報、間取り図、建物図面、設備などの情報、賃料や管理費などの情報をより具体的に検索できる情報サービスが切実に求められているのではないかと思います。

また、外国人入居者についてオーナーさんと入居者の間に立って管理や入居条件の遵守に関する問題を解決できるシステムを私達宅建業者が早急に作らなければなりません。

基本的には、サブリースシステムにより各オーナーさんから空き室を一括借りして外国人入居者に貸す方法を考えています。

外国人に日本の「住まい」に関する適切な情報を提供することで日本に滞在する間の計画づくりの一助になると同時に、オーナーさんにとっても安心して賃料収入を得ることができる結果に結びつけば良いと思います。

 

 

 

 

 

2018.10.22

収益資産の形成⑬シェアハウスのメリットと難点

feature_img_01img_main_01downloadZEHの建築技術を生かすことも考えられる

シェアハウス建築のメリット

「シェアハウス」と一口に言っても、建物自体には色々な形態があります。

「シェアハウス」と呼ばれる物件が目立つようになってきたのは5~6年位前からですが、当初は初めからシェアハウスとして設計された建物ではなく、既存の中古戸建やビルの一部または全部等を改築して複数の賃借人に貸せるようにしたものが大半でした。

その後、シェアハウスとして専用に設計された新築物件が供給されるようになりましたが、今後どの程度需要が伸びるかについては様々な見方があると思います。

しかし、シェアハウスの建物設計上の利点は多くあります。

先ず、現在のところシェアハウスに関しては設計上特段の制限が殆ど無いということです。(勿論、建築基準法、都市計画法などの法規は遵守する必要があります。)

例えば、「共同住宅」を建築する場合は、基本的に建築基準法上の「道路」に間口6メートル以上接道している必要があります。(一定の要件のもとに例外規定はあります。)

シェアハウスはある程度以上の規模のものを設計する場合は建物の種類としては「寄宿舎」になると思いますが、どのような形態の建物でも「シェアハウス」として使用することは可能です。

一例を挙げると、マンションの最上階がオーナーの住戸となっていた例で、広さが200㎡ほどもあり、賃貸物件としては広すぎるため賃料坪単価が見込めず、物件全体のレントロールが悪くなるという物件がありました。

この元オーナー居住部分をシェアハウスに改築して、複数の賃借人を入居させてレントロールを改善して物件の価格を底上げしたということがありました。

一棟マンションの別な例では、低層階が店舗や事務所として賃貸されていた建物で、これらの店舗・事務所が長期間にわたりテナントが見つからず空きになってしまっている物件について、当該部分をシェアハウスに改造してレントロールを改善した例があります。

また、路地状敷地で共同住宅の建築が困難な土地にシェアハウスを建築して高収益を得るという例もあります。

このように、シェアハウスは汎用性という点で優れており、通常の共同住宅に比較して立地条件などが大幅に緩和されるというメリットがあります。

シェアハウスの難点を克服するノウハウ

シェアハウスは通常のマンション・アパートに比べて維持・管理の点で手間暇がかかり、それなりの管理体制が必須条件であることは前述したとおりですが、建物の基本構造から見た難点は居住者のプライバシーを100%保つことが難しいという点です。

多くのシェアハウスでは、リビング・ダイニング・キッチン・トイレ・シャワールーム・風呂などに関しては共用部分となっており、この部分を使用するについては入居者は元々プライバシーの保持を期待していないはずですが、専用部分である居室については騒音などについての気遣いを余儀なくされると思います。(共用部分を円滑に使用していくには、居住者同士が相互により良い人間関係を保つ努力が必要であることは言うまでも有りませんが、シェアハウスは、居住部分がほぼ完全にセパレートされた通常のアパート・マンションと異なり、日常生活において他人と顔を合わせる機会が多いわけですから、新たな人間関係を構築できるというメリットがあると考えることもできます。)

しかし、シェアハウスの各居室部分の隔壁は建物そのものの構造がRCであっても木造であっても防音や振動という点については満足できるレベルには中々至らないのが現状だと考えられます。

この点を改善するには、隔壁や天井に気密性に優れたウレタン断熱材を使用したり防音ドアや部音サッシを使用するなど新たな試みが必要です。

現在、イーミライ・グループにおいては、メーカーと協力の上で上記の点を克服できる施工技術を研究していますが、特に木造のZEH住宅の施工経験は大いに生かせるのではないかと期待しています。

 

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